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中1の初冬~ 約束

2学期も残り少なくなってきた。

今年も終わりだということだ。


ボクたちは学園祭の後、後夜祭に中1の分際で女子をお連れした、とかなり噂になったが

そんなこともいつしか皆、話題にもしなくなっていた。


今年も終盤ということは、2学期の定期テストもあった、ということだ。

ボクは1学期以降、なんとか成績を自分なりに上位に保っていた。

試験の前には片桐の兄、陸にお世話になったりもしているけど。


やはり成績って良い方が都合がいい。

ボクがこの成績を取っている限り、母は何も言わず、父もなんとなく嬉しそうだった。


サックスの方は、学園祭でのステージと言った目標がなくなったので、

前ほど熱心に練習はしていないけど、趣味程度にがんばっている。


そんなころ、あすからが先行入試で希望の大学に合格した、と連絡があった。

大学入試の本番は来年の2月がピークだから、かなり早い進路決定だ。


ボクたち、ボク、あすか、まいか、片桐陸と海でメールグループを作っていたので

そこに連絡をくれたのだ。


メールが届いたのは授業中だったので、休み時間になってやっとそのメールを見た時には、

まいかから「おねでとう!」のコメントと、

「じゃ、お祝いやろう」という陸の返信があった。

そして、海も、ナイス!のスタンプを送信済みだった。


ボクは「おめでとう!」と最後に送信した。

なんだか出遅れた感があった。


それから何日か経った土曜日の午後、

陸が手配してくれた、ファミレスより少しだけ大人な感じのお店に

ボクたちは集まった。

あすかのお祝い会だ。


ここは陸の大学の友人のバイト先だそうで、いろいろと融通をきかせてもらったらしい。

特にすごいコースを予約したわけでもないのに、店の一番いい席、

奥まった個室を用意してもらえていた。


ジュースとコーラで乾杯をして、あすかを祝った。

そして、これから高校の入試に挑むまいかの激励をした。


そこで、あすかが

「このメンバーでユニットにしようよ、名前つけよう。これから個別にでもなにかするとき、

この名前に#(ハッシュタグ)つけておけば、私たちでわかるでしょ」

と言い出した。


ユニット、ボクたちで? 

兄弟が2組、そしてあすか、で?


ボクとまいかはこの先、大きく生活が違ってもお互いに連絡が取れなくなることはない、と思う。

片桐陸と海も同じだ。


でも、あすかは違う。

ボクたちと音信不通になることだってあるんだ。


「じゃ、けいたと海は楽器、あすかは歌、私はダンス、陸はマネージメントだね」

とまいかが言う。

いつしかお互い、呼び捨てで呼び合うようになっていた。


「じゃ、さっそく名前どうする?」

陸はすっかり乗り気だ。

一人年上の大学生なのに、ボクたちと精神年齢かわらないんじゃないのか、とよく思う。


「ワンダフルワーク」

「ジョインアっプル」

「イノセントドリーム」

「チーム桜香(オウシャン)

色々候補をだしたが、ピンとこない。


意味が込められていない、メジャーになった時、由来を答えられない、

などすべてに難癖が付いた。


いや、そもそも、何をやるユニットなのかも明確でないのに、

メジャーになるとか夢すぎるだろ。


そして、ボクたち名前から一文字づつ取って

「翔×マリア」かけるまりあ

と決まった。


陸はさっきからずっと何かの計算式を紙に書いている、

しばらくして、

「この日だ」

と言いながら、いまから11年後のとある日付を発表した。


ボクたちの生年月日とか生まれて今まで経過した日数とか

色々要素をかけたり割ったり、なんだかよくわからないけど、

いろいろ計算してこの日付を割り出した。


「この日は自分たち、この翔×マリア集大成の日だ」

と言う。


「じゃこの日に必ず集まろう」

海がこの日をスマホのスケジュールに登録しながら言った。


「11年後って、私のもう30近いじゃない」

あすかが笑う。

あすかが30歳になる日も来るんだ。

その頃のあすかに会ってみたい気もした。


「おれなんか、もういいおっさんだ」

と陸。

ボクと海は大学を卒業したばかりの頃かな。


「みんな離れ離れになっていても、この日に再会しょう」

「うん、約束」


ボクたち、翔×マリア、11年後に必ず結集する、

そう決めた。


ボクはこの先、あすかと会えなくなったとしても

11年後、また再会できる。

そう思うと、なんだかホットした気分になっていた。


なんだかよくわからないユニット作っちゃいました。

今後何か活動するかは疑問ですが、タイムカプセルのような再会の約束。

叶といいです。

応援していただけると感激します。

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