NiOさんチャレンジに参加したったwww
NiOチャレンジに参加しました。
でもあんまり原型が残ってない希ガス。スマソ。
これはヤンデレであってホラーではない気もしますが、まあ大丈夫でしょう(適当)。
一応補足は置いときますが、先に他の作者さんの作品を読むことを推奨します。
〈NiOさんチャレンジの用語集〉
主人公→マントラの書かれた電車で環状線を回りまくってるので霊力が高まり幽霊の美味しい餌状態になってる
ニコニコ笑顔でどの駅にもいる奴→やべぇ笑顔をした幽霊。美味しい餌状態の主人公を狙っている。
『――あれ以来環状線には乗っていない、あの時の霊の表情に見覚えがあった、自分が子供の頃、アリを殺していた時の気味の悪い笑顔そのものであった。』
「ネタだけなのに怖っ」
そう言いながらつい画面から目を逸らしてしまう。
画面に映っているのは怖い話……ではなくその元となるネタだ。
先程NiOさんチャレンジという企画に興味本位で参加してみた結果『ネタだけ送るので上手く調理して投稿してください』といった旨のメッセージとともに送られてきたのだが、……ぶっちゃけこれだけでもまあまあ怖い。
「それにしてもNiOさんよくこんなの思いつくよな。なんだ摩尼車って」
NiOさんの知識量におののきつつも、とりあえず自分なりに話を変えてみようとする。
……うん、無理だ。全く思い浮かばん。話がしっかりし過ぎてどこを変えていいか検討もつかない。
かといってここに設定を付け加えられるような構成力もない。もし付け加えたら話の展開がぐちゃぐちゃになるのは目に見えてる。
そもそもアリをいじめて遊んでた子どもが成長したらどんな感じになるのか全くわからない。
「うーん、どうしようかな?」
とりあえずオフトゥンにダイブしてゴロゴロ転がりながら考える。
今からアリいじめしてみるか? でもそれは可哀相だしなー。
だからといって主人公像が曖昧なまま書ける気がしないんだよなー。
ゴロゴロしながら悩んでいるとあるアイデアが浮かび、ピタリと動きを止める。
……いや、待てよ? 環状線での人間観察なら出来るな。ちょうど明日から夏休みだし。
うちの高校ではコロナで短縮されたものの10日間の夏休みが設けられており、時間もたっぷりある。
「よし、やってみるか」
なお、夏休みの宿題は考えないものとする。
◇
翌日、実際にやってみて分かった。
これ結構楽しい。
数えきれないくらいの人が乗り降りするため、常に同じ状態ではなく見ていて飽きない。
たとえばものすごく個性的な人が入ってきたり、逆に乗客が一気に減って寂しい空気が流れるなど温度差が激しく、いくらでも楽しめそうだ。
その日は結局ほぼ丸一日環状線を回り続けてしまった。
……明日もまた来よう。
そうして次の日も、また次の日もと環状線に通いつめ、気づけば夏休みも残り二日となった。
明日は徹夜で宿題をやる予定なので今日が実質夏休み最終日だ。
学校行きたくないし、宿題やりたくないなーと学校に通う人なら必ず考える月並みなことを考えていると、ホームにとても浮いた存在が立っているのに気がついた。
たしかアルビノ、といっただろうか。真っ白な髪に真っ赤な瞳をしたとても美しい少女がベンチに座っているのが目に入った。
パッと見十歳くらいだろうか? 庇護欲を盛大にくすぐられる儚さを持っており、現代に残った最後の神秘だと言われても信じてしまうくらい現実離れしていた。
あまりの衝撃についつい彼女をじっと見つめていると、遠くにいるはずの彼女と目が合った気がした。
その瞬間まるで自分の全てが見透かされているような感覚に陥った。
生まれてから今まで体験したことや感じたこと全てが昔から順番に引き抜かれている。そうとしか表現しような奇妙な感覚が体を駆け巡る。このまま俺は――
「扉が閉まります。ご注意ください」
「っ!?」
車内アナウンスによって我を取り戻した俺は慌てて目を逸らす。
電車はすぐさま動きだし、ぐんぐん駅から離れていく。
「はあ……はあ……」
無意識に荒くなっていた呼吸を整えるながらさっきの出来事を思い出す。
あれは……なんだったんだ? あれは絶対に人じゃない。決して踏み入れてはいけない向こう側の世界に住んでいる。そうとしか考えられない。
でも……
「滅茶苦茶可愛かったな……」
……うん、やっぱそこに行き着くよね。
あの記憶が吸いとられる感覚はもう絶対に味わいたくないけど、それさえなければもう一度見てみたい。
落語の皿屋敷でもきれいな女の人であるというだけで、死の危険を背負ってまで観客が集まったという設定だったはずだ。
つまり今も昔も「可愛いは正義」なんだ。
そんな下らないことを考えているうちに次の駅に着き、とても見覚えのある白髪の美少女が目に入った。
あまりの出来事に固まっていると、電車が動き出す直前に彼女が立ちあがり、こちらに歩いて来るのが見えた。
彼女が完全に見えなくなったところでやっと思考が回りだす。
これってその……アレだよな? NiOさんに貰ったやつだよな? ……お、おおちおちおちつくんだ俺!
震える手で鞄から水筒を取り出し、お茶を少しだけ飲む。
ふぅ。冷たいお茶が体に入ってきたことで少しだけ冷静さを取り戻した。
アイツが乗り込んでくる前に降りればなんの問題もなく家に帰れるはずだ。
幸い次の駅の乗り口はこちら側。次の駅で降りることが出来れば無事に帰れるはず!
俺はすぐさま鞄を持って席を立ちあがり、ドアの前に移動する。
するとタイミングよく駅が近づいてくる。よし、早く止まれ!
生き残れる希望で喜びに満ちていた俺の顔は、ホームに近づくにつれてどんどん曇っていく。
なんでこんなときに限って乗る人が多いんだ……!
しかしここで降りられなければその次の駅の乗り口は向こう側。つまり彼女の養分になることが確定してしまう。
なるべくドアに体を近づけ、ドアが開いたところで人の壁の薄い端の方から素早く出る。これしかない!
電車の動きが次第にゆっくりになり、停止した。
「ドアが開きます。ご注意ください」
そして、ドアが開いた。
すぐさまドアをくぐり人の壁を突破する。
凄まじい勢いで電車内に突撃してくる人の波を縫うように必死に進んでいると、ある瞬間にぽんっと抜け出すことができた。
よ、よっしゃぁぁぁぁ!アッハッハッハッハ!生きてる^~↑
……と思ったのも束の間、突然鞄が後ろに引っ張られた。
咄嗟に振り返ると俺の鞄のキーホルダーと他の人の鞄のキーホルダーが絡まっているのが見えた。
思わず引っ張りかえすが、かなり複雑に絡まっているのか外れる気配はない。
焦って鞄を捨てるが時すでに遅く人の波に再び飲まれてしまった。
これは不味いと抜け出そうとするも、焦りからか上手く体が動かずなかなか前に進めない。
そして無情にも――
「ちょ、ちょっと待って!」
「ドアが閉まります。ご注意ください」
生きる道は閉ざされてしまった。
もしかしたらさっきのは見間違いで、彼女はこの駅にはいないかもしれないという一縷の望みをかけて振り返ると……
恍惚とした笑みを浮かべた彼女がいた。それはまるでやっとの思いで餌を捕らえたライオンのような、獰猛で、ひどく喜びに満ちあふれた笑みだった。
「う、うわぁぁぁぁぁ!」
俺は思わず駆け出した。ソレから少しでも遠くに行きたくて人混みをかき分け進行方向の車両に移動し続ける。
一両目を過ぎ、二両目を抜け、三両目に差し掛かったあたりで人混みの中に見慣れたものがあることに気づいた。
それは俺の鞄だった。
「は、はは。そっか、逃げ場なんてどこにもなかったんだな」
思わず全身の力が抜け、ストンと座りこんでしまう。それと同時に逃げる気力もなくなった。
残された時間を有効に使うため俺は座りこんだままスマホを開き、親に遺書代りのLi○eを打ちはじめた。
今まで育ててくれた感謝やパソコンは中身を見ずに処分してほしいといったお願いを打ちこんでいると、不意に視界がにじみはじめる。
やっぱり、死にたくないなぁ。
遺書を書き進めれば進めるほどその気持ちは強くなる一方で、全く弱まる気配がない。希望を失った今になってこんなことを願っても全くの無駄なのに。
ぼろぼろと涙をこぼしながらL○neを送信する。それと同時に電車が減速をはじめた。
死が近づいてきたせいか、異様に時間がゆっくりと流れているような錯覚に陥る。
さらに今までの記憶がパラパラ漫画のように流れていく。
走馬燈って本当にあるんだなと場違いに感じていると、ふとある記憶に思い当たった。
NiOさんのネタでは霊力は高まっても信仰力的なものが高まらないから美味しい餌になっているという設定だったはずだ。
つまり、信仰力さえあれば彼女は手出し出来ないんじゃないか?
でも信仰力の高めかたなんて全く知らないし、もう停車しかかったこの状況では調べる時間もない。
だから俺は、祈った。
作法も分からず両手を握りしめたまま名前も知らない仏さまにひたすらに祈った。
ドアが開き周りの人がまるで幻だったかのように消え失せ、彼女が乗り込んでくる。
それでも恐怖に目を固く閉じ、歯食いしばって祈り続ける。
コツ、コツと靴音を車内に響かせながらゆっくりと彼女が近づいてくる気配がする。
恐怖に頭が支配されそうになりながら仏さまにひたすらすがる。
彼女は俺の前でピタリと歩みを止める。
死の恐怖が思考を塗りつぶし、自分が無惨に食べられる妄想が頭のなかを駆け巡る。
……しかし、予想に反してしばらく待ってもなんの衝撃もやってこなかった。
助かった……のか?
そう考えた瞬間、小さな手に頭を掴まれ引き寄せられた。
そのあまりの驚きに固く閉じていた目を、開いてしまった。
「ひぇ」
真っ赤な目と、目が合った。
その目は赤い色をしているにも関わらず、その奥に昏く、濁りきった光をたたえていた。
「……どうして私以外のことを考えてるの?」
まるで鈴がなっているかのような涼しげで可憐な声が聞こえてくる。
しかしその可憐さの中に隠しきれない狂気が滲み出ていた。
「……私のことだけを見て?」
「ぁ」
その声が聞こえた瞬間、自分の中の決定的なナニカが抜け落ちたのを感じた。
茫然と彼女を見つめていると、頭から彼女の手が離れていく。
しかし、祈りを再開することは出来ない。誰に祈っていたのか思い出せないからだ。
それだけではなく俺が今まで知り合ってきた人物を何一つとして思い出せない。
そんな中、彼女は現状すら理解できず混乱する俺にお構い無く佇まいを正し、
「……はじめまして、これから末永くよろしく」
そう言いながら手を差しのべてきた。
その手が決して取ってはいけないものだと本能が警告していても、記憶を失った俺は、その手を取るしかなかった。
主人公:彼女に食い殺されると思ってるけど実はその逆でエネルギーを与えられて未来永劫彼女の隣で生き長らえつづける。よかったね(錯乱)。
彼女:ヤンデレ系白髪赤眼無口っ娘ロリ。土地神の一種であり、名実共に女神。以前に主人公に一目惚れしたけど向こうの世界につれてくのは可哀相なので諦めてた。でもいきなり主人公が凄い勢いで霊力を蓄えはじめたのできっと彼もこっちに来たい=両思いと考え拐ってきた。これからは主人公がずっと一緒で幸せ。
(純愛なのでホラーでは)ないです。ホラーを期待した方、申し訳ございません。
これを読み終わった方は下にある謎の力で発生したバナーからNiOさま作の「深海の駅」に飛んでみてください。
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