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客観的には塩コショウ程度のスパイス

スパイスを振りかけたやつはヘタレ

作者: たまご

それは少し肌寒さを感じ始めた、とある夕暮れ時に突然始まった。



「おい、お前ら相談に乗ってくれ。」


山田は目の前にいる二人の男子に向かってそう言い放った。放課後の今、クラスには3人しかいない。


「なんのだよ。」


そう答えたのは桃井。いかにもスポーツしてますよ、な外見である。事実、彼はサッカー部である。


「あれじゃない?桃井の妹」

「はぁ?まゆみの?」


眼鏡をかけた軟弱そうな男、丸岡がかりんとう桃井に言う。丸岡は通称丸ちゃん。


「え、ちょっ。ま、まるちゃん、すとっぷ!」



あれ?なんでばれてんの?俺言ったっけ?


「なにさ。ってか桃井マジで気がついてなかったの?」

「は?え?マジでなんのこと?え?まゆみが好きなん?」


呆れ顔の丸ちゃんとは対照ににやにやしだした桃井。山田ってば、顔真っ赤~これは絶対恋愛話だろと笑い出す始末である。



高校二年生の男子も恋愛話で盛り上がったりぐらいする。しかし、普通はもっとエロ話だ。


好きな人がいたことがバレたぐらいでこの照れよう。なんなんだ。気持ち悪い。なんなんだこのピュアピュア感!さらさらヘアーにスッキリして割りとモテそうな感じなのに根が小心者のヘタレなやろう、山田をみてため息がでる。むしろ、ため息しか出ない!顔と性格合ってないだろ。


今だ脳が小学生から成長しきれず、山田をからかう桃井にも呆れて丸ちゃんはさらにため息がでた。


いつもの仲良し三人組のなかで一番男らしいのは 眼鏡男子、丸ちゃんだ。



「桃井、多分山田が好きなの妹じゃなくて、その友達だろ?」

「まゆみの友達?」

「ほら、お前んち玄関に写真飾ってるだろ?そんなかにさ、まゆみちゃんと二人で写ってる女の子いるだろ?」

「えー、んなのあったかぁ?」



おれ、まゆみの友達とか知らねぇよ。ってか。あそこ写真だらけでわかんねぇ、と桃井はうんうんと思い出そうと頭を捻るが思い浮かばない。ふと、桃井は顔をあげて丸ちゃんを見た。



「なんで、丸ちゃん山田の好きなやつしってるん?」

「お前んち幾度にさ、その子が写ってる写真めっちゃみてたぞ?むしろなんで、お前が気づかなかったんだよ」

「えー、そんなの気づかないだろ~。そんで、山田は知り合いな訳?」


二人はさっきからもじもじと恥ずかしそうにしてる山田を見た。きもい。


「しらない。」

「とりあえずさ、しょげないで。まずは話を聞くからもじもじやめて?気持ち悪い。」


丸ちゃんは野郎の照れてるところなんて目に毒だとばかりに悪態をつく。山田はしょげつつも二人にことの成り行きを話し出した。







それは、はじめて桃井の家にいったときのこと。玄関の家族写真からはじまるたくさんの写真が飾られていることに驚いた。家族なかよすぎだろうと思いながらふと桃井の妹の友達に目がいった。うわ、すごい好みって思った。でもそんときは可愛いなってそれだけだったんだけど、ある日道端でその子を見かけてあ、家の方面おんなじなんだって思って。ってか俺の弟と同じ笹の葉高校だ。そらそうか、まゆみちゃんもそうだし。なんて、親近感がわいて、いつのまにか、弟にさりげなくその子の話を聞いたりしてたらバレたりして情報もらって、、、




「で、告白でもすんの?」

「したいなって」


なるほど。

じゃあさ、はいはーいと桃井がてを挙げる。


「はいどうぞ、桃井くん。」

「まゆみに手伝ってもらう?ってかさ、最初からまゆみに手伝ってもらえばよかったんじゃね?」


そのほうがさ、はやくない?とどや顔の桃井くん。考えた。その方法も考えた。桃井の妹に手伝ってもらえないかな?って、でもさ


「女の子ってさ、そういうのさといだろ?俺、ヘタレなところあるから、バレたらそんな男を兄の友達だからって紹介したくないだろうし、、、俺、ヘタレじゃないしな」


うんうん、と自分に言い聞かせるようにヘタレじゃないを繰り返す山田。


ヘタレなところしかねーよ。二人の心は今一つになった。


「今日、帰り道に声かけて見る。そんで、こ、告白!する!」

「帰る時間帯とかわかんの?」

「弟にお願いしてだいたいの時間を聞いた!」


弟ドンマイ、ってか優しいなあいつ、と丸ちゃんは山田の弟を思いだす。ストーカーチックなことを弟にさせたのか?いや、聞かないでおこう。その疑問はなかったことにした。



「いきなり声かけていいもん?変だって思われない?」


いざやると決めれば出てくるのは不安ばかり。おろおろしながら二人の意見を待つ。


「まぁ、気持ちぐらいは受け取ってくれんじゃない?(顔はイケメンだし)」


と丸ちゃん。なるほど。確かに優しい人だと弟のキノも言ってた。うんうんと気持ちぐらいは!と気分浮上。勇気もなんだかでてきた。


「俺いーことおもいついちゃったかも!!」

「え、なになに?」


桃井は自信満々そうにそう言った。山田は期待の目を桃井に向ける。この瞬間、丸ちゃんは山田の告白が残念な結果になることが予想できた、がその予想もなかったことにした。今、何をいっても不安がるしそしたら告白なんて無理そうだ。それなら、残念な結果に終わることになっても山田を慰めればいい。行動を起こすことが大切だよな。と丸ちゃんは思うからだ。丸ちゃんは三人のなかで一番男らしい、いや、母ちゃんのような性格である。



「道端で声をかけてな?スミマセンみたいな?前からこの道で見かけて一目惚れをしました。よかったらお友だちからお願いします!!!つって、そこでラインの交換をする」


どうよ?と桃井は自信ありげ。可もなく不可もない案なのに自信ありげ。桃井のわりにまともな案。まぁ、顔だけは割りと良いから丸ちゃんもいいんじゃない?と止めなかった。



「いいね」


すごくいい!!!とキラキラ顔の山田。







その日は出会えず、明くる日の夕方に告白をすることとなる。しかし、可もなく不可もない案すら実行されずにヘタレを十分に発揮するという結果になった。


丸ちゃんの予想通りである。






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