【放出】
掌に魔力が集まるように。掌に魔力が集まるように。。
どうにも上手くいかない。
「流石に直ぐには出来んか。少し細かく説明すると、まず魔力を体に巡らせ、その後に掌に集める、といった手順じゃな」
「巡らせてから、集める…」
「おっと、昨日と同じ事はしてくれるなよ。ヴィスは魔力の量が多いんじゃから、少しづつ、少〜しづつ巡らせるんじゃ」
指示通りに、少しずつ魔力を巡らせる。少な過ぎか?もう少し…
「待て!」
僅かに量を増やそうとした瞬間、制止された。
「今量を増やそうとしたじゃろう。増やさんでいい。最初の量で掌に集めるんじゃ」
随分ちょびっとなんだなぁ、と思いつつも、再び巡らせる。
…あ、なんかイケそう。
前方に構えた掌に、魔力が集まる。球体状にだんだんと膨らんでいく。
「おお、そうじゃそうじゃ。そういう…」
野球ボール程の球体が、見る見る大きくなっていき、バスケットボール程のサイズになる。
「…‼︎ヴィス!前に打ち出すのじゃっ」
ガングリッドの切迫した声に従い、前に打ち出すイメージをすると、球体は勢いよく飛んでいった。
ゴッッッ‼︎
ぶつかると、大人2人分程の岩が跡形もなく吹き飛んだ。
「やった!出来たよ師匠‼︎」
ヴィスは喜んでガングリッドを見る。
ガングリッドは昨日と同じく、顎を落として『あんぐり』状態の面白顔になっていた。
「師匠?」
ヴィスの呼びかけに、我に返るガングリッド。
「お、おお。出来たな。出来たが、これは…」
「?」
「威力が強すぎじゃ。こんなの宮廷魔導士の上位でもそうはいないレベルじゃぞ…」
「そうなの?やった!」
「因みにヴィス。身体は疲れて…おらんな?」
「うん!まだ全然打てそう!」
ガングリッドは頭痛がしてきた。
「…よし、では無理のない程度に、あの岸壁に向かって何度か練習するのじゃ。さっきの大きさ以上にはならない様に気をつけるのじゃぞ…」
結局、夕方までヴィスは打ち続けた。
結果、岸壁には洞窟の様な大穴が作られた。
帰り道、ガングリッドは口の中で呟いた。
「こりゃあ、エライ者を起こしてしまったわい…」
その横を、魔力酔いにもならず上機嫌のヴィスが、スキップしているのだった。




