14話 何やら怪しい動きがあるようです
短めです。
「ラルフ、どういうことだ? なぜあの使徒が倒された? 」
三人の男が会議をしていた。
「こっちが聞きたいくらいだ。あの使徒は私の最高傑作だった。相当な量の血を与え、魔結界まで用意した。しかも【蝿の王】まで使い狂化している。制御がほとんど効かないのが弱点だが、魔法耐性、物理耐性、再生力ともに並の魔人を遥かに上回っていた。王都くらいなら半日で堕とすことができるはずだったんだが」
「それが消失した。実験が失敗だったと考えるのが普通じゃないか?」
「ジーク、思うに僕のケルベロスを倒されたこととなにか関係があるんじゃないかな。ペットに偵察させたところ、一人怪しい男がいる」
「この前話していた弓撃手か……嫌なことを思いだすな」
魔人ジークは脳裏にある男を思い浮かべる。かつて仲間を屠った忌まわしきあの人間。
「ファラリスが言うなら間違いないだろう。私の使徒もその男に殺されたと考えれば辻褄が合う。だが、本当にそんな規格外の存在がいるのか?」
ラルフが言う。
「希望的観測を前提とするより、最悪を想定するべきだろう。そうだな―――」
ジークは少し考えた後、作戦を決定する。
「ファラリス、工作を更に露骨にしてもいい。ここまで来たら仕方ない。魔王様の意向とは少しずれてしまうが、王位継承戦で内政が疎かになるいまが攻めどきだろう」
「僕の権限ならそれもできる。ただ、少し時間がかかるかも知れない」
「それでいい。ラルフは別の使徒を作れ。多少力が弱くても良い。制御ができるようなやつにしろ。用意ができたら帝国に流す。必要なら俺も血を提供する」
「ジークの使徒なんて100年ぶりだね。ぜひ血は使わせてもらうよ。君はどうするの?」
「俺は少し東の国の様子を見てくる。あちらの地下迷宮で何か異変が起こっているらしいからな」
こうして魔人2人と、帝国の参謀は新しい計画を始動するのだった。
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