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第3話ー自分らしさー

また投稿が開いてしまいましたね・・・。

今回はかなり短めです。

新キャラの登場ということもありグダグダいろいろな要素を詰め込んでも、

あんまりよくないと思いました。

この3話目で一気に登場人物が増えた感じがしますね…。

今後のキャラの深堀に注目です_!!

人生において自分らしく生きることの大切さを唄う人はよくいるが、俺は自分らしさというものがよく分からないのだ。自分が好きな、漫画を読んだり、小説を読んだりすることなのだろうか?昼休みクラスの連中の雰囲気を壊さないように、わざわざ屋上手前の踊り場で飯を食う、この気遣いなのか?なんなら、こんな風に面倒くさいことをいちいち考えてしまうこと自体なのか?

【はぁー…】

あのあとから一週間ぐらい経つが、なんやかんやいって、まだこの部室に通っているわけだ。俺はそんな自分に戸惑いながらも、今日も部室のドアノブを漫画の展開が漸進的に進むかの如く、5秒かけてゆっくり回す。ドアノブを回してから数十秒間、家に帰ってネトゲしたいという己自身の需要と、今、人と接して数時間無駄な時間を過ごさなければいけないという超過供給(リアル)に絶望する。意を決して扉を恐る恐るクリアリングしながら開く。頼む!誰もいないでくれ!

しかしそんな願いも叶うはずなく、目の前の彼女は、部室の奥の所々サビがついているパイプ椅子に腰をかけている。何かを切磋琢磨にしているようだ。気付いていないようだから声をかけてみるか。

【うぃーす。きょーは何するんですか?】

【今日は特に何もないから、いつも通りでいいよー。】

イツモドオリ、ね。そう、いつも通りというのは、この部において各個人個人の作業を進めて欲しいという意図が建前だが。バット、建前は建前、俺自身実際何をしているかといえば、ただただ、小説を窓辺で読んでいるだけだ。俺にとってのこの部でいう個人作業の内容は読書のみである。あとpnp(小型ゲーム機)ぐらい。そんな俺とは対照的に、もう一人の部員こと、五反田麗華さんは何をしているかというと、それはもう猛烈な如きって感じの気合の入り方で、大抵はその日出た宿題や次回の授業の予習をせっせこやっている。それが終わるとクラスの為の仕事をしていることが多い。その上、所々で俺に話しかけたりして気を使ってくれている。そんな事を考えているとふと脳裏に疑念が浮かんだ。そもそもサポート同好会ってなんか人助けとかするんじゃないのか?ジャンプとか漫画の世界じゃないんだからそうそうとんでもない事件など起きるはずもなく日々を過ごすのなら、俺がここにいる意義がないんじゃないかと思った。そこで俺は久々に自分から会話のネタを振ろうと思い、話す内容を軽く整理し、溜め息を数回にわけて吐きながら軽い決意をし、久々にこの部について聞くことにした。

【なぁ、五反田。この部は人助けとか、なんかすんじゃねえのか?ほぼ毎日来てるがそんな様子もねぇし、俺が居てもお前に変に気使わせるだけだろ。】

【え!?もしかして私のことかんがえてくれてたの?】

【いやいや、そんなんじゃないですから。俺はただ単純に、気を使われるのが苦手なんだよ。】

【んー、私たちの部長さんが今いないから何ともいえないけど、そろそろ今受け持ってる依頼も終わる頃じゃないかなぁー?】

【ん?依頼?部長?お前が部長じゃないのかよ】

【うん、部長さんは私じゃないよー。】

いろいろ突っ込みどころがあるが、気になるある疑念の中に他の考えは吹き飛んだ。

【…そうか。多分そいつは相当厄介な奴と見た。】

なにせ、部員である五反田麗華は前にも言ったが、名門家の方で、成績優秀でいて、こんな辺境の地にいるわけだ。つまり、相当な変わり者である事は見て取れる。それに比べて俺は見た目は陰キャで、中身は理性の獣。自分で言うのもなんだが、基本的に俺は自分の理に対してしか、責任の伴う行動は絶対にしない。また、どんな有利な条件であろうが逆境の場であろうが論理を組み立てて、そのオペレーションに従って任務をこなす。まさに理性の化け物である。

ただ、俺としたことが、一週間前に始末書という意味を吐き違いて、深夜テンションで書いた文を提出してしまったことで、ここにいるわけだ。そして、そんな俺らを束ねているのは、ロクでもない奴に間違いない。

【ひ、酷い!!キリキリー!!部長さんにいっちゃうよーだ。】

【酷いも何もないじゃないか?俺らみたいなやつを束ねているボスだぞ?自明の理、そいつはクレイジーに違いないね、いや、自信持って言い切れるね。で、うちの部長はどういう人なんだ?】

【部長さんはねー……】

【ええ、私がこの同好会の部長、鶴沢 麻衣(つるさわまい)よ。】

【!??ーー…。どうも】

いつのまにかそこには一言で言うと美人がいた。ストレートの黒髪はちょうど胸あたりまで伸びている。冷ややかなその瞳からは何処か切ない、それでいて、品の高さが滲み出ている。例えるなら、孤高の皇帝…。みたいな感じだ。】

【人をジロジロ見て何かしら?気持ち悪いのだけれど。それと、会ったこともない人によくもそんな口を聞けるわね。クズサメくん?】

【えっ?いや、そねは、あの、この、…。】

皮肉と侮蔑のマシンガントークで開幕した俺と彼女との関係であるが、多分俺のことは好印象で見られてはいないのだろう。こういう奴の関わり方はなるべく消極的に、陰湿に関わるのが一番の最短疎遠ルートだ。正直言って恋愛シミュレーションゲームの理論だが、ある程度は通じるはずだ。なんせ俺はずっとこうして来たからな!

【…。別に俺のことをどう言ってもらっても構いませんよ。それで、じゃあ鶴沢、お前が部長ってことでいいのか?】

【ええそうよ、それと軽々しく初対面の人に、さん付けをしないで苗字を呼ばないでくれるかしら、図が高いわ、エロサメくん、セクハラね。】

【いや、お前も似たようなもんだろ。いちいち人の名前とかいじんなよ。案外そのあだ名コンプレックス抱いてんだからな。】

そう、あれは2年前だったか。クラスに好きな子ができた。因みに前の坂之下とは別だ。そこから半年が経ち、満を持して告白した俺は即振られた。翌日、学校に行きなにも噂が広がっていないことに感謝しつつ、少し体の重りが外れた気分で家に帰宅した。帰宅後、何気なく携帯を手に取った俺の携帯電話のメッセージボックスは、200を超えていたのだ。体中から血の気が引くのを感じながら恐る恐るメッセージを開くと、やはり嫌な予感は的中した。詳しくは表記しないが、いじめに匹敵するようなことがわんさか書いてあった訳だが、その中で一番多く書いて会ったのがエロサメくんという名前だった。だから、俺の中では絶対的に言ってはいけないワードなのである。

【あら、そう。ごめんなさいね?でもそれは貴方から仕掛けてきたものの末路でしょう?】

【う、、、はい】

2重の意味で嫌なところをついてきやがって…この女!

【それと、あなたは何かやらないのかと言っていたけれども?】

【ああ。そうだな。】

【そうね、丁度今、私の方で新たな依頼が入ったところよ。言っておくけれど、幽霊部員になろうとか、余計な雑念は考えないことね。貴方の担任は私たちの顧問であり、貴方が真面目に取り組まないのであれば直ぐに呼び出されると思うわ。まぁ、せいぜい努力することね。】

【………プッ。】

面白れぇじゃねえか。

【仕方ねぇ、な?】

【ふん、足を引っ張ったら承知しないわよ?】

【上等だ。】

【そうね、…それでは、改めてよろしく頼めるかしら?霧雨君。】

【協力はする。だが連携力には期待するな。】

そう言い放つと二人は、座っていたパイプ椅子から立ち上がった。互いににらみを利かせながら、足早に部室の外に出ていく。

【なになに?お互いなんか凄いことになってきてる!ちょ、まって二人とモーーーー!!】

自分らしさとはなんだろう?今日俺は、柄にもなく何処からともなくやる気が起きた。ただ、ヤルキと言うよりも奮起と言うべきか。それが例え、幻想だとしても暗闇の中で彷徨っていた俺に、また新たな光が、いや、色が付け足されたような、そんな不思議な感覚。廊下から感じる、暖かい春風に包まれ、俺の中のまともな人間関係は数年ぶりに再び刻み始めたのであった。おそらく、普段の俺ならこんな事はないだろう。いや、少なくとも余計な事には胸を絶対に躍らせないということは断言できるだろう。そのことを踏まえると、案外、普段今までの自分らしいと思っていた自分は己の古い固定概念なのかもしれない。だとしたら、自分らしさとは日々更新されているもので、その時その時の、新鮮な価値観や考え方、嫌、違うな。古くからある考え方も含めて、今届きそうで届かない大切なモノに手を伸ばし、選択していくことが、俗に言うらしさなのだろう…か?そして、自分というのは、こういったラシサがくっ付いて繋がり、将来のための1つの答えにつながって行くのだろうか?多分その答えの一つというのが、今の己のらしさであり、人生においての自分らしさを決定してしまうのは今はまだ早いかもしれない。また、俺も含めだが、日常的に決めつけているアタリマエを今一度考え直す必要があるのかもしれない。さっきまで読んでいた小説をそっと閉じ、確かにその不思議な違和感を確信していた。

こうして俺のサポート同好会での初の任務を掛け持つことになったわけだが、自分らしさにおいて考えるのは、俺の初仕事ということもあり、一旦保留だな。疲れるしな。





【イツモドオリ…か】




終わり

今回も読んでくださりありがとうございます。

この回からは、この作品のちょっとした豆知識的な事を後書きに書いていきますね!

ー霧雨パレット豆知識第1弾ー

※実はこの作品の年代設定は近未来なのです!

詳しく書くと、2154年ということになります・・・。

霧雨君は高校一年生7月生まれなので、2139年生まれということになります。

どうしてなの???っていう人がほとんどですよね・・・

それは後々話が展開されるまで少々お待ちくださいね!

ということでまた次回よろしくです。


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