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中1~ 夏から秋に

中学1年生の夏休み、


部活とサックスの練習、そして勉強と、毎日とても充実した気分だった。

夏休みも後半に入ったある日、

いつものように、音楽教室から図書館に行った。


図書館の談話コーナーに片桐海と陸がいるのが見えた。

片桐の家はこの近くではない。

ここにいるは不思議た。


片桐たちもボクを見つけて驚いていた。

ほぼ同時に

「なんでここにいるの?」

と声が出た。


聞けば、陸がこの近くに住んでいる子の家庭教師のバイトをしているそうだ。

家まで行って教えることもあるけど、ちかくに良い図書館がある、と聞き

今日はこの図書館で教えたそうだ。


先ほど家庭教師の時間が終わり、一足先に生徒を帰した。

それは納得だけど、なぜ海までいるんだろう。


兄貴についてここまで来て、自分の勉強をしていたのだとか。

でも、ボクに声をかけるなり、周囲をきょろきょろしている。


「おい、けいた、いつも姉さんや幼馴染の女子、一緒なんだよな」


ボクはいつもこの図書館であすかとまいかと合流している、とメールで伝えていた。

だから、見に来たのか?


「あ、もうすぐ来るよ」

そう言うと、タイミングよくあすかとまいかがこちらを見つけてやってきた。


ボクは成り行きで片桐たちを紹介した。

そして、自然と5人でいろいろ話をする、という流れになっていた。


その日から、ほぼ毎日のように片桐兄弟はこの図書館にやってきた。

そして5人でたわいもない話をした。

図書館で、そして帰り道で。


2学期が始まると図書館に行くこともなくなり、あの5人で会うこともなかった。

学校は学園祭の準備で、なんとなくにぎわっていた。


ボクたちのサックスの演奏はステージで2回演奏の機会がある。

ステージというのは校庭に作られた臨時の舞台。

エントリーしたいろんなグループがそこで何かしらを披露する。


10月の終末、いよいよ学園祭が始まった。

金曜日に生徒たちだけで前夜祭があり、土日は沢山の人たちがきてくれる、はずだ。


ボクたちの出番は、金曜日と日曜日だった。

まずは手始めの金曜日、観客は先生と生徒だけだし気が楽だった。

片桐海が軽やかに演奏し、ボクはその添え物のように音を出した。

片桐のおかげでなかなか好評で大きな拍手がもらえた。


土曜日はクラスの手伝いや、他の出し物の見物、

そして「進路相談」で先輩、として今後ボクの学校を受けようとしている

小学生やその保護者と話をした。

ボクも去年と一昨年は相談する側だった。


そしていよいよ日曜日、この日はボクの両親も見に来ることになっていた。

ボクたちのサックスの演奏の出番となった。


海とボクでステージに立つ。

ボクの両親、まいかの姿も見えた。


司会者に紹介され1曲目が始まった

海がリズムを刻み演奏する。ボクは添え物だけど。

みんな手拍子をしてくれていた。

曲が終わると拍手とヒューという掛け声が聞こえた。ボクのクラスの奴らだ。

そして、ステージに向かってクラッカーがならされた。

それと同じくして何かカラフルな色がボクたちの目の前に飛んできた。


カラーボールだ、こどものおもちゃのビニールでできたカラーのボールが

いくつかステージに投げ込まれた。

それもクラスの奴らの悪ふざけだった。


ボクはボールを何となく見送ったが、

ふと海を見ると、眼をおさえていた。

さっきのボールが当たったらしい。


ボールを投げた奴のなかには野球部員もいたらしくかなりの速球で飛んできたのが

海の眼に直撃したのだ。


ボクや司会者、先生も海に駆け寄る。

海は眼が明けられないようだった。


「とりあえず保健室に行こう」

先生が促した。

海はステージを気にしていたけど、そんなことは言っていられない。

ボクもはやく保健室へと言っていた。


ステージにはボクだけが残された。

司会者がこれで終わりにする?って小声で聞いてきた。

ボク一人では皆に聞かせられる演奏はできない。


1曲で終わりか、それもしかたない、そう思ったときステージの上に人影が表れた。

あすかだった。

「けいた、まえ音楽祭で歌ったの、覚えてる?」

そういいながらあすかはマイクを握った。


あすかが小学校の音楽祭で歌った「ジャスト・シング」という曲。

ボクが吹奏楽部の紹介で聞いた曲。


ボクはその曲を吹き始めた。

ボクの演奏に合わせてあすかが歌う。


小学生の頃より格段にうまい。

そして心を打つ歌声だった。


ボクの拙い演奏もあすかの歌で帳消しにされているようだった。


あすかが歌い終わると、会場から大きな拍手が沸いた、

われんばかりの拍手と声援を聞きながら、ボクとあすかはステージからお辞儀をした。


まるでミュージシャンがやるみたいに、つないだ手を上にあげながら。




けいたの初ステージはなんとかやりおおせたようです。

男子校で女子とステージに上がってしまって、周りの反応が心配です。

応援していただけると感激します。

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