表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『七行詩集』

七行詩 791.~800.

作者: s.h.n



『七行詩』


791.


赤いドレスは 他の人には着せられない


スローダンスは 他の誰かとは踊れない


他の誰かのために書く歌など


きっと私のものではない


全ては移ろいゆくもので


私は最も鮮やかな色を この胸に焼き付けたまま


人知れず 一息に 枯れてゆくことを望みます



792.「slow dance」


傷ついた情景に 僕らは恋した


ずっと泣いてたんだよ 声には出さずに


嘘は寒がりで 気づかれたがっていた


ずっと待ってたんだよ 肩が震えだした


手を取り踊ろう 永遠の輪の中で


或いは 束の間の夢の中で


今だけは こんなに近くに居るのだから



793.「望みの場所に」


この先 進み続ければ


たくさんの出会いが 私にも訪れるでしょう


しかし 私の足を止めるほどの出会いは


この先 訪れることはないでしょう


私はもう立ち止まらない 貴方が再び歩ませたこの道


並木道も 人ごみの中も 獣道も 砂漠でさえも


探すのは ただ一人だけ



794.


未だ完成しない この声は


貴方のもとに 届くべく歌声となるのか


或いは 悲痛な叫びとなるのか


それがどんなものであれ


私にしか 持ち得ないものとなるでしょう


かつての出会いのよろこびが


私にしか 持ち得ないものであったように



795.


出会いは 広い交差点で


起こる一瞬のすれ違いでしかない


私の胸に 灯り続ける明かりは


どんな夜道も 一人で歩かせる 導きの光


私は貴方を見つけました


しかし貴方はまだ 私を知らない


私達はまだ 出会ってもいないのです



796.


私は 貴方の顔を見るのが怖い


愛しい笑顔が 私の前で


消えていくのが怖いから


遠くで見せていてください


それだけが許されるのなら


私は願い続ける


この冬が いつまでも続きますようにと



797.


一つの絵として見つめれば


互いに背を向ける 百合の花は


どうしてこんなに美しいのか


少し考えてみたけれど


ただ身を寄せ合うばかりでなく


背を預け合う姿にこそ


胸を打たれるのかもしれません



798.


人が何度でも 間違ってしまうのは


間違いの反対は 正解でもなく


正解の反対が 間違いでもないから


しかし そのあやふやが 言葉や音楽になるとき


はじまりから 終止線へと向かう中で


間違いだらけの私でも 一つの正しい形を手にする


それが私の全てでなくても そんな私を見てください



799.


貴方のものでは なかったかもしれない


私が 拾われることはなかったから


短い時間では 広げきれない


今の私では 奏できれない


想いを象り 形を得た 私の宝物たち


届くなら 貴方でなくてはいけなかった理由が


これらの歌の中に あるのがわかるでしょう



800.


まるで最初の頃と変わらない


最前列で見つめられるなら


それが最善だと 笑うしかない


吸いもしない 煙草の匂いを被っては


人生は苦いものなのだと 時々頭を抱えながら


足を止めず しかし 狭い路地を選んでしまう


私も貴方も 良くできた人形でしかない





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ