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【属性の開花】

宝玉に近づく程に心臓の鼓動が早まる。

もう数歩で辿り着く。

台座の上に浮かぶ宝玉。

上を見上げれば女神像が微笑んでいるように見えた。


「よっ、よし。触るだけだ」


自分がもし無属性だったら。逆に複合属性の持ち主だったら。

様々な期待や不安が身体中をかけめぐる。

不思議と周りの動きがゆっくり見える。

走馬灯という話を聞いた記憶があるが多分こんな状態なのだろうと冷静な分析ができた。


今の状況はまさに命の危機に直面している状態に匹敵しているのだ。

ゆっくりと両手を差し出し、そして宝玉に触れる。


氷のように冷たく、摩擦を感じないスベスベの触り心地。

そして視界を奪う程に強烈な発光に思わず目を閉じる。


ーーーーーー


再び目を開けて目の前に視線をやると、そこには黒い人形の“モヤ”が現れた。先ほどまでの荘厳な大聖堂と明らかに違う空間。


脳内に直接言葉が響く。


「......ィス。......ィス。まだダメみたいね」


脳内に言葉が響いているのに一部聴き取れない。まるでノイズが入ったかのようにかき消されてしまう。


「記憶のせいかしら。まぁそのうち戻るでしょうけど、時間が無いから手短に。属性は何が欲しいかしら?」


突然の投げかけに一瞬動揺してしまった。

属性が欲しい。無属性は嫌だと考えていたが属性の特定までは考えていなかった。


「なるほど。そこまで考えていないわけね。じゃあこっちで勝手に決めるわよ。うーん、そうねぇ。よし決めた。水属性をあげるわ」


ヴィスは属性が授けられた事に喜びを隠しきれなかった。


「えっ! ほんと!? やったーー 」


「まぁ水属性はこの世界では最弱って言われてるし、無属性の方がマシだと言われているけどね。でもね、◯◯◯◯が使えば間違いなく最強になるわ。その鍵となるのは“記憶”よ」


「どういうこと? 僕の記憶には何があるの? 記憶を失う前の僕を知ってるの?」


「まぁそう急っちゃダメよ。記憶を取り戻すその時間も冒険なんだから。今は楽しんで。この会話も元の世界に戻れば忘れるわ。記憶を取り戻すその日まで。じゃあ時間ね。研鑽を」


周りの空間が捻れ中心へと収束されていく。ヴィスも飲まれていった。


ーーーーーー



再び目を開けると宝玉は水色に輝いていた。

無属性の場合は黒く光ると言われていた。

属性がある事を知れた瞬間、振り返り、ガングリッドと修道長アンリの元へ駆け寄る。


「師匠! 修道長様! 光りました!! 」


アンリは微笑みを。

ガングリッドはなんとも言えない表情をしていた。目が泳いでいる所を見ると、何か言いたく無い事があるようだ。長く一緒に居たので当然だが、ガングリッドの考えはかなり読める。


「さすがはガングリッド様の御子息。おめでとう御座います。先ほどの輝きは“水”属性を表す輝きです。それもとても強い輝き。是非研鑽を重ねて使いこなして下さいませ」


「うむ。そうじゃな。おめでとうヴィスよ。属性があった事はめでたい」


頭を“ポンポン”と二度叩きガングリッドは部屋の外へと出ていった。

それに続いて修道長、最後にヴィスが部屋を後にした。


その後ガングリッドと修道長は何かを話していた様だが聞き取る事はできなかった。

そして中央大聖堂を後にした、ヴィスとガングリッドは宿に向かって歩き始めた。


「ねぇ師匠! 何か言いたい事あるよね!? 」


ガングリッドは苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべると重たい口を開けた。


「実はのぉ、ヴィスが授かった水属性なんじゃが......」


ヴィスはガングリッドの口から伝えられる世間一般の”水属性“保有者への認識を聞いて驚愕したのだった。

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