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アンガースライド

第8話 【アンガースパイド】


いない…いない…よくない…よくない…


その蜘蛛は追われていた。

そして、追ってから逃げ切る為に必要なモノを探していた。



蜘蛛は大量の仲間が居る場所で自我に目覚めた。

周囲は大勢の蜘蛛。だが、食料となる物がまるで無かった。程なくして始まったのは、共喰いだった。


蜘蛛は逃げた。そして隠れた。その時点で、お互いを喰い荒らす他の個体とは大きく違ったのかも知れない。


周囲の物音が消えるまで、ひたすら空腹に耐えた。息を殺し、気配を殺し、もはや生きているのかも解らない程に蜘蛛は動かなかった。


どのくらいの時間が経ったのか。もはや餓死寸前の蜘蛛が覚醒した時には、同類で息のあるモノは一体だけとなっていた。その個体も、至る所に争いによる傷があり、瀕死であった。


覚醒した蜘蛛は、僅かに残った力を振り絞り、瀕死の個体に襲いかかった。



同類を仕留め、肉を喰らう中で、蜘蛛の中に強烈な何かが生まれた。

それは、人間であったなら『怒り』と表現するものだったのかも知れない。


腹を満たした蜘蛛は、食事を求めて移動する事にした。元々生まれた場所は、食料となる物が皆無な地域だったのだ。


暗く岩だらけの湿った場所から光のある場所へと這い出た蜘蛛は歓喜した。


その森は、生き物で溢れていたのだ。

蜘蛛は狩りをしながら力をつけていった。



ある時、4本脚の生き物2体が何か大きな物を運んでいるのを見つけた。


蜘蛛は気にせず4本脚を狩ったが、運んでいた大きな物から、別の2本脚の生き物が数体出てきた。

その生き物達は奇妙な鳴き声を出しながら、逃げていった。蜘蛛は4本脚を食べるのに夢中で、気に留めなかった。


しかしこれが、蜘蛛の不幸の始まりだった。


奇妙な生き物は徒党を組み、蜘蛛を狩りに来たのだ。


蜘蛛は逃げた。奇妙な生き物は小さかったが、他の生き物よりも知能が高いのか、厄介だった。個体により、持つ力も違う様だった。


逃げても逃げても追撃は終わらなかった。蜘蛛の中に再び「怒り」が生まれた。

同時に、ある事に気付いた。狩りをする時に一撃で仕留め損ねると、その生き物が凶暴になるのだ。そして凶暴化した生き物は、蜘蛛には攻撃してこなかった。


知能が高かったり大き過ぎたり、あまり成長し過ぎた生き物では駄目だったが、それでも逃走の助けにはなった。


そして、蜘蛛は徐々に獲得した知性で考えた。

強くて若い生き物ならば、あの小さい2本脚を撃退出来るのではないだろうか。


蜘蛛は逃げながら探し続けた。


そして遂に見つけた。


降りしきる雨の中、洞穴で雨を避ける生き物。



それは、群から逸れた、若くて大きな狼の個体だった。


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