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19話 弟子ができました?



毎日投稿継続中!





「あのあの。エールさん。うちのメンバーが迷惑かけました。ごめんなさい!」


 頭のおかしくなったヤリモンドから離れたあと、『曇天の霹靂』のメンバーの一人が話しかけてくる。


「エール様に何の用ですか。また何か悪いことでもするつもりですか」

 ミルキィが女に向かって言う。



「あぅ。エマはただ謝りたくて。本当にすみませんでした!」


 女は大げさに頭を下げる。


「大丈夫だ。少しだけイラついたがもう収まった。お前は俺に何の用だ?」


「私、魔術師のエマって言います! 提案をしたくてここに来ました」



 俺はエマの姿を改めて確認する。

 おとなしそうな雰囲気だが、顔は美形。ダークブラン髪は綺麗に編み込まれていて、女の子らしさが感じられる。袖の長い、典型的な魔術師の礼装。身長は平均よりやや下。身体のラインは程よい肉付きをしている。シンシアの身体には鍛え抜かれた美があるのに対して、エマの身体には生まれ持っての女らしさがあるといったところか。


 俺はそこまで観察したあと、要件を聞く。


「提案? 一体どんな」


「もしよければその弓を綺麗に修繕することのできる鍛冶屋を紹介しようかなと思いまして」


「鍛冶屋? あぁ。わざわざ気を遣ってくれたのか。ありがとう。でも、その必要はない」


「どうしてですかぁ?」


 エマは戸惑う表情を見せる。



「これくらいの故障なら自分で修繕できるんだ」

 俺は折れた弓を優しく撫でる。


「【武具修復】」


 弓が淡い光に包まれると、次の瞬間、俺の手の中で弓は元の姿に戻る。



「う、嘘ですよね? だってそれは鍛冶屋の職人さんでも三十年以上の修行の上で初めて覚えられるはずの―――」

 エマは唖然とした表情を浮かべている。


「そんなにすごいことなのか? いまいち意識したことはなかったが」


「ど、どこでそんなスキルを覚えたんですか!」


「爺ちゃんに教えてもらったんだ。一日に何千本も矢を放っていると、武器の消耗も激しくてな。できる限り大切に弓矢を扱っているつもりでもいずれガタが来る。そういう時にこうやって直してるんだ」


「ええ! すごいです! 実はエマ噂で聞いたことあるんです。エールさんはすごい冒険者だって。でも、多くの人はエールさんのことを偽物だとか、詐欺師だとか言う人がいて、どうかなって思ってたんですけど、いまのを見て確信しました! エールさんはやっぱり強い冒険者です!」


「いや、俺は強くなんかないよ。弓以外のこととなると全然駄目なんだ。剣や槍や斧は才能がないと言われた。魔法もろくに使えないし冒険者としてはまだまだ未熟者だ。ほら、見てみろよ」


 そう言って俺は、右手を差し出し、魔法を詠唱した。


「《ミニフレイム》」


 紅い小さな炎が俺の手でかすかに揺れる。


 それを見たエマは驚いたような顔を浮かべていた。


「え、えええぇ!!! すごい! すごいですよ!」


「ん? 何がすごんだ? この程度の魔法なら魔術師のお前は余裕でできるだろ」


「エマ、エールさんのもとで学びたいです! エマを弟子にしてださい! お願いしますエールさん! いえ、先生!」 



 何を言っているのかはわからなかった。だが、状況は理解した。彼女も相当酒を飲んで酔っているのだろう。


 俺がそんなことを思っていると、酒場の奥のほうで賑やかな声が聞こえる。『曇天の霹靂』のメンバーが集まって何かしているようだ。


「あれは何をしているんだ?」


「うーんと、あれは恒例の腕相撲大会ですね!」


「面白そうだな。俺も行ってみるか」


 そうして俺は腕相撲大会に飛び入り参加することになった。








書籍化目指して書いてます!


「面白いかも!」

「続きが気になる!」


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