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斎藤さんと一週間彼女  作者: 美木 大清
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その出来事は再び世界を回す②

とんだ災難だった。


 人から目立たぬように過ごし始めてからもう何年も経っている。

 周りからすれば大したことないのかもしれないが、僕にとっては他人からの視線を集めるなど大事である。


 昔から目立つのは嫌だったし何より人が苦手だった。


 学部棟を後にし構内にあるコンビニに立ち寄った。


 今はお昼時、ベンチやカフェスペースでは昼食を摂る学生達が見える。


 商品棚からおにぎりを二つほど取ると店の後方を通って長い列に並んだ。


 構内の店と言えばこのコンビニしかないため、昼時には多くの学生が利用する。

 長い待ち時間の暇を潰そうと僕はイヤホンを付けた。


 再生ボタンを押し、騒がしい外界との繋がりを絶つ。


 二、三曲流れ、あと少しで会計ができるという所まで来たとき、目の前に二人の男子学生が割り込んできた。


 二人ともそれぞれ金色に赤色と髪の色は明るく、耳には銀色のピアスが光っていた。


 突然の事に驚いた顔をしている僕に彼らは気が付くと赤色の髪の方が口を開いた。


「何?」


 自分では出ないほどの低い声に恐怖からか心拍数が上がる。


「いや、なんでもないです…………」


 僕はちゃんと答えたつもりだったが、イヤホンを耳に付けていた状態ではどうやら小さい声だったようで、男たちは「何言ってんだお前」というような顔をすると何事もなったかのようにそのまま列に入ってしまった。


 僕より先に会計が終わった彼らは、ニヤニヤしながら僕を見て去っていった。

 店員さんも苦笑いをしながら手を挙げて次の客である僕を呼んだ。



 モヤモヤした気持ちで店を出ると、先ほどの二人が店の前のベンチにまるで誰かを待ち構えているかのように座っていた。






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