16話 宴会に向かいます。三毒について
短めです。
日が暮れて、夜が来た。
心地の良い風が吹き抜ける。王都は夜でもにぎやかだった。
ビストラに指定された酒場へミルキィと向かう途中、俺は昼間の説明を聴いていてわからなかったことを質問した。
「『三毒』ってどういう魔物なんだ?」
「三毒はその身に猛毒を宿す、三体の魔物の総称です。『貪』の異名を持つ怪鳥ラーガ。『瞋』の異名を持つ大蛇のドヴェーシャ。『癡』の異名を持つ狂豚モーハ。これら三体の魔物は50階層のフロアボスとして、30年に一度リポップします」
三体の魔物のうちどれか一つでも倒せばいいというのが今回の試練の内容か。
「麻痺毒、遅効毒、魔力毒。それぞれが持つ毒はどれも凶悪で、特殊な対策をしなければ防げません。これらの魔物の肝を潰し、全てを混ぜ合わせると、中和反応が起こり、究極の薬が作られます。それを摂取することで、どんな毒に対しても耐性を獲得し、バビロニア王国の王になる資格を得ることができるのです」
「なるほどな。そんな伝統があったなんて知らなかったよ。別の質問だ。『裏口』っていうのは何のことを指してたんだ?」
「地下迷宮の入り口はギルドにありますよね?」
「あぁ。ギルドの中央にあるあの部屋だろ?」
「はい。あれが普通の冒険者が使用する入り口ですが、実はこの国にはもう一つ別の入り口も存在しているんです。それが、城の裏手にある裏口です。裏口は王家が管理するもので、地下迷宮の21階層そして41階層に直通しています。しかし、それを使うには規定があるんです」
「今回それがどう関わってくる?」
「裏口を使えるのは騎士の所属するパティーメンバーまでという規定があります。つまり、他のパーティーを雇う場合は、必然的に表の入り口から地下迷宮に潜り込まなければなりません。そうした場合は、裏口を利用する場合と比べ、最短でも2ヶ月のロスは生じてしまうでしょう」
「つまり、手を組むならば王位継承戦に参加する者同士にしなければいけないということか」
「実質的にはそうなりますね」
目的地の酒場が見えてくる。
「エール様、今日も何が起こるかわかりません。手を組むと言っても、裏切られる可能性はいくらでもあります。気をつけてください」
「わかった」
こうして俺たちは酒場のドアを開けた。
次回はよく書けたなと思える面白いエピソードになります。
明日更新予定ですので期待していてください!
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