2 不思議な1日目
異世界から来たという彼女は俺の部屋でうずくまって、泣き続けた。
泣き続ける彼女は戦いとはほど遠い一般的は少女のようであった。
しかし日が暮れ夜になると彼女は急に俺に対して話かけてきた
「食事が欲しい」
彼女はおなかがすいてしまったようだ
「今、作ってくるから」
俺は急いで1階のキッチンに向かった
さて、何を作ろうか
見るからに彼女は外国から来たかのようであったから日本食はだめかな、でもごはんは炊いてしまったし、みそ汁も作ってしまった。
そういえば外国人観光客にから揚げが人気とどこかのニュースで見たことがある。
俺は、一人暮らしも長く、姉にも食事を作っていたから、自分の料理の腕に自信がある。
よし、それを作ってみるか。
「ふう、完成」
俺は二階に上がり自室にいる彼女を呼びに行った。
彼女は窓の外を眺めていた
絵になりそう。俺は内心そう感じてしまう。
食卓はいつもよりかなり豪勢だ。だっていつも一人で家でごはん食べていたんだし
彼女はなにか悟ったかのように俺に話しかけた
「私は一度死んでしまっている、いつもといた世界への戻るときなんてわからない。だけど、いつか必ずエスニアに戻る。なるべく迷惑はかけないから協力してくれないか」
「俺でい,いいなら協力しますよ」
声が上ずるこんな時協力しますってさらっといえるやつがうらやましい。
「感謝する」
彼女は俺の手を強く握りしめ、目は涙で潤んでいた。
「ゴホン、名前をいうのを忘れてた。私の名前はエレナ・オートヴィル。エレナと呼んでくれ。してお前の名は?」
「小林リョウマ。リョウマとでも呼んでください。よ、よろしく」
言葉につっかえながらも簡単な自己紹介を終え、また握手を交わし、共に一階の食卓に向かった。
「なんだ、これは!?」
エレナが食事を見て初めにあげた声はこれだ。
「この水につけてあっためたような小麦は何だ?野菜の入っているこの泥水みたいなのは何だ?この茶色い塊はなんだー? リョウマこれ食べて大丈夫なのか?」
「どうしてそんなにまずそうに言えるんだ」
そんなことを言って自分の作った食事がひどいこと言われているにも関わらず、女性から下の名前で呼ばれたことに対してひどく動揺してしまう自分がなさけない。
「まずその白いのがごはんといって米という作物を炊いたもので、それはみそ汁と言ってみそというものを水に溶かしたもので、あとこれは鳥の肉を油であげたもので・・・・」
ここで少し俺は笑ってしまった
「どうした、なぜ笑う?」
「なんか、こんなに真剣に俺の料理を見られるとね、なんかこうね」
エレナは少し顔を赤らめる
かわいいと思ってしまった。
俺は人と仲良くなるのが苦手だ、だけどエレナに対してはなぜかすぐに打ち解けることができた。不思議な話だ
エレナも朝から泣き続けたというのにそのときの表情はなくなっている。
「見た目は置いといて、味はなかなかだな」
エレナは笑顔で言う。
「ありがとう」
素直に言えた。普段だったらあまり言えないのに
「あの、ゼーエンとかエスニアの話してもらえないでしょうか?」
「ああ、協力者にこの話をするのは私の義務だな」
こういってエレナは話す。
「はるか昔はゼーエンとかエスニアなんてなかった、一つの国で一人の王と王に選ばれた四人の選帝侯がその国を支配していた。しかし、あるとき唯一の王が突然死んだ。結果、一つの国は分裂、エスニア王国、ゼーエン王国、バイエル公国、アスタリア王国となって成立した。その中で平和は続かなかった、再統一のため領土の接する四つの国はいがみ合い、戦争が頻発した。その戦争の中私は死んだ」
エレナは少し悲しげだ
「四つの国それぞれどんな国なの」
「えっと、わが王国エスニアは南にあって豊かな土地がある農業国だ。北のゼーエンは荒れた土地らしいが、海に面していて、東のバイエルは気温がかなり低く、常時雪が降るそうで噂では氷の大地があるという、西のアスタリアは周りが大森林で囲まれていて、中は良くわからないんだ、草原と花畑があるといわれているけど」
そんなこんなで食事を終えた。
「エレナさん」
「エレナと呼んでくれ」
ちょっとドキッとしてしまった。女の子を呼び捨てで呼ぶなんて
「エレナ、その鎧の恰好でいるのは疲れるでしょ、お風呂でも入って、着替えなよ」
「そうしよう、服を用意してくれないか」
そういえば姉の服がある。二階の姉の部屋に行ったらタンスに何個か残っていた。よかった
とりあえずパジャマを・・・・!?
猫の着ぐるみパジャマしかない、昔母が姉に買ってきたやつで一度も着てないやつだ
どうしよう
俺は欲望に負け、それに選んだ。
あと、パンツとブラジャーも選ばないといけないのか・・・・
ドキドキしながらさっと選んで下の階に行った
「取ってきました、お風呂はそちらです。このタオルでも使ってください」
「大丈夫か?かなり顔が赤いが、熱でもあるのか?」
エレナはいぶかしげな顔だ
「いや、そんなことはありません、ごゆっくりと」
「わかった、ありがとう」
エレナはお風呂にむかっていった。
俺はその間皿を洗いながらエレナのことを考えた
これから彼女とともに過ごすのか・・・どうしようか・・・美人だし・・・
いやいや、何もしません、何もしません・・・って
うーんどうすればいいんだろう
こんなことってあっていいのか?
ガタン
エレナが風呂から出てきたようだ
「あ、あ・・・・・」
俺はエレナを見た瞬間言葉が出てこなかった
この年の女の子が、そしてこの美人エレナが猫のしっぽがついてて、猫耳のあるフード付きのパジャマを着てるなんて・・・・・・
可愛すぎるのだけれど・・・
「どうしたリョーマ、日本という国の文化はこんなものを着る感じなのか、めずらしいな、あしたこれで外に出てみようか」
「やめてくれー、外は違う服で頼むー」
「あと聞きたいことがあるのだけれど、これはなんだ?」
ブラジャーだ。
「リョーマこれはどこに身に着ける服なんだ?よくわからないぞ」
エレナはブラジャーを俺に見せつける。
「えっとそれはその・・・・胸に着けるもので・・・・」
「なに?聞こえないぞ」
「それは胸に着けて抑えるようなものです」
「そうか」
エレナはそう言って服を脱ぎ始めた
「おい、ここで脱がないで」
見たい気もするが、顔を当てられない
「すまない、リョーマそういえばお前、男だったな、あちらのほうで付けてくる」
エレナは風呂場のほうに向かっていった
「うん、付けて来たぞ」
「ふーよかった、少し大きいかと思ったんだよ」
「ん、なんか言ったか?」
やば、かなりまずいことを言ってしまった
「ならいいや、水とかもらえるか」
「はいはい」
水をもっていく
エレナは水をゴクゴクと飲んで言う
「あの、エレナ、俺明日から学校に行かなくてはいけないんだ、だから明日からは家でゆっくりしておいてくれないか」
部屋とかは姉が使っていた部屋を使ってもらえばいいだろう
「なるほどなこの世界にも学校があるのか、わかった明日からは私はこの家にいる、リョーマは学校で勉強を励んでくれ、私が元いた世界に戻れる方法がわかったら教えてくれ、私も考えるから」
たぶん元いた世界への戻り方が高校でわかるとは思わないけど
「わかった、探してみるよ、エレナは家から出ないでくれ、今度俺が休みの時に外に出よう」
「そうだな、じゃあ今日は寝ようとしよう、おやすみリョウマ」
「お、おやすみ」
おやすみなんて人に言われるのはいつぶりだろうか?
俺はベッドに転がりながら天井に向かって手を伸ばす、俺は何かに向かって手を伸ばしてるはずなのに、 何を求めているのか全く分からない、なんなんだろうか
俺はその不思議な日の一日目を終えた。