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ボクの初恋のひと それぞれの青春  作者: 明けの明星


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中3の冬~別離

中3の冬になった。

ボクのクラスからは3人が外部受験をすることになった。

そのうちの一人が海だ。


このまま一緒に高校にはいけないが、その3人との関りは今までと変わらなかった。

まいかが中3の時には、いじめに近いことが起きていたけど。


そのあたりは男子ばかり。あっさりしているのかもしれない。


海は高校受験のために塾に通っているのだそうだ。

親からはその費用は出世払いで返せといわれているそうだ。


一方、受験の無い内部進学組は、なんとも中だるみだった。

ボクもそんな中の一人だった。


勉強はなんとか成績上位を保っていたけど、特に目標もなく、

サックスだって部活にも音楽教室にも熱が入らない。


いつしかボクは家でダラダラとゲームをしたり、スマホをいじったりして一日を終えるようになっていた。


そして年が明け、海たちが高校受験を向かえた。

海の志望校は公立高校。

トップクラスの高校だけど、わざわざ受験する意味が最後までボクにはわからなかった。


そして、海は志望校に合格した。


お祝いと称して、翔×マリアのみんなで集まった。


春から、高校3年生になるまいかとるるちゃん。

まいかは例の有名振付師のダンスカンパニーに所属してるが、

そのままそれ一本でいく勇気がないらしい。

舞踊を学べる大学への進学を希望していた。


そしてるるちゃん、

内気な印象だったが、るるちゃんは高校で演劇部に入っていた。

演じることが好きなんだそうだ。

時々感じていた、るるちゃんの眼の奥の力はここからくるものだったんだ。

るるちゃんは、高校を卒業したら、どこかの芸能事務所に所属して

女優としてやっていきたい、のだそうだ。


夢としては素晴らしいと思った。

でも、現実的じゃない。

そう思ってしまった。


るるちゃんは格別の美人でもなく、すごく光るものがあるわけでもなかった。

でも、磨けば光る原石っていうこともある、

と、その時はるるちゃんの夢を応援した。


あすかは大学4年生になる。

「就活するよ」と意気込んでいた。


「歌は?」

と聞いてみた。

最近では路上ライブやネット動画などで地道ながら活動していたから。


「歌は、大学生の間だけって決めてたから。でも趣味として就職してからも歌えるでしょ」

そういうあすか。


あすかは大学を卒業した翌月から、奨学金の返済が待っている。

地に足を付けた生活をするしかないのだ。


海の兄、陸は大学院生。

そのまま研究所に残るそうだ。

「日本の大学の研究員は薄給だ」と嘆いていた。

それでも、自分の好きなことをやっていると胸をはっていた。


で、おまえは?と皆に聞かれた。

「ボクは、そのまま高校進学して、そのまま吹奏楽部をがんばるよ」

そう答えるしかなかった。


ボクのなんの変哲もない将来のビジョン。

ボクは何になりたいんだろう。

どう生きたいんだろう。

それすら分からなかった。


みんな、それなりに将来について思い描いているのに。

そりゃ、あすかは不本意な将来なのかもしれないけど。


ボクってつまらない奴。

そう感じた。


明日が来るのだけが楽しみだった子供の頃、

今のボクは、ただなんとなく明日をむかえている。


ボクは自分のことがわからなくなっていた。

そしてボクがボクであることに誇りをもてなくなっていた。


ボクはどんな大人になるんだろう。

そう思ってとてつもなく不安になっていた。



応援していただけると感激します。

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