仕舞い込んだ男
男の物語は、最早空想の域を逸脱していた。
世界を震撼させる目に見えぬ恐怖。
行き場の無い、遣り場の無い
閉塞感だけが漂う中で
様々な、中止延期自粛が問われる中
男は、いっその事
2020年そのものを延期するのは
如何なものかと考えた。
今後暫く、全ての時計の針を止め
熱りが覚めたのを確認して
2020年を再開する。
……………………
これを世間に発表すれば、
恐らく混乱を来すだろう。
しかし、それを恐れず
我々の生き延びる道を、
今模索しなければ。。。
男は、悩み抜いた末
混乱を避け
誰にも告げる事なく
自分の胸に仕舞い込むことにした。