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1話 ログイン成功?

平日の朝九時、元社畜の部屋に鳴り響く目覚まし時計の音。いつもと全く違う時間からかその音には少し戸惑いがある様に感じられる。しかし当の本人はそんな事は気にせず、普段とは似つかない態度である支度を始める。


「VRはOKで...PCにも繋いだし...」

よし、これで良いだろう。いや、本当に大丈夫か?念には念を入れてもう一回確認しよう。何しろ人生初のゲームと言っても過言ではないからな。学生時代の時にはずっと勉強させられてたし、社会人になってからも仕事漬けで娯楽をする時間なんてなかった。ゲームなんてするのは幼稚園児の時にやった国民的アニメのしょうもないパズルゲーム以来だろう。

「よし、もう大丈夫だな」

ボロアパートにあるには少々場違いな外見をした装置を頭につけ期待に胸を、いや全身を踊らせてゲームが始まるのを待った。


目覚めた場所は少し暗めな湿地帯、しかし草木は現実よりも大きく神秘的な雰囲気さえ感じられる。そんな中に緑と黒色の鮮やかなドレスを見にまとった1000年に一度と言っても過言ではないほど可憐で、ロングヘアの少女が立っていた。

「あれ?案外早く目覚めたのですね」

「ああ、はい。おかげさまで?」

「まぁ、良いですわ。早く設定を終わらせて混沌の世界に旅立ちましょう」

やべ。ストーリーとか説明書とか諸々読むの忘れてた。混沌の世界とか言われてもそんなもの知らん。

「なるほど。貴方はそう言う性格の方なのですね。少し見損ないました」

「あっ、心読んでくるタイプの人ね」

「ええ、これでも一応女神ですので」

心の中でも本音を我慢するとか出来ないタイプなんだよな。心を読まれても恥ずかしくない事だけ考えとくか。

「それでは、無知でどうしようもない貴方にこの世界の説明をさせて戴きます。この世界はーーー」

こいつちょっとあのクソ女上司に似てるな。まぁそんな事はどうでも良くて、説明された内容をめっちゃざっくり要約すると、俺たちは異界人として今から向かう『エルドラド』と言う世界で起こっている危機を解決するといった感じらしい。あと、チュートリアルで出てくる女神はプレイしている人との相性によって変わり、その女神から加護をもらい共に冒険をするらしい。

「あの、失礼だけど本当に俺と君は相性が良いのかい?」

「私の名前は君ではありませんよ。闇の女神第一柱ソロモンと申します」

「は、はぁ。それでソロモンさんは俺と相性が良いのか?」

「愚問ですね。そうに決まっているではないですか。私が直々にお迎えしたのに」

結構言ってくれるなぁ。この女神。でもゲームを進めるためには我慢だ。我慢。まぁ「闇」の女神だし仕方ないのかな。

「子供では無いのですから早く設定を終わらせてしまいましょう」

お前は子供だろうと突っ込みたいがろくな事が起きそうにないので辞めておこう。にしてもNPCに完全に主導権握られてる俺、もしかして弱い?

「それでは名前を教えてください」

名前かぁ。いっぱいゲームをやってる人なら固定の名前とかあるのかも知れないが生憎初めてだからなぁ。

「なるほど、でしたらジーニアスなんて如何でしょう?」

ジーニアスか。なんか響きも良いし考えるのも面倒いからこれで良いかな。

「じゃあ俺は今日からジーニアスだ」

さっきから視界の隅にあった半透明のウィンドウが目の前にきて本当にいいですか?と表示されている。

勿論、はいを押しておいた。

「ちなみにソロモンさん。ジーニアスの意味は?」

「眷属です」

「えっ...」

なんかもう一々反応するのがどうでも良くなってきたな...

「では次にスキルと職業、種族を決めていくのですが...正直言って貴方は筋肉も根性も経験もないですので後衛を選んだ方が身の為ですよ」

それはちょっと、いくら温厚で従順な俺でも怒っちゃいますよ。

「へぇ、そんな無駄に着飾って『弱々しさをアピールしてます』みたいなソロモンさんには言われたく無いですねぇ」

言ってやったぜ。しかも顔を真っ赤にして怒ってるぞ。いじり甲斐があるな。このまま俺のペースに引き込んで主導権を奪ってやる。

「でしたら分からせてあげましょうか。貴方がどれほど貧弱なのかを」

「それはこっちのセリフだな」

________________________


闇の女神第一柱ソロモンに対戦を申し込まれました。

対戦を承認しますか?

     はい         いいえ     

________________________


とウィンドウに表示される。さて子供に大人には勝てないと教えてやりますか。

「さぁ、ハンデとして最初はどこからかかってきても良いですよ」

「あれ?武器とか貰えないんすか?素手同士ならまだしも剣持ってるし」

「武器を持たないと弱々しさをアピールして着飾っている少女に勝てないんですか?でもまぁ、良いでしょう。武器まではいきませんが相手の情報を見れるスキルを授けてあげましょう。ちなみにご自身のステータスを見たい時はステータスと念じるとみることができますよ」

まぁ何も無いよりはマシだろう。早速見させて貰いますか。


______________________


【NAME / 名前】ジーニアス

【RACE / 種族】人族

【JOB / 職業】なし

【MONEY / 金】1000G

【STATUS / ステータス】

・INT (魔法攻撃力) 5 ・STR (攻撃力) 5

・MND (魔法防御力) 5 ・VIT (防御力) 5

・MP (魔法量) 5 ・AGI (速度) 5

・HP (体力) 5 ・DEX (器用) 5

【STP / ステータスポイント】10

【SKILL / スキル】(1 / 5)

・鑑定 Lv.1 (1 / 200)  ・なし

・なし         ・なし

・なし

【SP / スキルポイント】10

【BLESSING / 加護】

・なし

______________________


まぁ初期だし職業もスキルも決めてないし弱く見えるのは当たり前かな。でも自分で選んで無いスキルが5つのうち1つを占めてるってちょっとうざいな。

じゃあ、もっと貧弱な女神のステータスでも見るかな。


______________________


【NAME / 名前】ソロモン

【RACE / 種族】女神 Lv.☆256 (0 / 0)

【JOB / 職業】???

【MONEY / 金】???

【STATUS / ステータス】???

【SKILL / スキル】???

【BLESSING / 加護】???

※レベル差により正確に鑑定できませんでした。

______________________


「!?」

こいつ...これが狙いで俺にスキルをあげたな...

これって、詰みってやつですか?


ー数分後ー


「さて無知で貧弱で情けなくどうしようも無い貴方にスキルと職業、種族を選んであげましょう。文句はないですね?」

「はい...」

「アバターも少し美形にするだけで良いですよね」

「はい...」

「それでは行ってらっしゃい。次会う時は加護のレベルが上がった時ですね」

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