アリシャシリーズ(転生したら周囲がヤンデレ・死亡フラグまみれ)
背中合わせで立ち、鏡越しにお互いを窺う
私達はいつだって背中合わせに立っていた。
顔も姿も見えるけれど、それは常に鏡越し。
だから、鏡に映る姿をかきかえられたら、本当の顔も姿も分からない。
背中合わせに立つ貴方達の気配は感じるのに。
どんなに語り合っても、心の距離は縮まらないまま。
これほどに近い距離で、手を伸ばせばつなぐ事もできるのに。
心と心は触れ合えないまま。
すれ違ったまま時間だけが流れていって、齟齬が大きくなっていく。
いつしか鏡の世界の偽りは、現実に浸食していき。
とりだした時計の時刻すら、正しく読めないようになっていた。