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第2話ー君が僕を連れ出した日ー

間が開いてしまい申し訳ございません!!よろしくお願いいたします。

「事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけだ。」

というドイツの哲学者ニーチェの言葉がある。

意味合いとしては、今までの社会全体の常識となっていたものや、自分自身の固定観念となっていたものは、案外簡単に非常識に変わる。というような解釈で合っているのかどうかもわからんが、例を挙げるなら、ガリレオ.ガリレイやコルペニクスの天動説の話だろう。

 天道説とは、この世界は球体ではなく平であり、地球が中心とな、周りの惑星が動いているという仮説だ。しかし、彼らにより、地動説が正しいと世間に認知させたのである。そのことから地球は丸いということが分かったし、地球が中心で回っていないということも分かった。

 さて、ここで本題だが私は学生の意義において事実とまでは言えないが、その本質ぐらいは分っているつもりである。学生とは読んで字の如く、学んで生きるのである。学校には色々な知識や経験や学びに行くが、友人関係とか恋愛だとか、青春を味あうとか、皆んなではしゃいで行事を行うだとか、あーだこーだだとか。しかしこれらのことは、将来社会に出て必要な事なのだろうか?そういった疑念を日々感じている。全てが全て批判するわけじゃないよ?ハウエバー、そこに本来の意義があるとは到底思えない。社会に出て最低限のマナーを会得するのが学生の意義であると思うのだ。コミュニーケーションやコミュニティなどはそこまで気を使わなくてもいい筈だ。何故なら学校にいざ行き、強制的に始まる授業ではコミュニケーションについてまなぶことは、皆無に等しい。それどころか、くだらない知識の競い合いを行う。本当の意味でのコミュニケーションが必要であるとするならば、女性には化粧の仕方や髪染めの仕方を、男性にはパワポやエクセルなんかの初歩的な使い方から応用的な使い方を学ぶ場があってもいいはずだ。何故なら、現代社会なんてものはそういったものが大半で構築されているからだ。むしろ、実際はそれらを縛る方に力を入れているのだ。

 あくまで彼らが過ごす、日々の青春を送ることを一般的に事実というならば、私は私なりの意義を事実とし、一般的な学生の意義を虚構と認識する。つまり何が言いたいか?

 結論リア充よ爆発しろ。


 1年8組8番霧雨零帑


【…】

【…あの、……。】

【何か言い残すことはあるか?】

【…熱が入っちゃったかなぁって…】

【ばっかモォーン!!!!!!!】

  さて…俺は今職員室にいる訳だが、説明すると数日前、花咲先生から始業式にあるまじき不真面目な態度だと言われ、学生の意義をテーマとして先日の自分の行動を踏まえて始末書を書いて来いと言われた。

始末書の意味が分かってなかった俺はてきとうに感想文的なクオリティーまでに仕上げたつもりなのだが…。この様子だと、多分花咲先生は反省文的なニュアンスで伝えたかったのだろう。机にある始末書的な何かを、しばしの間睨み付けていた。不動明王像の如く顔をしかめたと思うと、ようやくその重苦しい、由々しい口が開いた。まるで、それが俺を地獄へ誘うが如く。

【霧雨…。この文は私に対する挑戦か?ぁあ??お前は 何処ぞの評論家だ??ぁあ??だがまあ確に、書いてあることは的を得ているし、このムカつく文章は奇しくも意見にはなっている。だがしかし、君は人間性というとても大切なものが欠落している。というか、反省の色がまるでない!】

【ごもっともです、、、すんませんでした。てか、あんま普段思わないことを、いってしまって、すんませんでした!!!!】

【……よろしい、君の卑屈な態度は確かに良くないことだ。ただ私は君のことをこの数日で気に入った。霧雨!】

【そうですかね…へ?】

【確かに君は少し変な人間だが…だからこそだ。】

【生徒に向かって変な人っていうのはまずいですよ…先生】

【そこはお互い様だろ?ところで君に聞くが、今までに本当に信頼出来る人や友達ができたことがあるか?】

【え?まぁ、幼稚園の時とかは…】

【そういうことじゃないんだ。そういうことじゃ。霧雨、誰しもひとを信じ、人と助け合い、人と共存していくことを心のなかでは願っていると私は思っているんだ。】

【でもそれって…】

【分かっている。元論ただの持論だ。だが、逆に言えば誰かに頼れるということ。つまり信頼する気概だ!これは人が生きる上で十分に大切なことだとは思わないか?霧雨。君には、それを学ぶ必要がある。つまりだな……】

 ーーーーーー‥

 ーーーー

 ー

  高校登校日からわずか数週間の放課後、部活など死んでも入るかと思っていた中学の頃の俺よ、私は今光り輝くお星様へと召されようとしています。そう、花咲先生の絶対王政により、俺は東棟の最上階へと向かわされていた。因みに、この学校の校舎はコの字状になっていてそれぞれ上から順に東棟、南棟、西棟、そして体育館が繋がっている。自分のクラスである1の8は東棟の体育館側に近いのだ。今俺が向かっている場所は南棟の末端。しかも屋上を除き最上階の4回である。

【嗚呼、なぜこんなクソみたいなことに時間を費やさなくちゃあいけないんだ!しかもこんなブ男が一人で来たら絶対ドン引きだよなぁ?】

 そして、先生の指示通りにのらりくらりとやって来た、とある部室のドアの前にたどり着くと、俺はただ呆然と立ち尽くしていた。出来るだけ入りたくないが強制的に行かなければならないというディレンマに襲われ、妙な思考に没頭する。

  そう、俺には彼らのような青春という名の花がないのだ。彼らの様な無限にも出てくる様な絆とか、愛だとか?そういうエナジー?シナジー?が俺には欠落している。廊下を歩くにしろ、教室にいるにしろ、遊んでいるときにしろ、全て黒い。黒色だ。俺はいつもそれがどんなに信用している人であっても、結局一人に戻ってきて、人という名のこんな面倒くさい関係から日に日に遠ざかって来た男だ。

【よし!帰るか!】

 ーー ガチャッ

 (唐突に目の前のドアが開く。)

【…】

【…】

 心肺停止するかと思ったわ。目の前の部室のドアのがいきなり開いたかと思うと、今度はなんと中学生ぐらい、いや小6ぐらいの女の子が目の前に立っていた。うん間違いない。確かにうちの高校の制服を着ているし、間違いなくうちの生徒なのは確かだ。謎の不意打ちに変な思考をしているとその少女と目が合あった。言葉にしづらいものではあるが、例えるならば、その目はまるで俺とは正反対の様な感じだ。まるで引き込まれる様な、吸い込まれる様な、俺が数秒で抱いた感想はそんな感じだろう。数秒目が合い、そのあと彼女は俺にこう告げた。

【あのー、、、えーと、とにかく一度部室の中入ってください!】

 彼女は俺の左手を掴み、部室の中へと押し込んだかと思うと、彼女は次にこう告げた。

【それであの、依頼でしょうか?】

【はい?いや、花咲、先生に言われて、来ちゃったんだけどさぁ…】

【そうなんですか!?それは失礼しました。あ!それとそういえば、花咲先生なら、さっき少ししたら戻るといったきり全然帰って来ませんねー。】

 目まぐるしい出来事に、きょどってしまう。

【と、ところで、君はいったいここで何してんですか?】

【私ですか?私はこの部室に新しく本棚を置きたいと思っていたのでそれを今から運びに!】

【んー…そうすか…てか運べんの!?結構重いよあれ!デスクトップのpcぐらいあるぞ、これ。】

【むー!!舐めてもらっては困ります!これでも中学までは運動部だったんですよ…!】

【……】

【それでは、私は本棚持ってくるので、花咲先生くるまで待っていてくださいね~。】

【そうすか。だけんど一応俺も共に手伝いますよ。暇だし。】

 というか、この人初対面の人によくこんな話せんなぁ、ましてや俺のような怪しい奴に。

【…ほんと、すげぇなぁ……】

【運んでくれるの!本当?ありがとー!!そしたらお願い!えへへっ!】

【まぁ、その見た目から力とかそういうのにコンプレックス抱いて、見栄を張りたいのは分かりますわ。】

【な、なにを!!?】

【それでも、プリティってのは普通に納得できますし、】

【へぇ!?】

ん?俺何言っちゃってんの俺。ヤベェ変なこと言っちまった!出会いや、恋愛、そもそも青春という天敵のいる世界から遠く遠く離れたオアシスという名のボッチな俺がこんなこと言ったらまず、キモがられるくね?やだなぁ。余計なこと言わなければ良かった。神さま、出来れば蔑んだ目で彼女が俺を見ていることだけは勘弁して下さい。というか、あれだ、こういう場は相手も関わりたくないし、俺もこの場に居たくない。互いのメリットを考えれば、【やっべぇ、用事できちまったわぁ。】とか言って自然な流れで撤退するのがいいだろう。

二度と俺の人生のレールには入ってこないことは間違いなしだ。それに彼女自身も多分俺という名の生きる屍のことなんぞ、嫌悪を抱いているだろうし、ならばこれこそ一石二鳥というやつだ。因みに根拠は俺自身の実体験だ。


 (ーーガチャッ!!!)

【わぁ!?】

【おっす!諸君! 】

 ん?この声は!!

【先生、部室に来いと言われましたが、肝心の貴方が居ないんで驚きましたよ。】

生憎にも待ち合わせをしていたあのティーチャーが会話の沈黙をぶった切ってくれたお陰で一安心というところか。

【すまないな、職員会議が長引いてな。それはそうと霧雨、五反田とはもう面識がある様だな。】

【ん?いえ、俺はそんな人知らないですし、友達なんて同学年は愚か、先輩たちにも居ませんよ。】

【あーね、そうだったな…すまない。言い方を変えよう、今君が話していた彼女こそが五反田その人だ。】

【そ、そうなんですか。五反田さん、でしたっけ…。まぁ、あの、よろしくおねがいします。】

【うん!よろしくね!えーっと、、、キリサメくんぅ?】

【お、おう…】

 五反田という名、俺はこの人を何処かで知っている。

 あっ、そうだ。五反田さんといえば、学年分けテストで全教科満点なぐらい頭がよくて、美少女で、、、

【こ、五反田さんってまさか、この辺りじゃ有名な名門家っていう、あの五反田さんか?】

【そうだ、彼女は資産家である五反田家の娘さんの五反田 麗華だ。「ごたんだ れいか」】

【なんだ霧雨、君にしては鋭いではないか?】

まぁ、たまたまクラスの連中の話を盗み聞きしてただけなんですけどね。

【そんな、高嶺のお方がこんな辺境の地で何をなさっているんですか?】

【辺境の地、酷い!さっきも言った通りここは部活動なの!!それと、私はそんなに偉くなし、

 貴方もこの部に入るんでしょ?…。】

【は?】

【五反田君の言う通りだ。君には今から私が認めるまでこの部に入ってもらおう!】

は?いやいやいやいやいやいやふざけんな。俺のことを先生だろうが、高嶺の女子生徒だろうが勝手に決めんな。これについては、他人に決められる筋合いは無い。俺の今までしてきたことに対して悔いは残りまくり、だが…。底辺は底辺なりに意地はある!

【いや、それはちょっと…】

【すまない、五反田、私の話しを聞いてもらって。】

【いえ、私達も人数が増えますから!!】

【はぁ?いやいやなんだよ、それ。部活ってなんのことだ?誰が、なにに入るだって?】

【ノンノンノン霧雨。君だよ。君の話しをしているのだよ。霧雨、前にも行ったが、必要なのは信頼だ。その為にはまず、人と支え合い、人を助けることが大切になってくる。病気は気から、信頼するには、まずは信頼されることからだ!!そうしなければ、なにも始まらない!つまり君はこの部に入り、学び、人助けをしなければならない!】

【ちょっ、それってどう言う意味すか?というか、最終決定権は俺にあるんです。その事実は譲れませんし、揺るぎませんよ。】

【登校日初日にー!!!!】

あっこれまずいぞ、これ。

【先生、分かりました!なんでも聞きます!聞きますから!!】

【うむ、潔は宜しくて結構。それと、霧雨。お前に言ったことは覚えているな?】

【え、えぇ…。ソレハ、分かっていますが、この部の趣旨や方向性、何なら部の名前すら聞いてないですけど…】

【この部がなんなのか当ててみるんだな。君なら当てられるんじゃないのか?その他、何もないなら私は今日は失礼するが?】

【ちょっ、ちょっ!!先生!!】

(バタンっ!!!)

【…】

  嫌な予感とともにゆっくりと後ろを向くと五反田 麗華が俺に訪ねてきた。

【それじゃあ出題者は私に変更ということで!当てて見てくださいね!!】

【うっ…。】

そんなはにかんだ笑顔でこっちを見るんじゃない。この百戦錬磨の俺は決して騙されない。男子というものは常に恋心と戦争をしていて、ちょっとしたことで好きになったり嫌いになったりする案外チョロいものである。しかし、俺は理性というものを完全に制圧仕切っている。かつてのフランスのヴェルサイユ宮殿の中のルイさんを追い出して、農民がその宮殿を悠々と使っている様なものである。というわけで俺は、絶対に恋に落ちたり、振り回されたりは二度としない。引用元は俺だ。俺だけだ。

あれは、何年か前の話だったか。中学1年の頃の俺は正直言ってヒヨコ、稚拙、精神的幼気。いわゆるピュアだったのだ。そんな俺は気になる女の子と二人きりになれるチャンスを掴むべく、放課後彼女の動向を、部活に行く前の少しの時間の中で見つけていた。一応、述べておくが、彼女の名前は、坂之下泡美。「さかのした あみ」

誰にでも優しく、黒髪ロングが似合う、クールな子だ。意識する内にわかったことだが、水曜日と金曜日は放課後、一人で自習をしている事がわかった。人というものは不思議なものだ。その人を知れば知るほど興味が湧いてくる。俺は積もり積もっていた想いを伝えようと、とある金曜日に後から教室に入り、話しかけることにしたのだが。

【あ、あのー坂之下さん、いる…?】

 教室に入りかけた俺はふとある事に気がつく。よく見ると、今日はその子の背景に男女複数の集団が雑談していた。ソノコもまた、そのうちの一人であった。思いもがけないハプニングに憤りを感じながらも、少し様子を伺う事にした。

【てか、今週の理科の宿題マジめんどいよねー。】

【ほんと、ほんと。マジでめんどいわ。つーか、泡美ー?あの、霧雨とかいう奴の事は、どうなったん?】

 自分の名前が出た瞬間、驚きを隠せなくて、教室のドアから少し離れて警戒してしまった。それと同時に、自分の事を話していることに対してワクワクと期待が、体全体を駆け巡った。

【あーそれなんだけど…】

 心臓の鼓動が加速するのがわかる。今にも胸から飛び出してしまうかのように。

【正直言って、】

 来るか!?来るか!!?

【迷惑】

 えっ?…………

【だよねー。あの人さー、前私が話してた時とかもマジでキョドッてたしぃー。】

【あいつやべーよな、お前の方ばっか向いてんもんなぁー。悪く言うつもりはないけど、俺がお前の彼氏って知ってるんかねー?】

【ちょっと、ちょっと、皆んな…!そんなに言わなくてもいいと言うか。まぁ、その気持ち悪いというか、その…コワイの。】

【迷惑?怖い?なにそれ。】

 その時の気持ちというのはもう覚えてはいないが、その後俺はその場を直ちにに去り、一階下までかけこみ、誰もいない教室に倒れこんでいた。机や椅子は散佚した状態になってしまったわけだが、それに気を使う余裕などは微塵もなかったであろう。ドアも開けっぱなしで、誰に気を使うわけでもなく、ただひたすら絶望し、必死に思考を巡らせるが、現実という名の体を蝕む茨に縛り苦しめられ、消魂してダッチロール状態になった。そこから少しずつ考えを放棄する度に意識が遠のいていくのがわかる。何時間たっただろうか。生徒は誰もいなくなっていた。

【今日は雨だから皆んな運動部も早いのか…】

 死人のような目で蹌踉めきながら昇降口まで向かっていく。

【もうどうでもいいや…】

 傘もささずに鞄も制服もびしょびしょになりながらゆっくりとした足取りで歩いていく。

【……】

 気がつくと家の前まで到達していたが、そこで誰かに押し潰されたかのように、己の足が動かなくなり、座り込んだ。そこで再び抑えていた感情が、心の器の中から溢れ出した。

【…怖い…か。…………そりゃぁ…ねぇでしょうよ。】

 そこから数時間、その場で座り込んでいた。今思い返すと、その日の俺の唯一の救いはその雨だけだったのが知れない。

 その日から、己がいじめられている事に気がつき、二度と同じ過ちはおかさないという態勢と耐性を手に入れたのだ。それと余談だけど、好きな子を追うのは勝手だが、あまり度が過ぎるとストーカー染みた行動になるからやめた方がいいぞ。キモがられるし、今のご時世だ。どうなるかわからん。

 とまぁ、そういう話があったような気もするが、とりあえず今は五反田さんの質問に答えなければ!

【おう…そうだな、演劇部かなんかだろう?】

【ブッブー!全然違うよキリキリ!!花咲先生の感が外れるのは珍しいなぁ…。】

おい、何勝手に期待して煽ってんのこの子。そう、期待する事は自分の勝手な価値観で生み出された偽造であり、それを俺とは呼ばない。

【まじかぁ。まぁ、期待に応えられなくて悪かったな。というか、キリキリって何?やめてほしいんですけど…なにその謎の造語?】

【いいじゃん!あだ名ぐらい!えっとそういえば、演劇部を選んだ理由はなんでなの??理由を教えて?】

【ん?そんなに考えた発想じゃないぞ。この教室を見渡す限り机や椅子、そんなもんしかない。更に付け加えるなら、この部室は何か特殊な機材などがないし、広さは新聞部や漫研とかよりも広いし。だから演劇や何かを短期的に演出したり片付けたりする事も楽であり、わざわざ視聴覚や特別室といった広い部屋を借りなくて済むだろう?それと、お前がさっき運びにいこうとかいってた本棚の需要性を考えるのに、劇をする台本や常日頃から役になりきるための本などを置くんじゃねえかと思っただけだ。】

【……す、凄いよ!!キリキリ!!ちゃんと考えてたんだ!】

【おい、どうでもいいが、純粋な心でディスるのはやめてくれ。】

ほんとそうだ。この子何気毒舌!!まぁ、毒舌っこも嫌いじゃないけどね、実は。

【で、何部なんだ?ここは…】

【えっ?もっと考えないの?もっと聞きたいなー、キリキリぃー!!】

【ばっ、うるさい!こっちに這い寄ってくるな!!もう何も出てこんぞ!…あのな、五反田さん。】

【五反田でいいよ。さんなんてつけないで!これからのナカマだからね!!】

【あっはい。】

【敬語もなし!】

【へいへい、分かりましたよ。初対面の人には敬語を使わないのは、慣れてないんだよ。悪かったな。】

【うん!】

【だが、お前はやっぱり俺のことをわかってない。】

【へ?】

【俺はお前らと違って自分の利益になるようなことしか考えないし、行動もしない。この部に入るのも、元はと言えば花咲先生に迷惑をかけた事を考慮しての決断だ。仮にこの部に入ったとしても、俺は自分のメリットの範疇でしか行動はしないから、お友達ごっこなんていう贋造(がんぞう)を作り上げるなんて事は申し訳ないが、賛同できない。

 先生はシンライだとか、なんとか言ってたが、俺は自分しか信頼しないし、お前とも協力して何かを成し遂げるとは一言も言ってない。つまり、俺は一般的に言えば自己中心そのものなのさ。まぁ、具体的に表現するなら、超自己保身的なわけだ。意味がないのさ。俺に近づいても、何をしても。だから仲良くしようなんてもう思わ…】

【ん~、ダメなのかな?それじゃ…】

【え…いや、俺の話聞いてたか?おい!】

【だから、別に無理して協力とか自分を変えるとか、私はしなくていいと思うんだけど。自分らしくしていればいいんじゃないの?】

【ぁ……五反田、お前…】

【そういえば!もっとさっきの続き聞かせてよぉ!】

【どのみちな、それは無理だ。あくまで俺はここにある物を適当な推察と絡めて導き出しただけだ。俺は自分にとって害がある事をやられた時は根に持つタイプだが、どうでもいい事に関しては無関心だからな。手に届きそうな事にしか手は伸ばさん。俺のポリシーだ。簡単に言えば、分からん。さっきの以外には出てこねぇよ。それにさっきは動揺していて忘れていたが、花咲先生曰く、誰かを助けるような活動なんだろ?で、何部なんだ?】

 人間というモノには感性があり、人それぞれやはり事実に対する解釈が異なるのだろう。見えている世界が違うのだろう。そう言った意味では、やはりニーチェの意見は正しいのかもしれない。しかし、本当に大切なのは物の解釈ではないのだろうか?それは、解釈する側面に意義があるものであり、自分だけを支柱に収めていてはいつまでたっても己の背中だけを見つめている事になる。周りにいる人間は自分にとって、確かにただのタニンかもしれない。だが実際、俺は今日五反田という人間が見えている世界に少しだが触れることができた。それはまぎれもない真実だ。つまり、赤の他人でも己の力になり得るかもしれないという事だ。その時、今まで固く閉ざされていた、その重く暗い部屋の中に一筋の光が差し込んだ気がした。

【正解はね…。】

不意に彼女が、くるりと後ろに振り返り、少し歩きまたこちらを見ながらこう言った。

【ようこそ!サポート同好会へ!!】

【は?…なにそれ?】


 終わり



今回ではヒロインの登場と霧雨君のキャラが掘り下げられていましたね。

ようやく本編が始まるかって感じです!!次回もお楽しみに!

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