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未だ最弱の獣

本日1本目。


次は13時辺りに投稿致します故、少々お待ちを…。

――ヒュンッ――


アレから丸1時間…幾度か危うい場面はあったものの、すっかり空中移動にも慣れ…獲物を探すのにも余裕が出来てきた…。


「――見っけ♪」


空が小豆色に変わり始めた頃、再び見つけた獲物の姿に…飛び移るのを止めて、慎重に近寄る。


――ズルズルズル――


木の枝から、ゆっくりと…なるべく音を立てずに降り…やや上空から角兎を射程に捉える。


「――フッ…!」


頭の中で軌道イメージし、ソレに合うよう飛び掛かる強さを、姿勢を調節し…角兎の胴体目掛けて〝落下〟する。


幾度か試して分かった事だけど…このゲームにはちゃんとした物理法則が有って、慣性を伴った攻撃にはダメージが上乗せされるみたい。


――ヒュウッ!――


つまり何が言いたいかと言うと…落下の慣性を合わせたタックルは、通常の攻撃よりも更に火力が上がるってこと。


そしてコレも怪我の功名…幾度の落下と死を経た私は経験から、自身がギリギリ生存可能な〝高度〟を計算する事が出来るようになった…安全性を削り、一撃に全てを込めた一撃は…現在、私の有する攻撃のどれもを遥かに超過した火力を誇り――。


――ゴキッ――


「ミギュッ!?」

「ゴヴァッ…!?」


《角兎を討伐しました、経験値を獲得しました!》


一撃で〝角兎〟を狩る事が出来るようになったのである…私も瀕死だけど。


《レベルが上がりました!》

《新たな【称号】を獲得、〈兎狩り(ラビットキラー)〉を獲得しました!》


「ふ、フフフッ…計画通り…!」


視界が真っ赤に染まり、フラつきながら私はそう言う…勿論、後先考えずにこんな馬鹿な真似をした訳じゃない。


「――〝再生〟」


そう、私にはコレがある…少し前まで宝の持ち腐れだったこの能力。


――ジワァァァッ――


効果は単純、魔力を消費したHPの回復だ…具体的には。


――――――

【マオ・ディザイア】

【スライム】LV5/10

HP:36/200

MP:200

満腹:80%

――――――


コレが。


―――――

【マオ・ディザイア】

【スライム】LV5/10

HP:86/200

MP:1/200

満腹:80%

――――――


こうなる……〝アレ?…対して変わってなくない?〟と思ったでしょ?…確かに一見回復量は微妙に見えるかも知れない…しかし。


「レベル1の再生でこれだけの回復量なら申し分無いわね…大体4分の1の還元率ね」


今の所魔力の使い道が回復リソース以外の用途にしかならない事を考えても、リソースの有効活用と見れば素晴らしい能力よ、自然治癒やレベルが上がれば回復量と魔力の消費もぐっと改善される…使い続けて損は無いわ。


「それよりも…中々面白い【称号】を手に入れたわね」


名前からどういう物かは察せられるけど、見てみましょう。


――――――

〈兎狩り〉 レア度:★★★★☆

兎系の魔物を10体以上狩り続けた者に与えられる称号。


効果1:兎系エネミーに対するダメージの微上昇、被ダメージの微軽減。


効果2:兎系エネミーの素材ドロップ率が微上昇。


効果3:下位の兎系エネミーに〝恐怖(フィアー)(小)〟を付与、上位の兎系エネミーから〝ヘイト(中)〟を獲得。


――君の存在は彼等にとって脅威と成り、彼等にとって〝復讐の的〟となるだろう。――


――――――


「うん、良いわね!…これでもっと狩りが捗るわ!」


称号の系統からして、他の魔物にも似たような称号が有りそう、より上位の称号も有りそうだし…中々悪くないわね♪…。


「って言っても、流石にこのまま角兎だけを倒してレベルを上げるのは時間が掛かり過ぎるわね…できれば他の獲物も狙っていきたい所だけど…」


今の所候補は鹿と猪と鳥と狼…出現頻度と相性的には鳥系以外の魔物を狙いたい所ね。


兎の死肉で腹を満たし、生成された魔力を片端から再生に注ぎ込みながら…次の動きを考える。


そうしている間に小豆色の空は藍色に、果ては黒く変わり…蒼い天幕に覆い隠されていた星の砂粒が青く輝く月光の煽りを受けて眩く輝く。


その、宇宙的な絶景に見惚れる間も無く…〝夜〟が来た。



私は知らなかった…いや、よくよく考えればその片鱗は有ったのだけれど…私はソレに違和感を覚えなかった…。


〝何故〟…〝魔物達の姿が見当たらなかった〟のか。


――ザッ…ザッ…ザッ…――


ソレは、彼等の活動時間外であるというだけではない。


「グルルルルルゥ…」

「ホー…ホー…ホー…」


彼等〝陽の中〟を生きる者達は知っているのだ…〝夜〟は…己等の縄張りでは無いと言う事を。


――ピリッ――


「…何かしら、空気が変わったわね?」


ソレに気が付いた時には既に遅く…私は暗い森の中に取り残され、その背にはひんやりと冷たい夜の冷気が纏わり付き、私の恐怖心を擽る。


「…一先ず、移動しましょうか――」


そして、私が移動しようと触手を伸ばした…その時。


――ジッ!――


ふと…草葉から覗く〝金色の眼光〟と目が合い…その瞬間。


――ゾッ!――


驚きと、恐怖が混じった感情が奔り…私はその場から飛び退く…その本能的な行動は功を奏し。


――ズガンッ――


――と、音を立てて抉れる〝大地〟と、その上に振り下ろされた毛むくじゃらの腕が…確かな殺意を物語った。


「ちょっと…冗談キツイわね…!」

(今の一撃…〝見えなかった〟)


その一撃に、私は強い恐怖と焦燥に駆られる…みえなかった…そう言う原理の攻撃だとか、そんな話じゃない…もっと単純な、もっとシンプルな(理由)…。


「グルルルルゥッ!」

「明らかに〝格上〟じゃないの…!」


――――――

影色狼(シャドウウルフ)】LV16/20

HP:1800

MP:1000

満腹:36%

――――――


単純な〝ステータス(フィジカル)〟の差、故に。


後悔した所でもう遅い、既に夜は深まり…〝彼等の時間〟が来てしまったのだから。

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