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最弱からの脱却

――――――

【昇華】

上位種に至る道、器の全ステータスが大幅に強化される。


【再誕】

器を再構築する道、ステータスの強化は無いものの、その主固有の能力を獲得出来る。


――――――


――ピッ――


《【ビッグスライム】を選択します、宜しいですか?》


進化の螺旋が渦巻く中で、私は迷わず〝昇華〟を選択する。


「えぇ、これで良いわ…最優先は〝ステータスの強化〟だもの」


再誕進化で手に入る固有能力がどういう物かは気にはなるけれど、当たりかどうかも分からない賭けの為に貴重な強化手段をベットするのはリスキーが過ぎるわ。


《【ビッグスライム】への進化が選択されました、【昇華】を開始します》


選択が承認された瞬間…白い螺旋の渦は急速に収縮を始め…私の目の前に居る無数の〝魔物達〟が白い光の粒子となって消えてゆく。


《進化完了、【スライム】が【ビッグスライム】に昇華されます!》

《【称号】、【最弱の魔物】を喪失しました》


――――――

【マオ・ディザイア】

【ビッグスライム】LV1/20

HP:800/800

MP:500/500

満腹:100%


筋力:F

速力:F

物耐:F

魔耐:G

知力:G+

信仰:G−

器用:G+

幸運:G


【能力】

〈再生〉LV2、〈触手〉LV4、〈生存強化〉LV3



【称号】

〈兎狩り〉

――――――


そして、進化が完了した旨を告げるアナウンスと、それから表示される私の〝成長した器〟の姿を確認すると…光が徐々に収縮し…此処に来てから感じていた〝浮遊感〟が消えていくのを感じる。


画して、私は私に刻まれていた〝最弱〟の称号を返上するに至る…しかし、コレで満足しては行けない。


「〝最低限〟…これで先ず即死のラインは消えた…けど、まだ〝戦い〟に臨むには心許ない」


寧ろ、此処からが本番だ…。


――ビュンッ!――


「おかえり君達ッ、それじゃあ引き続き殺し合おうか!」


進化の影響か、更に伸縮が可能になった触手を駆使し…私は再び、この戦場を血で染め上げる…その地獄絵図を日が暮れるまで繰り返し…遂に。


――ベキッ――


《新たな【称号】を獲得、〈野蛮な獣〉を獲得しました》


――――――

〈野蛮な獣〉 レア度:★★★☆☆

休む間も無く戦いに挑んだ魔物に与えられる称号。


効果1:自身よりレベルの低い魔物から襲われなくなる。


――血に濡れた爪、赤く染まった牙…嗚呼恐ろしき魔獣よ、次はその牙を何に向ける?――


――――――


傷を重ねながらも最期の生き残りを屠り去った頃には…辺りは血みどろの死骸の山に変わり果て…私の前に現れる獣は一匹と姿を現す事は無かった。


○●○●○●


――ピクッ――


其処は何処だろうか…幻想的な草木と花の世界…其処に居た〝ソレ〟は…ふと、大地を通じて感じた…その〝気配〟に目を開く。


――ジッ――


まるで夢を見る様に、ソレは脳裏に〝死と闘争の地獄〟を映すと…その地獄を作り上げた〝元凶〟の姿を一目見て…思慮に耽る。


――パチッ…――


暫くの黙考の後、ソレは瞳を閉ざし…再び自らに集う〝童達〟に、己の身体を預ける…。


その脳裏に…血濡れた〝獣〟の姿を、刻み付けて。



●○●○●○


――ボリボリボリッ――


「――さぁて、コレからどうしようかな」


裂けた鹿の前足を引き千切り、消化する…地面に染み込んだ血液を啜り、角兎の亡骸を丸呑みにする。


地獄の戦いを終えた後…私は日暮れまでの間、〈能力〉の鍛錬と獲得の為に地獄の清掃活動をしていた…。


――ゴクンッ――


《新たな【能力】を獲得、〈雑食〉を獲得しました!》

「あ、御目当ての【能力】をゲットしたわね…重畳重畳♪」


――――――

〈雑食〉 レア度:★★★★☆

能力系統:常時発動型

餌、食事を吸収し、空腹度を回復する能力。


効果1:捕食可能な物が増える。

効果2:満腹度回復量上昇。

――――――


「後はコレを鍛えながら…確か満腹度を超過して食べ続けると称号が手に入るんだったかしら?」


《新たな【称号】を獲得、〈貪食〉を獲得しました》


――――――

〈貪食〉 レア度:★★★★☆

満腹度を超過して尚も食べる事を止めない者に与えられる称号。


効果1:満腹度の上限値が50%増加。

効果2:満腹度の消費量が100%増加。

効果3:満腹度が20%以下の時、〈貪食の獣〉の状態異常を付与。


――愚者よ、何故汝は飽きたらぬ?…喰らえども喰らえども、既に満ちた腹がこれ以上満ちる事は無いだろうに――


――――――

――――――

〈貪食の獣〉 状態異常


効果1:全ステータスを増加。

効果2:最短距離に居る生物を敵味方問わず自動攻撃する。

――――――


「ふぅん…効果は中々悪くないわね…デメリット有りとは言え称号の効果としては悪くない当たりね」


敵味方問わずって言うのがネックだけど…今の所誰かと手を組む事は考えてないし無視して良さそうね。


「よーし、この調子でじゃんじゃん【能力】集めて行くわよー!」


と…調子に乗って日暮れまで能力を鍛え続けた結果どうなったかと言うと――。



――――――

【マオ・ディザイア】

【ビッグスライム】LV10/20

HP:1000/1000

MP:700/700

満腹:148%


筋力:F

速力:F

物耐:F

魔耐:G

知力:G+

信仰:G−

器用:G+

幸運:G


【能力】

〈再生〉LV2、〈触手〉LV4、〈生存強化〉LV3、〈突進〉LV2、〈跳躍〉LV2、〈雑食〉LV4



【称号】

〈兎狩り〉、〈野蛮な獣〉、〈貪食〉

――――――


「いやぁ…見違える程強くなったわね…うん」


昨日の今日で此処まで成長した、出来たと言う事実に我ながら感心と恐怖を感じるわね…恐るべし〝地獄の戦い〟…。


「とは言えこれでもまだ〝夜の魔物〟には及ばない…此処で慢心している場合じゃないわね」


そうして、私が自身の成果に達成感を覚えていると…遂に空は藍色のヴェールを纏い始め、煌めく星の砂が、その存在を主張し始める。



そして、再び〝夜〟が来た。

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