魔法の勉強
次の日の、朝食もそうそうに済まし、ガングリッドとヴァイスは庭先に出ていた。
「そうじゃ、訓練を始める前にお主が持っていた手荷物の中に1部読みにくくなってるんじゃが、ヴァイ...ヴィ...うーむ、ヴィスかの? これがお主の名前かもしれんし、お主と呼ぶのも他人行儀で好きではないのぉ」
ヴァイスはガングリッドの表情から悟った。
「ヴィスと呼んでください!! 」
ガングリッドは"にかっ"とはにかみ、それじゃ遠慮なくと言うと
「それじゃあ、ヴィスよ。 ワシのことはそうじゃの、師匠と呼ぶのじゃ」
「はい! 師匠」
ガングリッドは再び満面の笑みを浮かべた。
我に返ると、"コホン"と咳払いを1つ打つと、魔法について語り始めた。
良いかまず......
1・魔力はそこら中にある。生きとし生けるもの、無機物、空気、これら全てに魔力は宿る。
食事をする。呼吸をする。これは即ち魔力の補充ということじゃな。
2・魔力は口から体内に取り入れた物からしか摂取できない。昔、伝説級の者が大気中からも魔力を補充できたらしく、無限に魔法を使えた事から、<無限の魔導師>と呼ばれていたそうだ。
3・魔力は身体中に巡らすことで身体を強化できる。ベテランにもなると、武器にも魔力を流す事が出来るらしく、研鑽を重ねることで、岩をバターのように切り裂くことも可能になるそうだ。
4・魔力は魔法陣や魔道具を使うことで様々な属性や形状に変化させて使用することが出来る。その中でも1部の魔力操作が可能なものは、媒介を介することなく魔法を放つことが出来る。
5・魔法には属性があり、火・水・風・土・雷・樹の六属性があり、これを光魔法という。
6・闇属性の魔法使いは光属性の魔法が使えない。また歴史上でも使用者はほぼ確認されていない為、詳しい事は不明。
「太古の昔は、それぞれの属性の頂点とも言える魔導師が存在し、畏怖と敬意を込めて<六覇天>と呼ばれていたんじゃ」
「六覇天ってなんかかっこいい!! ってあれ? 全部で属性って七つじゃないの? 」
「闇属性は覇天には含まれていないのじゃよ。これには様々な憶測があるが真実はワシも知らん。もし興味があればいつか調べても良いかもしれんのぉ」
「凄い! 僕も魔法使えるんだよね!? 」
「そうじゃの。研鑽の先に未来はあるのじゃ。とても辛く苦しい特訓じゃが、乗り越えれば可能じゃ」
ヴァイス改めヴィスは、自らが魔法を放つ事が出来る可能性を知り、心が踊る。
「師匠!! 僕は火と雷の魔法がいい! なんかかっこいい」
「残念じゃがそれは無理じゃ。魔法は基本的には、一人一属性なのじゃ」
「えぇーそうなのかぁ」
「もちろんヴィスに可能性が無いわけでは無いぞ。現在でも幾人かは多属性持ちもいる。これはギフテッドみたいなもんじゃな」
魔法座学の時間はあっという間に過ぎていった。
自分の知らない世界。もちろん記憶を失う前には知っていたのかもしれないが、こんなにワクワクする勉強は無い。
昼食の準備をすると言って、ガングリッドは家に入った。
ヴィスはガングリッドが見せてくれた様々な書籍を1文字1文字舐めるように見つめ、頭に入れていった。そして昼食のあと、魔法を扱う訓練が始まった。




