第5話 旦那さんが、逃亡?
出勤時から、暗い顔の新人の山田さん。まさか、旦那さんが、出て行くなんて、、、
うちの清掃会社は、都内にある大きな高層ビル。階数ごとに、時間をわけて、オフィスを掃除しているのである。報告、連絡はまめにするように引き継ぎ時間があるのだ。
私 「山田さん、いつも出勤が時間ギリギリだから、5分前には制服に着替えて引き継ぎにでてね」
山田 「……すみません」消える声で返事をするが、顔は下を向いたままだった。
このセリフも、入社してから言い続けているが、山田さんはいつも遅刻ギリギリだった。こちらも、何度も注意はしたくないが、仕方ない。
それにしても今日の山田さんはいつもより、もっと静かで、暗いオーラ全開だった。
私 「山田さん?なにかあったの?なんか、元気ないから、、、」
山田 「……うん、ちょっと」
私 「どうしたの?」
山田 「実は……旦那が昨夜、家を出て行ったの」
私 「え?!大丈夫?」
山田 「……うん。家を出たとゆうか、逃げて行ったが正しいかも」
私 「なにがあったの?」
山田 「……私が今まで旦那へ対して我慢して来たことに、文句を言ったら、謝るどころか、玄関を飛び出して逃げたんだよ。悔しくて、怒鳴りながら呼び止めたけど、捕まえられなかった。」
こんなに、おしとやかで静かな人が怒鳴るなんて、イメージがなかったけど、相当いけない事を旦那さんがしたと私は思ってしまった。
私 「旦那さんにどんな我慢させられていたの?」
仕事中なのに、聞かずにはいられなくなっている自分がいた。
出勤が、一緒になるたびに、山田さんのプライベートをカミングアウトされ、私はいつしか相談役のような立場になっていった。