知恵と勇気とぴかぴかの箱
ぴかぴかの箱
ぎんいろの詩
☆
ぴかぴかの箱
ボタンみつけた
空に渡る
鐘の音をきく
見上げた空が
茜に染まる
あかくてまるい
月夜のそらに
たいせつなあなた
あなたはうたう
おもいではまだ
ふるさとにいる
あたらしい明日
ひとつずつ
奏でるように
あなたはうたう
時の写しえ
めくるように
檻をほどき
なかまをみつける
強くうたえば
ほしがながれて
わたしは走る
あなたの声で
ながれるほしに
願いをこめて
とおい景色
そらのうみ
なにかを見たの
光と影が
もみあうように
あかく染まる
そらの彼方に
あなたは消えて
まどのむこう
手を振る人々
こたえを聞けず
その声とだえて
こたえ求めて
今また走る
ぴかぴかの箱
うつしよを呼ぶ
夢の中へ
いざなわれ
涙で曇った
あの日のわたし
振り向くよりも
歩むこと
あなたのうたが
おしえてくれる
空に舞うのは
ぎんいろのうた
ときを越えて
わたしに還る
かがやきの色
勇気にかえて
眠るまち
見下ろすように
はねをひろげて
風に向かう
おおきな池に
ちいさな川に
ふるさとのあさ
想い描くよ
おおきな丘に
たなびく雲に
記憶のかけら
隠し歩いて
雨上がり
虹を渡って
雨雲のうえ
涙をふいた
部屋をたずねて
テラスで待って
こもれびのもと
いつもの談話
カップ片手に
笑みを湛える
こころのしこり
またひとつ
魔法のことばで
消すあなた
はじまりの道
くらがりの中
ぎんいろのうた
かがやいた
あなたの背を
眺めて歩く
肩までのびた
亜麻色みつめて
ポッケの髪留め
渡せぬままに
ほろびの壁が
ちかづいて
いにしえのかげ
ささやいた
転がる石に
記憶のかけら
ほろびの歴史が
ふたりを包む
より添うように
問いかける
あなたの指先
得意げに
向かい合うたび
ときめき芽生え
灯る松明は
ふたりを育む
いにしえのまど
ともに開いて
わたしは過去に
旅立つ予感
深い深い
そこなしの闇
暗い暗い
うごめきの声
狂った憎悪が
わたしにせまる
あなた背をむけ
わたしの楯に
憂い浮かべて
呼吸を乱し
あの日のように
ふたり崩れた
頁をやぶいて
記憶をたべる
あなたの指先
つかむ間もなく
ふたりを裂いた
破壊の子守唄
嗚呼
願いのほしよ
あなたにとどけ
ときは来たりて
ぎんいろのうた
その手に満ちる
ぎんいろのかぜ
朽ちた世界の
中枢に向かい
その闇をきっと
なぎはらうだろう
託したもの
よいことばかりじゃない
皆を愛する
あなたなら
夢に足して
希望に変えるだろう
託されたこと
人々を伝い
手に入れるもの
朽ちぬように
磨くこころ
眠らせない
はじまりのほし
降り立って
あなたをさがす
旅にでる
挫けぬわたしに
なるために
その目にかなう
日のために
いのりの指輪
願いのままに
ハートのうつわ
願いの数だけ
ささげるように
削れてく
本気のわたし
試すように
いのちに響け
あの鐘止むまで
試練のうた
この胸 打てと
永遠に響かせ
渦の彼方へ
闇をはらう
そのときまで
空に舞うよ
ぎんいろのうた
かがやきの色
勇気にかえて
時計の針
止まったままに
あなたの息吹が
ときをつむぐ
大地に寿ぐ
ぎんいろのぬし
出逢い 別れ
いくつも数え
砂の時計
もどれぬさだめに
あなたを待たずに
ひとり決めた
わたし居場所を
すてた罰よね
ぴかぴかの箱
ぎんいろの詩
はねを休めて
耳を澄ませば
ほとりに群れる
ちいさなふしぎ
足音けしても
にげだすふしぎ
ぴかぴかの箱
かさなるふしぎ
追って追われて
また追って
風に吹かれた
とおい世界
白紙の地図に
ひとつ記す
ぎんいろのうた
あなたはうたう
ぎんいろのうた
あなたへ還る
月夜のかげに
あなたを想い
月夜のかぜと
わたしは舞う
そらにのぼって
涙をこぼす
やまに沿って
かわにおりる
停車場しらぬ
夜汽車のように
いざなう汽笛は
ここにおいでと
☆
雨の空
わたしのせいね
涙のようだと
笑われても
月の夜
いのりにいくよ
あさのぬくもり
もう一度
海が鳴る
船出の旅は
この世界の
果てを意味する
ぴかぴかの箱
おもいで写す
大樹のことば
わかるほど
ぎんいろの詩
ふたりを繋ぐ
永遠にことば
いらぬほど