じゅけん!
「お兄ちゃん、なんで最近かまってくれないの? ねぇ……ねぇってば!」
桜が抗議の声を上げる、確かに普段よりかまってないけどさ。
「あのさ、もう10月だぞ、受験があるから忙しいんだよ。
大体俺の進路でお前も進路が決まるとか責任重すぎんだよ」
そう、受験勉強のためである。
何せ俺が偏差値の低い高校に行けばそれをおってくるというのだから少しでもいいところに行こうとするのが普通だろう。
確かに桜を説得して志望校を変えてもらうというのも正論だが、この妹に正論など通じてはくれないんだ。
下手すりゃ刃傷沙汰なので俺がまともな高校に進学するしかない。
「なあ、ほんとに俺と同じ高校にするのか?」
「当然じゃないですか、大体大学受験なんて推薦使わなきゃセンター試験と二次試験の結果がすべてですよ。高校時代の素行とか成績とか考慮されないならどこでもいいじゃないですか」
「でも、高校の勉強のレベルが違うんじゃ……」
「そんなもの自習でどうにでもします。あ、もちろん大学も同じとこ受けますよ」
「大学はまともに進学して欲しいんだが……」
「お兄ちゃんが潔く私のヒモやってくれるんなら安心してどこへでも行けるんですけどね」
妹のヒモ……びっくりするくらいのダメ人間じゃねえか……
それは甘い誘いだった、だったのだが自分の理性がそれを受け入れるのを反対した。
「さすがに勘弁してくれ、ただ大学は頼むからまともなとこへ行ってくれ」
「お兄ちゃんと一緒にいる方が大事です! 大学って四年ですよ四年! 四年も離れ離れとかあり得ないでしょう!」
「レベルはともかく地区は選ぶよ、同じ家から通うくらいで我慢してくれ」
「いいですね! 同棲感ありますねえ……」
あっ……ヤバいかなこれ?
「ではお兄ちゃん! うちから通えないけど一緒に暮らせるだけでいいです。同じ地域の大学選びましょう!」
「あと四年あるだろ、それまでによく考えとけ……」
四年もあれば考えも変わる……よな。
ーーーーーそして卒業式
「うぅ……お兄ちゃん、寂しいです」
「どうせ来年には同じ高校受けるんだろ、しかも家じゃ一緒じゃんか」
「そういう問題じゃないですよぉ……あ、第二ボタンもらっときます」
そこら辺しっかりしてるなあ、切り替え早っ!
「じゃあまた来年には歓迎してくださいね! お兄ちゃん!」
「任せろ」
少しずつでも時は進んでいく、時計の針は戻らないがリセットくらいは許されるんじゃないだろうか。
そんなことを考えつつ、桜と二人で帰り道を歩いて行く。