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「異世界レシピ」スキルで新人ギルドを全力サポートして、成り上がります!  作者: 沢野 りお
初級ダンジョン 探索編

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ダンジョン地下1階~2階

かなりの覚悟をしてえいやっと気合を入れ、初級ダンジョン「アインス・ゼーレ」に足を踏み入れたぼくたち「白い輪」ギルド。

でも……ダンジョン初心者のぼくには、とっても拍子抜けの状態です。


だって、ぞろぞろと大人数で広い洞窟みたいなダンジョン内を歩いているんですよ?

なに、この状態?


「だから言ったでしょう。初級ダンジョンは成りたて冒険者たちが押し寄せて挑戦するから、最初の階層はただ移動するだけなのよ」


ほら、とビアンカさんが指し示した場所には、スライムがポヨンポヨンと移動しているけど、誰も注目していない。


「スライム如きだとドロップアイテムも出ないから、みんな無視するのよ。それ以外にも地下三階までの魔獣はほとんどスルーするわね」


戦うだけ体力のムダになるから、とビアンカさんは両手の平を上に向けて軽く頭を振る。

みんなが足早に通り過ぎるだけの低階層かと思ったら、オスカーさんが教えてくれたけど、二階、三階には薬草が生えていて孤児院の子供たちや薬師ギルドの人たちは特別な許可を得て、ダンジョンに潜って採取しているらしい。

つまり、それだけ攻撃力皆無な人たちが出入りしているダンジョンということで、ぼくも少し緊張を和らげることができました。


二~三十人でまとまりながら一階の奥まで進み、そのまま順番良く下に降りる階段を下っていく。

ちなみに盾役のディーターさんが一番前で、次にビアンカさんとぼく、後ろがオスカーさんの並びです。


「このダンジョンには罠の類がないことが確認されているから、斥侯としてのあたしの出番はないも同然なのよねぇ」


頭の後ろで手を組んで、のんびりとした口調でビアンカさんが嘆く。


「それでも、周りには気を配ってくれ。たまに冒険者の手から離れた武器が飛んでくることもある」


なんでも、このダンジョンが初めての戦闘という冒険者もいるからか、武器が手をすっぽ抜けて飛んでくることがあり、年に何人かはそれで怪我をして問題になっているらしいのです。


「……ひょっとして、ぼくが気をつけなきゃいけないのは魔物じゃなくて、飛んでくる武器ですか?」


「……大丈夫。守るから」


ディーターさん、守る宣言は嬉しいんですけど、ぼくが飛んでくる武器が避けれない鈍くさい奴と思っているんですね?

ぷくうっ。

拗ねて頬が膨れるのもしょうがないと思います!


「みんな、今日のおやつ半分に減らします」


ぼく、ちゃんと反射神経ありますから!


「えーっ、そんなぁ、クルト!」


「わ、悪かった」


「……謝る」


みんなが即座に謝るなんて、そんなにおやつが食べたいのかという呆れと、やっぱりぼくのこと鈍くさいって思っていたんだという腹立たしさで、レオの入った鞄のベルトをギュッと握りしめた。










少し頬を膨らまして階段を荒々しく降りると、地下二階は一階とは違う雰囲気が漂っていた。

そこかしこにしゃがんでいる集団がいるのだ。

ほとんどが首からすっぽりと被るタイプの粗末な服を着ている子供だった。


「あの子たちが孤児院から薬草採取に来ている子たちだ。あっちにいる薬師のエプロンをつけているのは薬師ギルドだな」


オスカーさんが指差した場所には、ひょろりと細い体型の男の人が数人、採取した草を手に何か討論しているようだった。

一階ではぞろぞろとまとまって移動してきたぼくたちだったが、二階になると薬草採取目的の人たちがばらけていく。


「無防備に採取しているようですけど、この階の魔物ってスライムだけですか?」


通常のスライムであれば、水色のウォータースライムと茶色のディスポスライムだけで特に害はない。

でも酸を吐くスライムや毒を吐くスライムだったら危険だ。


「そうね、ここら辺に出没する魔物は危険なんてないわよ。スライムが多いけど、たまにラット系の魔物が出るわ」


ラット系でも魔法属性や毒や麻痺の能力がなければ、ちょっとした打撃で討伐が可能だ。

ただ、すばしっこいけど……。


「向こうも警戒して近づかないだろうし、こちらも敢えて討伐しようとも思わないからな」


つまり、あまり気にしなくてもいいということですね。


「どうする? 薬草採取でもするのか?」


二階に降りたまま場所を移動しようとしないぼくらに、ディーターさんが眉を下げて所在なさげに佇んでいた。


「ああ、悪い。先に進もう」


オスカーさんがディーターさんの肩をポンポンと叩いて、先へと促す。

ビアンカさんがぼくの耳にこそっと内緒話をしてくれた。


「ディーターは薬草採取が苦手なのよ。体が大きいからしゃがんで作業するのが苦痛なんだって」


うん、ディーターさんみたいに大柄な人には、チマチマ薬草を摘むのは苦行かもしれない。

ぼくはビアンカさんと顔を見合わせて、クスクスと軽く笑い合うのだった。


二階の薬草採取する人たちを横目にスタスタと進み、あっという間に三階へ降りる階段に辿り着いた。

ダンジョンに入るときに二~三十人程度いた人たちは、既に十人程度にその数を減らしている。


「……意外と少なくなるんですね」


「まあ、初級ダンジョンには体馴らしで挑戦して、すぐに中級ダンジョンに潜るギルドが多いからな。いつも潜るのは薬草採取の人だけだ」


「はあ、そうですか」


中級ダンジョンへの許可証は初級ダンジョン踏破が条件だから、そのためだけに初級ダンジョンに挑戦するギルドがほとんどなんだろうな。

なんでもドロップアイテムで稼ぐには中級ダンジョンからという話だし。


「さあ、行くわよ」


ビアンカさんの呼びかけに「はーい」と間延びした声で応えたぼくは、ダンジョンに入ったばかりの緊張感はどこへやら、呑気な気分で階段を下り始めた。


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