表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Will you dance?  作者: まんまるムーン
5/8

5



「イアンさんは消えた乗客に会える方法をしっているんだよ。」


「…それが…あのダンスって事?」


「…多分。」


「なんで踊ったら消えた人達に会えるの? 今までこれだけ探しても見つからなかったのに。」


「…確かにそうだけど…今まで出来る限りの事をしても手がかりは何も見つからなかった。俺たちもう、ここにすがる以外ないんじゃない?」


「…。」


 そして私たちは真剣にダンスを学んだ。慎重に…絶対に間違えないように…。





「…明日の夜です。」

イアンさんは言った。教室中がざわついた。


―明日…本当に朝陽と小春に会えるのだろうか…






 ついにその日がやって来た。


 私たちは定位置着いた。イアンさんは一人ずつ、立ち位置をチェックしていった。そして私のそばまでやって来た。私はモヤモヤしていたことをイアンさんに聞いた。


「会えるだけなんですか? こっちの世界に戻すことは出来ないんですか?」

私がそう言うと、皆が一斉にこちらを振り向いた。イアンはその様子を見渡して、小さく溜息をついた。そして呟いた。


「私が皆さんを手助けできるのは、ここまでです。彼らと私たちは、鏡のこちら側とアチラ側のように、干渉できない別の世界にいるのです。二つの世界は螺旋を描きながら回っている…私たちがこれまで学んで来たダンスのように…。その二つの軌道が最も近くなるのが今晩なのです。」


「だから…会えるだけなのか…。」

裕人は溜息をついた。


「でも! 何かあるはずでしょ! もともと一緒の世界にいたんだし! もしまた同じ世界にいられるのなら、私は何だってする!」

私はイアンに迫った。イアンは何も言わなかった。


「お願い! 私はどうしても諦める事が出来ない!」

私はイアンの両腕にしがみついて叫んだ。


「…わかりません…私にも…。でも…この世の中の流れは、私たちの想像を超えている…。過去と未来、方向は一定じゃないかもしれないし、きっと一瞬一瞬、世界は無数に広がっているのでしょう。だったら…先に自分で未来を決めてしまったらいいのかもしれないですね…。」

イアンは悲しく微笑んだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ