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美少年の妹が女中に虐められるのは、どこも同じですか? 中編

 前回同様、文脈がおかしかったり、誤字脱字等があるかもしれません。ご了承ください。 

 似たような作品があるかもしれませんが、一応オリジナルストーリーです。(他作品から影響を受けていることは否定できません)

「うん。じゃあ、どこから聞こうかな?」

「どこからとは?」

「言葉は崩していいよ。じゃあ、今のような扱いを受けるようになってから」

  いつからだろう……。う~ん。物心つく前からな気も……。それに、どこまで話していいの? 分からないよ。信じたいけど……。……言葉なんて崩せない!

「……物心つく前から、格差はついていたと思います。はじめはあまり分からなかったものが、今は明確になってきたという感じです。女中たちは、僕が女の子だということを知っているので、見えないところで悪戯や差別はされてきていたと思います」

 私が女の子だということを口にすると、冬馬(とうま)様は、すごく驚いた顔になる。

  知らなかったのかな? 言われてない?

「冬馬、落ち着け。いいよ、続けて」

 大地(だいち)様に促されて、私は続ける。

「冬馬様と同い年の妹という時点で、妬まれるのは分かっていましたし、あまり気にしていませんでした。それに、冬馬様も優斗(ゆうと)様も大地様も美佳(みか)様も普通に接してくれていたので、本当に気にも留めていなかったので、それが、原因だと思います。ここまで格差を広げてしまったのは僕の責任です。冬馬様に害を与えてしまっていたこと、本当に申し訳ございません」

 私は、出来る限りの綺麗な礼をする。

「なるほど。千明(ちあき)、顔をあげて。僕たちは千明を責めるつもりは全くないし、助けようと思っているから」

  ん? 聞き間違い? 当主様から、助けてもらう? 私を責めない? はっ?

 私はゆっくり顔をあげた。

「いや、こういう話は聞いていたんだ。でも、本人からも聞きたいなと思って。謝らせるようなことを言わせてごめんな」

「いえ……」

  聞き間違いじゃないの? それに聞いていたって、冬馬様から?

 私はそーっと冬馬様のほうに目線を動かすと、冬馬様がにっこり笑う。

「ありがとうございます。いつも迷惑ばかりかけているのに……」

 私は冬馬様の方を向いて頭を下げる。

「いいからいいから。顔上げな」

 私が顔をあげて元に戻ると、大地様が話を続ける。

「同時に言わないと、結局千明に害が及ぶから、美佳が帰ってくるまで待つことになったこと、申し訳ない」

 大地様が目の前で少し頭を下げた。

  えっ、えっ、頭が追い付いてない……けど、え~~!

「あの、僕は別にもう害を害だと思ってないので、問題ないです。それに、お手伝い役ですから」

「それだから、ダメなんだよ。今日からお手伝い役じゃないから」

 今まで黙って聞いていた優斗様が言った。

  は? お手伝い役じゃなくなる? って事は、どこかに行くことになるの? 離れることになるの?

「……どういうことですか?」

「だから、千明は今日から、僕と同格に扱われるようになるということ」

「えっと、それは……女中がいると絶対に出来ない事の様な気がしますが……」

  どうするの? 冬馬様と同格って言うのは何となくわかるけど、女中は?

「そこは、父さんの権力でどうにでもなる」

 優斗様が大地様に目線を向ける。

「さっき、話は聞いていたって言ったよね。それで、対処法を僕らだけで考えた時に、女中がいなくなればいいんだから、辞めさせるか、どこかに派遣させればいいって言う話になったんだけど、女中の話は美佳の担当だから、美佳と話をしないといけない……とか、色々重なって今日になった」

「美佳様は納得されているんですか?」

「あぁ、協力すると言ってくれた」

「そうですか……」

  皆、優しい……って言うか、いなくなったらどうなる? えっと……

「女中がいなくなったとしたら、ご飯とかはどうするのですか?」

「そんなの、僕たちが作るに決まっているだろう」

 大地様がこれしかないといった顔で言う。……けど、

「作れるんですか?」

「それは……」

 私が聞くと、三人とも目をそらす。

「僕が作るのは全く問題ないんですけど、待ってもらうことになりますよ? いつでも出てくるわけじゃないですし……」

「大丈夫。教えてくれればいい。美佳もできるし」

「簡単ではないですよ? 作るのは別としても、洗濯とか洗い物とかいろいろありますし」

「協力するから、教えて」

 冬馬様はやる気だ。

「良いですけど、ちゃんとやってくださいよ?」

「もちろん」

「じゃあ、千明はいいんだな?」

「はい。お願いします」

 私は一歩分後ろに下がって、頭を下げた。

「頑張ったな。ありがとう」

 大地様―お父様に言われ、頭を撫でられる。

  ちょっと嬉しい。……これが、親子関係? 家族?

「さて、美佳のところに戻るか」

 お父様が立ち上がる。

「千明も行こう」

 冬馬様が手を差し伸べてくれた。

「はい」

 私は手を取って立ちあがる。四人で簡易的取調室に向かう。

「はぁー、やっといなくなる」

「そうだね」

 優斗様と冬馬様が揃って頷いている。

「それは、どういうことですか?」

「僕たちも、女中は好きじゃないんだよね。何でいるのかなって、結構考えてた。僕たちのためにいるはずなのに、僕たちを怒らせるような発言をしたり、守ってるんだが、何なのか分からなくてさ、ほんと何なんだよ」

 普段はあまり怒りをあらわにしない冬馬様が、怒っている。

  私と同じこと、考えてたんだ……。さすが双子……とでもいうのかな?

「父さん、ほんと、なんでいたの? 女中」

 優斗様の声にも少し怒りが混じっていた。

「昔から代々ここにいてくれているから、僕もどうしたら正解なのか分からなかったんだよ」

  当主様でも、分からない事ってあるんだなぁ。

「で、どうすることにしたの?」

「他のところに、派遣させることにした」

  他のところって、別荘とか一族が住んでいるとこっていうことかな?

「いつから?」

「それは、決めてないけど、いつにしようか?」

「決まるまで、ここにいさせるの?」

「そうなると思うけど……」

「それはやめて。千明が同格扱いされてないのを見るのは、もう嫌だから……」

 冬馬様が私の方を見る。

「ありがとうございます」

 ちょうど、簡易的取調室についた。お父様が扉を開ける。前にいるお父様と優斗様の間から中を見ると、現実を受け止められないような顔をしている女中たちと、考え事をしている美佳様―お母様の姿があった。

「話は終わったのか?」

 お父様が部屋の中の状況に少しひいた。

「えぇ。この後の仕事先はどちらにする予定ですか?」

 お母様がこちらを見ながら言う。

「他のところに行ってもらう」

「そうですか。では、全てのところに聞いてみましょう。あなたたちは、出て行く準備をしておいてください。明日の朝には全員出て行ってもらいますよ」

 お母様が女中たちに言い放って席を立った。

「本当に誰も残さなくて良いのですか? そうなりますと、世話係が千明さんだけになってしまいます」

 女中頭がお母様に縋り付くように訴える。

「いまさらなんだよ」

「あなたたちが離れたくないだけだろう」

 前と横にいる、冬馬様と優斗様が小さい声で毒を吐くように言う。

「いえ、世話係はいりませんし、私も家事はできます。千明に全てやらせている、あなたたちの様なことは致しません。それに、千明は世話係ではございません。そんなことも分からないのですか?」

「千明さんは、女の子ですから自分のことをするのは当たり前です。そのように他のところに居る女の子たちも育てられています。それは本家の子も同じ扱いを受けるべきです」

  他のところにも女の子はいるんだ。へぇ~。

「はぁ、千明は男の子です。男の子として育てているので、女の子と同じように育てる必要はないのです」

  あぁ~、もうやめてほしい。私のことで争って欲しくない。女の子なら女の子でいいから、家事とかやらせればいい。男の子として育てているなら、男の子のように扱って欲しい……。うぅ~。

 私は、両手で両耳をふさぐ。下を向いて目を瞑った。

「千明? 大丈夫? 部屋、出よう」

 隣にいた冬馬様が背中に手をまわしてくれた。

「大丈夫です。申し訳ございません」

「本当に?」

「はい」

  嘘だけど。この場にいないとダメな気がする。

 私は両手を耳から離して、目を開けた。さすがに上を向く勇気はない。

「ですが、女の子ですよ?」

「男の子だ」

 お父様も言う。

「女の子のままのほうがいいのではないですか? 自分の気持ちを隠さなくて良いですし、女の子としても、相川家では生きていけるではないですか」

  気持ちを隠させてるのは、あなたたちだと思うけど!

「男の子じゃないといけないことがあるだろう」

「あなたたちが、もう他の家に行くことは決まっています。解雇してもいいのですよ? それが嫌なら早く片づけをしてきてください」

 お母様が鋭い目で女中を睨んだ。

「はい」

 女中頭はやっと諦めたようだ。といっても、下を向いていてあまり見えなかったけれど。

 二人の間から向こうを見た時に、中にいた女中全員に睨まれた。

  ……怖っ。

「大丈夫だよ」

 横にいた冬馬様が背中を、ぽん、とたたいてくれた。

「この後は家族会議だ。三人先に行っていろ」

 お父様が私たち三人を見まわして言った。

「父さんの部屋に行っていればいい?」

「あぁ」

 お父様は頷いて、お母様のほうに行く。

「行こう」

 優斗様に催促されて、冬馬様が扉を開けて三人で出る。

  ……うぅ、周りからの視線が痛い。

「気にしなくていいよ」

 前を歩いている優斗様が振り返る。今日だけで二回は通っている廊下をまた歩く。

 部屋に着いて、優斗様と冬馬様の座る場所を確認し、いつものように後ろの方に座った。

「千明、こっち」

  あ、そうだった。なんか慣れちゃって、どうにもできない。

 冬馬様が座っている横をたたきながら言った。私は少しためらいながら、冬馬様の横に移動する。すると、ちょうど扉が開いてお父様とお母様が入って来た。

「さて、家族会議を始めようか」

 お父様が私たちの正面に座る。横にお母様も座った。

  あの二人は、まだ家族として扱われてないんだ。

「これからのことだけど、まぁ一旦、千明と美佳で家事全般をやってもらうことになるんだけど、優斗と冬馬は手伝うこと。一人に負担をかけすぎないことが第一だからな。学校とかは普通に行ってもらう」

「「うん」」

「はい」

 各々が返事をする。

「家族会議はこれだけ。千明、美佳が少し話があるようだから、付き合ってやれ」

 お父様が立ち上がりながら言った。

「はい」

 私は立ち上がり、お母様がいる、部屋の端に行く。

「あの二人のことは、あなただけ知っておいてくれれば、今はいいから。優斗と冬馬には何も言わなくていいわ。あと、もう一つ。また新しい兄弟ができたのよ。これから安定期に入るまで、出来るところまでしか家事ができないのだけれど、いろいろ、お願いできるかしら?」

「はい」

「無理しなくていいのよ? 誰も何も言わないから」

「大丈夫です。冬馬様達も手伝ってくれそうだったので。お母様の方こそ、無理しないでください」

「ありがとう」

「話、終わった?」

 冬馬様が間に入って来た。

  まだ、部屋に戻ってなかったんだ。

「ええ、聞きたい事は聞けたわ」

「じゃあ、千明、こっち来て」

 冬馬様が私の手首をつかんで、引っ張っていく。

「ちょっと待ってください。分かりましたから、離してください」

  冬馬様、なんか、今日、ちょっといつもより元気?

「敬語を辞めない限り、離さない。兄さんと決めた」

  ……どうしよう。敬語以外で話したことなんてないよ。何て言ったらいいの?

「どう話したらいいのでしょ……あ、良いの?」

  なんか、すごい違和感……

「そのまま、かな。僕は敬語で話すことがほとんどないから、そのままだけど、千明はどうなの?」

 冬馬様が振り返ってにっこり笑う。……といっても、ほとんど変わってないけど。

  質問したのこっちなんだけど……。あ、こういう感じって事? いやでも、う~ん。

「そのままでしたら、こうなります」

  心の中で思うのと、口調を合わせるとか絶対無理!

「ん~、どうしたらいいんだろうね」

 考えている風になるが、あまり考えていないだろう。

「とにかく、離してください」

「あっ、まず、ですます調をやめたら?」

  あ、ちゃんと考えてたのかも。

「えっと、どうしたら、やめられる?」

  あ、あ、勝手に出ちゃった。どうしよう……。

 冬馬様は少し驚いた顔になった。

「どうしたんですか?」

「あぁ、戻っちゃった。さっき、ですます調じゃなかったよ」

「そうですか……」

  意識しないとできないけど、意識してもそう簡単にできないよ!

「まぁ、頑張って」

 冬馬様は、手を離してくれた。そのまま歩き出す。私は何も考えずについて行った。

 着いた先は、冬馬様の部屋だった。

「何を知りたいんですか?」

「時間割から、教えて。どうやって見たらいいか分かるような、分からないような感じだから」

「月の予定表と時間割のかいてある紙、ありますか?」

「えっと、どれ?」

  そこからか……。

 私は冬馬様の机の上に積みあがっている紙の中から探し出す。

  多分ここら辺に……あった。

「これです。次の月曜日の一時間目の場合、C週のⅠの一時間目なので、CⅠ一をこっちで見ると、教科がわかります」

 一つ一つ、指で示す。

「おぉー、なるほど、分かった。意外と簡単なんだね。じゃあ、次、これは?」

 冬馬様がハンガーにかかっているネクタイを持ってくる。

「つけ方がわからないんですね?」

 そんなこんなで、一時間ぐらい、付き合った。

 いきなり扉がノックされる。私は、ビクッとなって、後ろに下がる。

「冬馬様、入ります」

 女中の声だった。私は部屋の端のほうに移動し、座った。女中が扉を開けて入ってくる。

「なんだ?」

 冬馬様は扉のほうを向いて座り直した。

「全女中の願いを伝えに来ました。千明さんを別荘に移していただけないかと、御当主様に願い出てほしいのです」

 女中は座って頭を下げる。

  私がいる前でこういうこと言うんだ。もしかして、いるって分かってない? あ、そっか、私なんている存在じゃないから、どうでもいいのか。

「本人がいる前で、こういう話をするんだ。ふ~ん、まぁ、僕は千明を手放す気はないから、他をあたってくれ」

「そうですか……。失礼しました」

 女中はすんなりと引いて行った。いつもはこんなに簡単にはひいて行かない。

  これは……他のところにも言っている気がする。優斗様にもお父様たちにも迷惑かけちゃったな……。

「大丈夫?」

 冬馬様は、女中が出て行き扉が閉まると、私の前まで来る。

「大丈夫です。申し訳ありません。僕のせいで……」

「迷惑じゃないから、良いよ。じゃ、父さんたちの返答も聞きに行こうか。僕が知りたい事は全部知れたし」

「はい」

 私は立ち上がり、冬馬様について行く。優斗様の部屋の前まで来たときに、ちょうど優斗様も出てきた。

「あ、冬馬、千明。冬馬のところにも来た?」

「うん。女中だよね?」

「うん。僕は協力できないって言ったけど、冬馬もそんな感じ?」

  優斗様、迷惑じゃなかったかな? 断ってくれたのはうれしい。

「うん。僕は、手放す気はないって言った」

「千明は冬馬の物だけじゃないからな」

 二人は小さく笑う。

「さて、父さんたちのところにでも行くつもり?」

「うん」

「じゃ、一緒に行くか」

 私は二人が歩く、少し後ろをついて行く。

  楽しみだな。この後の生活。

 少し警戒を緩めたところで、服を引っ張られ、口を押さえられた。

 最後まで読んでくださりありがとうございます。

 誤字脱字等、教えていただけたら嬉しいです。

 二週間後に次回を出す予定です。次回、最終回です。読んでいただけたら嬉しいです。


 本当に展開が……という状態になっていますが、追いつけていますか?

 家族が優しい人たちで、良かったですねぇ。(他人事)

 次回は、新しい兄弟が出てきますよ。

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