23話 地下迷宮に潜りました
「ここが、地下迷宮――――」
ミルキィ、ビストラ、『曇天の霹靂』の8人、そして俺は地下迷宮の41階層へと転送された。
「草原エリアか」
地下迷宮は5階層で一つのエリアを形成する。41から45階層は草原エリアが広がっており、目的である50階層を目指すにはまずこのエリアを攻略しなければならない。
「まだ人工物が多いな」
俺がそう呟くと、ミルキィが説明をした。
「下一桁に1がつく階層は地殻変動が起こりにくいため、キャンプ地が設立されることが多いんです。一つ下に降りれば、様子も変わります」
地下迷宮は不定期に各階層で地殻変動を起こすことが知られている。その原理について全く解明されていないものの、気がつくと新たな自然が形成されているため、地下迷宮において地図をもつことは無意味にも等しい行為である。
地殻変動で、その階層のカテゴリー(気候、土壌、植物、魔物の種類や強さ)が変わることはない。しかし、倒したはずの魔物のリポップや採取し尽くした資源の復活が起こる。
そのため半永久的に希少な資源を得ることのできる地下迷宮を中心に国は発展し、現在大陸で確認されている三つの地下迷宮をそれぞれ保有する国は、どれも大国として周辺諸国に影響を与えている。
バビロニア王国も、地下迷宮を持つことで長年その地位を築いてきたが、裏を返せば、周囲の国は虎視眈々と、地下迷宮の支配を狙っているのである。
「しかし、俺たちは運がいいな。第一王子のアーサーはトラブルが起きたんだっけ?」
「そうですね。たまたま『宵の明星』のメンバー二人が怪我をしてしまい、お兄様は新しいパーティーをメンバーに登録が完了するまで2ヶ月間の間は行動ができない。だからまだ地上にいらっしゃる」
「第三王子と第一王女の二人はもう1ヶ月前から地下迷宮に入ったんだよな。随分と用意周到だ」
「ええ。『曇天の霹靂』のメンバー内で準備が滞ったせいで出発が遅れましたけど、まだ取り返せるペースです」
「良し! なら気合い入れてやるぞ! あ・・・・・」
俺は地下迷宮に入る前に、ミルキィから言われていた言葉を思い出す。
「エール様の実力はできるだけ隠すようにしてください。できる限り手加減をして相手を油断させるんです」
そもそも大して強くない俺に手加減なんてする余裕あるのかという疑問があったが、ミルキィが何度も言うので、俺は可能な限りそうすると約束した。
「そうだった。じゃあ、ほどほどに頑張るぞ!」
俺たちは42階層へと進んだ。
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