隣国の天災
「ミラ様、塩売買の売上の報告になります。」
「カーナ、ありがとう。そこに置いて。南部地区の稲の成育状況の報告が良くないみたい。肥料を変えてみるように。状況報告は、月毎に寄越すように。」
「かしこまりました。」
補佐役のカーナが、出ていくのを確認しながら、ふと窓の外を眺めた。
死のうとして、生き延びてから3年たって、今年で18歳になる。ここまで、商売を手広くやって順調に売上を伸ばして来た。世界に名だたる商会になり、私の名前を知らぬ者は、もういない。
名声と権力を得たけれど、同じくらい孤独と恐怖を感じながら、この椅子に座っている。
「夢を叶えるために、必死に頑張って来たのに…
何でこんなに逃げたくて堪らないの…」
妹達を幸せにした。次は、自分が幸せになりたい。
机に積み重なった書類の山を見ながら、ため息をついた。
コンコン
「ミラ様、隣国からダナン商会の商会長殿が、緊急の案件があるとのことで、いらっしゃっております。どうされますか?」
隣国は、小国なれど現国王は賢王と有名で、資源はなくとも商品の加工、精密さは世界一だ。
確か、食糧問題が起きていた筈。
久方ぶりに蝗害に見舞われたと聞いていたわね。
「通して。」