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商談

「この度は、拝謁賜りましてありがとうございます。

ダナン商会の商会長をしておりますサバナ・ダナンと申します。お見知り置きを。」


壮年の男性である。頭髪は、隣国に多い銀髪に瞳は美しい翡翠。目尻と口元に入った深い皺が老獪な貫禄を感じさせるイケおじ様である。


「初めてまして、ミラと申します。遠路遥々大変だったことでしょう。今宵は、我が家でお泊まり下さい。要件は、また明日にでもお伺いいたしましょう。

ごゆるりとお休み下さい。客室へご案内を。」


「お待ちください。拙速ながら、お願いしたい義がありまして参りました。我が祖国ラバムーンは、蝗害のため食糧難に陥っております。是非、食糧輸入の特別な計らいを早急にお願いしたい。」


翡翠の眼差しは、真摯そのものだった。余程追い詰められているのだろう。しかし、


「おかしなことをおっしゃる。私はしがない商会を営んでいるに過ぎません。お互いにそうでしょう?商人とは、慈善団体ではございません。何故、貴方がそのような振舞いをされるのか理解に苦しみます。そうでしょう?国のことは国同士。王同士で話すこと。私どもには、関係ないこと。そのようなつまらない話であれば、伺う話もありません。明日には、お帰り下さい。」


微笑みながら、視線をドアに向ける。鋭い翡翠の眼差しから目を背ける。


「確かに。しかし、もう既に国同士の話は終わり貴国に断られ申した。だからこそ、私がここにいるのです。国を作るは民。民の安寧なくして、商売もまたない。我が王の意向でここにいるのです。貴方なら、我が祖国を救える筈です。ミラ様。」


一筋の黒髪を知らぬ内に指に巻きつけた。

前世の記憶を取り戻すと同士に、変色した髪。前は、美しい金髪だったのに、闇に染まってしまった。


商売とは、利益を取ることを、考えがちだが結局、需要に寄り添い民の望みを叶えると後から利益が付いてくる。前世の経済学者のドラッカーも商売のマネジメントについて話している。真摯に向き合い顧客と市場の観点から見て、顧客を満足させることが大事なのだと。


「分かりました。いいでしょう。うちの商会の力で、ラバムーンに食糧を輸入しましょう。ただし、条件があります。復興支援にかかる費用は、そちらの国への融資になり、10年間で返済いただきます。勿論、利息もいただきます。立て直しに人材を派遣しますので、ダナン商会で受け入れいただき、その者を通して必要な支援をいたしましょう。いかがですか?」


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