第18話【講義-魔力酔い】
「さて、いよいよ実践じゃがその前に2つ、知っておくべき事がある」
「なんですか?師匠」
「知っておくべき事その1、子供は魔力を使ってはいけない」
「ええ⁈」
これから教わるというのに、使ってはいけないとはどういう事か。
「と、言われておる。世間一般ではの」
「どういう事ですか?」
「魔力操作の上達や魔力量の増加には、子供の頃から訓練するのが1番じゃ。しかし、道義も知らぬ子供に強力な力を持たせるのは危険じゃ。赤子にナイフを持たせても、振り回して怪我人が出るだけで料理は作れんじゃろう?」
「それは、そうかも知れないけど…」
「じゃから、基本的には魔力についての教育は14歳以下には禁じられておる」
「基本的にって事は、例外もあるって事?」
「裏稼業の組織が秘密裏に育てたり、馬鹿な貴族がやらかしたりはする。後は、生まれついての魔力量が多過ぎた場合じゃな。お主のように」
「じゃあ僕は使って良いの?」
「うむ。と言うより、使いこなせないと、むしろ危険じゃ。それが知っておくべき事その2じゃな」
危険、と言う言葉を聞き、ヴィスは少し身を固くする。
「魔力酔いという物がある。代表的なのは酩酊、混濁、狂乱の三種じゃな。珍しいのじゃと淫化、癒化…」
最初に2つといった割に、随分と覚える言葉が多い。ヴィスは難しそうな顔を浮かべる。
「…とと、話が進み過ぎたの。まあ、今は魔力が多かったり沢山使ったりすると、暴走する事がある、くらいに覚えておけば良い」
話を聞いていて、ヴィスは気持ちが騒つく。何か、忘れている記憶と関係があるのだろうかと思えた。
「ワシの見立てては、ヴィスは魔力量が極端に多い。どんな理由かは知らんが、はっきり言って規格外じゃ。これは何かのきっかけで暴走すると、非常に危険じゃ」
ガングリッドは、ヴィスがこの場所に残らない選択をしても、最低限の魔力操作は教えるつもりでいた。
それは、本人の為でもあるが、周辺への被害を防ぐ意味も持っていたのだった。
「という事でじゃ。子供のヴィスは魔力を使えるようになっても、あまり他人には知られないようにする。そして、魔力を使いこなせないと、自分も周りの者も危険になる。これを肝に銘じておくのじゃ」
「わかりました、師匠」
「うむ。では、まず基礎の基礎、魔力循環じゃ。魔力を感じ取って身体に巡らせる事から始めるぞい」
「こうですか?」
ヴィスが身体に魔力を巡らせる。
ガングリッドは開いた口が塞がらなかった。ヴィスはかなりの精度で魔力循環が出来ていたからだ。
「待て待て待て!そんな量を突然巡らせるとあっという間に酔って…」
ヴィスは既にふらついていた。




