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1.序章
命ごと、捧げると誓った。何があっても守り抜くと誓った。
剣を捧げた主を守り切るためにあいつと主を先に逃がして殿を務めると言った。
この命を賭して守り切ると…そう、あの時は誓ったつもりだった。本当に。
そうしてあの方の元へ生きて帰るのだ、と。
だが、無為に過ぎ去っていく時間の中で、何度も、何度も繰り返した。
本当にそうだったのか?
本当は、自分が主を死なせてしまうことが怖かったのではないのか?
自分の力が足りなくて、目の前で失うのを見たくなかっただけではないのか?
守れなかったとあの方に、失望されるのが恐ろしかっただけではなかったか?
今になっても分からない。
何が正解だったのか、どうするべきだったのか…何年経っても分からない。
ただ分かるのは………主君も、あいつも、あの方も。
もう、この世にはいないということだけだ。
オスヴァルトだけが…無様にも生き残った。




