安住の地、確保
2本目投稿、やったぜ。
「ホッ!」
「ミギュッ!?」
《角兎を倒しました、――》
《レベルが上がりました!》
《〈触手〉のレベルが上がりました、戦技〈掴む〉が解放されました》
アレから一度二度死に、三匹目の角兎を倒した頃…木陰の中を進み、周囲の気配をよく探る様になったからか、死ぬ事も無く順調に散策が進んでいた。
「――っと、やっとレベルが上がったわね…ソレに、戦技?…漸く自前の攻撃手段が手に入ったのかしら?」
そんな中、遂に私の器のレベルが上がり、ソレに付随して強化された能力に、急いでステータスを開き確認する……勿論、木陰に身を潜めて。
――――――
【マオ・ディザイア】
【スライム】LV2/10
HP:120
MP:120
満腹:45%
筋力:G−
速力:G−
知力:G−
物耐:G
魔耐:G−
知力:G−
信仰:G−
器用:G−
幸運:G−
【能力】
〈再生〉LV1、〈触手〉LV2、〈生存強化〉LV1
【称号】
〈最弱の魔物〉
――――――
悲しい、レベルアップの恩恵はHPとMPの上昇のみ…基礎スペックは相変わらずよわよわのざこざこなのね…。
「ま、まぁ良いわ…今重要なのは能力の方だから!」
自身に言い聞かせる様にして、私は〈触手〉の詳細を確認する…。
――――――
〈触手〉LV2 レア度:★★★★☆
能力系統:任意型
保有戦技:〈操作〉、〈掴む〉
概要:不定形型の魔物達に多く見られる能力、肉体から触手を生成し、ソレを手足の如く扱う。
概要2:レベルが上がる毎に触手の生成数と操作範囲が上がる。
――――――
――――――
戦技:〈掴む〉
魔力消費:10
概要:成長した触手の機能、物を掴む事が出来る。
概要2:筋力の補正によって掴める大きさや重量が変わる。
――――――
「――成る程、戦技って名を打ってるけど実態は能力の拡張ね…うん、良いじゃない!」
コレで相手に取り付いたり、壁を登ったり出来るって事でしょ?…石とかも投げれるし…悪くないわね!…。
「早速試したい……と、言いたいけれど」
いざ実際に検証を…と考えていた私は、しかし…その思考を一度取り止め、目の前に有る〝ソレ〟に目を向ける。
「――生憎、見つけちゃったわね…お誂向きに〝巣〟を作るのに良さそうな〝場所〟」
それは〝穴蔵〟だった…きっと角兎辺りが作った物なのだろう、中はガラ空きで、ずっと放置されていたのか、その中には砂が積もりつつあった。
「中に入るのは…この体なら問題なさそうね…ちょっと目立つから、落ち葉か何かで隠せば使えそうね!」
其処を拠点にすると決めた私は慎重に慎重を重ね、その場所に近付く…こんな好機、そう何度もある訳じゃない…嬉しさ余って無用心に駆け寄って、空から襲われてリスポーンなんて御免よ。
――ズルズルズルッ――
時間を掛けて、漸く廃棄された巣穴に入り込む…中はやはりそこそこの広さが有り、当面の生活には困らなさそうね。
「――さぁて、それじゃあ早速〝巣〟を作っていきましょうか」
さて…初めての〝巣〟…〝拠点作り〟ね。
「え〜っと、先ずは此処を私の〝魔力〟で満たして…っと」
――ジワァァァッ…――
巣を作る…とは言ったものの、そのやり方はとても簡単だ。
「後は〝寝床〟…適当に枯葉を集めて…コレで…あぁ、良いのね」
やり方は〝マーキング〟に近いわね…自分の魔力を空間に染み込ませて、休める場所を作ればそれで終わりだもの。
「後は〝名前〟…は、ランダムに着けられるのね、ならお願いするわ…コレでよし!」
《営巣―〝落葉の穴蔵〟を設営しました!》
《〝営巣〟についての情報をアンロック、ヘルプ機能に情報を追加しました》
設営を完了すると同時に、そんな音声ログが私のディスプレイに現れる…ソレを閉じると、私は漸くの〝安寧〟にほっと一息つく。
「漸くコレで一段落ね…随分と時間が掛かったけど…収穫は上々ね」
確かな充実感と共に、安堵を呟き…天上を見上げる…その時。
――ピロリンッ♪――
そんな軽快な音色と共に、私の目の前を大きなウィンドウが覆い尽くす。
『外部メッセージを受信しました!』
そして、システムメッセージがそう言うと…其処に受信したメッセージの差出人と内容を出力する。
「うん?…あぁ、お母さんから……キリも良いし、一度ログアウトしようかしら」
その内容を確認すると、私はそう決め…一度ログアウトする…。
〜〜〜〜〜
そして…再び目を開けると、其処は私の部屋だった…。
「んん…凄いわね、3時間位遊んでたのに、現実では1時間しか経ってない」
ベッドの隣にある目覚まし時計が示す時間を見ながら、私は現代技術の進化に思わずそう呟くと…それから、階下から香る美味しそうな匂いに、お腹を鳴らす。
「お姉ちゃん御飯だよー!」
「うん、分かってるよ美怜」
そして、元気よく扉を開けて現れた妹にそう返しながら…私は小休止がてら夕食に向かうのだった。
○●○●○●
「フフフッ……素晴らしいねぇ…彼女、もう〝巣〟を作ったんだねぇ」
其処は、真っ暗な…宇宙空間を模した世界…その中で、一人の男が楽しげに笑いながら、〝一匹の獣〟の軌跡を辿り…鑑賞に耽っていた。
「――ふむ…〝先行組〟達以外の他の〝演者〟達の中にも、少しずつ〝基盤〟を固め始めた者達も居るね…とは言え想定よりも若干展開が遅い…コレは少々〝企画〟を早めた方が良さそうかな?」
男はそう言いながら、カチカチと自身の機械仕掛けの頭部を弄りながら、愉しげな様子でそう呟きながら、無数に切替わる映像をじっくりと見詰める。
「いや、いや…まだ暫くは様子見しよう…〝定例会〟もまだ先だし、ね♪」
男はそう言うと、再び静かな〝観客〟の皮を被り…時折クスクスと愉悦を奏でながら、〝世界に散りばめられた混沌〟を観物するのだった。
【ヘルプ:営巣】
特定の条件下で作り出される〝魔物の住処〟…住まう魔物や環境によりその性質は変化する。
主な機能:リスポーンの固定及び、HP、MPの自然回復量上昇。
■■:この情報は、まだ開放されていません。




