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Fin - 0 デッドエンド
人生の最期は美しいものだと思っていた。けれど、俺の人生はあっけなかったんだ。
美しくなんてないんだ。
昨日学校の帰り道に蹴っ飛ばした道端のいしっころが次の日には見当たらない。
きっと、そんな感じなんだ。
少年は神を名乗る少女と対峙する。
その眼光は鋭く、ただじっと彼女を捉えた。少女も同じように目線を交わした。
あどけない双眸が慈愛に満ちた表情で少年を見つめていた。
少年は腰に差した鞘から剣を抜く。夜を映し出したかのような真っ黒い刀身がギラリと煌めいた。
少女も同様に剣を抜いた。少年の持つ剣とは対照的な雲のように透き通る白刃。
二人は言葉を交わした。
少年はしんと静まり返った世界に轟く怒号。少女はそれを包み込むような優しさを響かせた。
やがて、二人は切っ先を向け合い、その剣を振るった。
「行くぜ、女神様」
「おいで、私の騎士様」
それは彼女が見た悪夢。
それは勇者たちが生きた現実《’K’nightmare》
少年は少女の胸にピリオドを打つ。