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wuthering and weathering

ash / (untitled)

作者: MHC02251

 ash


風邪薬を飲んで

セルフサーヴィスの墓場へ向かう

コールタールのような思いやりで舗装された道は

ぶよぶよの魂でごった返し

立ち並ぶ露店では首の無い子供たちが声をはりあげる


樹皮を剥ぎとる

ぼくは葬儀の中で眠りこけていた

樹液はぼくの指先にこびりつき

石鹸で何度洗ってもとれない

君は素足でスキップしている

耳元でささやかなくても

ぼくは諳んじて

刻印をなぞる

それもまた奪われるのだけれど


眼を購うために眼を支払い

耳を購うために耳を支払い

あいまいな記憶を次々と売りとばしては

役立たずの思い出を次々と買い入れる

首の無い子供たちは

救いを求める手だての無い死体を解剖するように

冷然と事を運ぶ


雨はいってしまった

ぼくは泥の中にとり残され

昼も夜も鏡に半身を映す

もう一方の鏡面で

ぼくは幸せでいるだろうか

君はすすけた窓を覗いている


墓場では

規格通りの天国をあてがわれて

墓標たちが歓喜の歌を叫ぶ

つぎはぎだらけの空は

かつて生きていた人々に蝕まれ

今ではもう

つまらない善意のように醜い




 (untitled)


ゆるやかに傾斜している

君はバランスをとりながら

ぼくから遠離ってゆく

ぼくは台所の床に寝そべって

冷たいミルクを夢見ている


腐臭に酔いながら

汗だくになって穴を掘る

爪が剥がれても

泣きじゃくりながら

死体置場に帰りたくないばかりに

血まみれになって

まだ小さすぎると

汗を拭いもせず

一心不乱に


雲を切りとって

そっと冷蔵庫にしまっておいたけれど

それは雨になって

ぼくはお母さんに叱られてしまった



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