私の1987
西暦1987年
イラク共和国 バスラ市
「敵先鋒が第80号線に侵入を開始!」
「ハンムラビ師団陣地に敵は主攻を向けているようです!」
「AHに被害多数!都市部での運用は厳しいのでは!?」
「ブロックC89より支援要請!」
「空いてる砲迫は無い!空も防空で手一杯だ!」
イラン軍によって開始された「払暁」第3号作戦は多大な数の死体(主にイラン軍)を共和国の大地に積み上げた。
そして少なくない被害を出し続けることにより戦線をバスラ市まで押し上げる事に成功した。
この作戦がある程度の成功を収めている要因として、今までのイラン軍の態度からは想像できないような航空機の積極運用が挙げられる。
それもそのはず、イランは極東一帯の支配を未だに確立している帝国から、多数の軍事支援を受ける事に成功したのである。
彼らの旧式機(回転翼機も含む)は、イラン軍に対して十分とは言えないまでも、エアカバーと近接航空支援を提供している。
各支援の到着と基礎訓練を終えたイラン軍が実施したのがこの一連の「払暁」作戦である。
現状空を支配しているのはイラン側であり、時折古いレシプロ攻撃機が対地攻撃を行なっているのが目につく。元の国で「流星改」と呼ばれていたその機体は、中小規模な空軍を保有している国家にとっては貴重な攻撃機として、様々な国で使用されていた。
一方ーー
《バスラ市上空の航空優勢は奴らにあるが、やれる事はある。》
《全機、ミサイル発射用意。》
《FOX3!》
80㎞近く離れた空からミサイルを発射したのは合衆国「義勇」戦闘機部隊である。
中央情報局が帝国に出し抜かれた後、合衆国は帝国に遅れる形でイラクに対する大規模支援を開始した。その一部には合衆国軍人が操縦する戦闘機の派遣も含まれている。
彼らの存在について、合衆国からは「在イラク合衆国人を空爆から守るための派遣であり、彼らの任務はイラク防空のみである。」と発表されている。
可変翼機と呼ばれる機体から12発の誘導ミサイルが発射され、標的に辿り着いたのは5発であった。
すでに多数の死体をオリエントに積み上げた両勢力であるが、まだまだ止めるつもりはないようである。
加えて、イラクの南部要衝占領などしてしまえばどちらも引くに引けない状況になる。
政治、宗教等、様々な勢力による利権争いが渦巻く中東、本当の「払暁」が訪れるのはまだまだ先になりそうだ。




