41話 シンシアとのデートその4
「次の角を曲がったところに3人。武器はナイフ。ここは私の手裏剣で死角から―――」
俺はシンシアの言葉を聞くとすぐに角へと駆け出した。
3人の男が俺の姿を捉える。
「シンシア! 音を消してくれ!」
音を消すスキル。隠密者系統でも上位のスキルではあるが、シンシアならおそらく使えるのだろう。
「【静寂な世界】」
シンシアがスキルを発動すると、敵の叫び声は消される。
俺は一気に距離を詰めると、目の前の敵の腹に拳を打つ。
敵の一人が後方へと吹き飛ぶのを確認し、次に左隣の敵に回し蹴りを食らわしダウンさせる。最後に残った敵のナイフでの突きを体軸をずらすことによって躱し、その腕を捉え関節を破壊すると、そのまま背負投げをし、意識を飛ばす。
「すごい……エールくんって接近戦もできるのね」
「体術に関しては訓練所での成績もよかったんだ。残念ながらパッシブスキルは顕現しなかったけど」
「それは―――。いえ、今その話をする必要はないわ。それより、あなたがそこまで体術に長けているのなら、私が忍具を使うよりもあなたが戦ったほうが潜入したことを隠せるわ。私はサポートに回るわね」
「わかった」
俺たちはアジトの更に奥へと進んでいく。
*****
「ここがアジトの最深部。いや、あそこに地下道がある」
俺とシンシアは見張りと思わしき70人の信者を倒し、この場所までたどり着いた。
途中、囚われていた人々を解放し武器庫から盗難品であろうものも全て回収した。
「魔結界が張られてるわ。この先は危険な存在が――」
突然、シンシアの眼が光を失うと、身体がぐらつく。俺はそれをすぐに抱きとめる。
「大丈夫かシンシア」
顔色が悪い。魔力欠乏症の兆候だ。おそらく緋の眼は維持するのに大量の魔力を消費していたのだろう。
「ごめんなさい。ちょっとふらついてしまって。でも、大丈夫よ」
そう言って、シンシアは身体を持ち直す。
「いや、シンシアは休んでいてくれ。ここから先は俺がいく」
「でも――」
「頼むシンシア。もしお前に何かがあったら俺は――」
俺の言葉にシンシアは頷いた。
「わかったわ。必ず帰ってきてちょうだい。私はここで待ってるから。今夜はもうディナーだって予約してあるの」
「あぁ。わかった。すぐに戻るよ」
そう言って俺は地下へと進んでいった。
今週末に新作の投稿を始めます!
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