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33話 鳥退治に向かいます

「大丈夫か? ミルキィ」


「はい。なんとか」


「危険な目に合わせてすまない」


「試練ですから。これくらい平気です」



 モームが霧の中に消えてすぐ、毒に麻痺していた者は全て回復した。


 強力かつ即効性の麻痺毒である代わりに、持続性はほとんどないらしい。曇天の霹靂メンバーも既に回復している。



「一体何だったんだろうか」

「話に聞いていたものとは随分違います。危険です」


 そのような会話が聞こえる。


 ミルキィは俺の方へやってきて耳打ちした。

「あれはどうみても使徒でしたね。もしかしてご存知だったんですか?」


「ん? あぁ」


「あれほどの存在。エール様以外に倒すことはできないでしょう」


「そうか」


 そうか、と言ってみたものの意味はわかっていない。ミルキィの話は時々難しくなるから、とりあえず相槌を打つようなことがある。

 よくわかってはないが、俺にしか倒せないということは弓が弱点の魔物なのだろう。


「でも、フロアボスの使徒なんて聞いたこともありません。本来血の量の制限があるために、使徒を作るなら低級の魔物もしくは人間を素体にするしかないはずだったのですが......この前のゴブリンロードに引き続き異例の出来事です。もしかしたら同じ魔人が作っている可能性も」


 ミルキィはぶつぶつと何かを言っている。

 自身の知識と照らし合わせ、今後の方針を立てているに違いない。



 ビストラがミルキィに近づいてくる。


「どうする? 俺はこれ以上の継続は危険だと思っているんだが」


「逃げたければ逃げてもいいですよ。私はエール様と試練を続けますから」


「しかし、あの魔物は紛れもなく―――」


「なあ、あの鳥は追いかけなくていいのか?」



 俺は思っていたことを口にした。


「直接目で見たわけではないが、鳥の向った方向に豚も逃げたように思う。更にそっちの方角には何か不吉なオーラがあるんだ。人の気配もする。もしかしたら先行した2人が襲われているかもしれない」


「シトラスとフォーゼがいるのか。しかし今から行っても間に合うのか?」


「普通に歩けば、半日はかかるだろうな。ここからだと流石に俺も射程距離外だ」


「ならどうやって」


「【瞬歩】を使えば、すぐに駆けつけられる。ただ、そうするとミルキィにはここで待ってもらわなければいけない。それがだけが問題なんだ」


 俺の言葉にビストラは警戒するような素振りを見せる。


「詳しいことは俺にはわからない。ただ、兄であるお前が妹のミルキィに何かしらの恨みのようなものを抱いているのは馬鹿な俺でもわかる。何も直接お前が同行するとは思ってない。ただ、魔物に襲われた時にミルキィを守らないように指示をするようなことはあるかもしれない」


「そんなことはしないよ。だって俺たちは同盟を結んでいるじゃないか」


「本当か? 俺の一番の目的は騎士としてミルキィの安全を守ることだ。ここにミルキィを置いてくことで少しでもリスクが有るのなら残せない」


「わかった。約束するよ。ミルキィの安全は守る」


「頼むぞ。もしミルキィになにかあったらお前たち全員を―――」


 この先は言わなくても問題ないだろう。



 脅しのようなことは今までしたことがなかったが案外上手くいったかも知れない。俺の言葉に曇天の霹靂メンバーそしてビストラは震えていた。



「エール様、頑張ってください」


「あぁ。すぐ終わらせてくる」



【瞬歩】


 俺がスキルを発動すると、足に力が宿る。一瞬の溜めの後、力を開放する。


 身体が宙に浮く感覚。



 俺は三毒のいる方向へと駆け出していた。











来週末あたりに新作の発表をしたいと考えているので、どんどん投稿していきます!

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