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ある夏の日

 夏も近づいてきた今日この頃、蒸し暑くなってきた日差しの中、俺は……デートで道の駅にいた。

 なぜ道の駅なのか? と疑問に思う人が多いだろう。

 それに答えるならば「田舎だから」と「自転車くらいしか移動手段がない」という2つの理由からだ。

 田舎特有のショッピングセンターでいいじゃんとお思いの方も多いだろう。

 だがデートの相手は妹だ。クラスメイトに会うと何を言われるか分かったもんじゃない……

 そんなわけで俺は兄妹でサイクリングデートをしている。

「お兄ちゃん! ソフトクリーム一緒に食べましょう!」

「分かったから! 引っ張るな」

 幸いここにはクラスメイトは来ていない。自転車に乗るなら駅まで行って電車で遠くに行くメンツの方が多いようだ。

「お兄ちゃんもそんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃないですか、私とデートできるなんて男子が聞いたら泣いてうらやましがりますよ」

 妹……なんだよなあ……いや、変な考えはないですよ、ホントです。

 海風が吹いて桜のツインテールを揺らす。ああクソ、かわいいなあ。

「わぁ……きれいな花ですね」

 海に面した側は一面の花畑になっている。

 この季節はちょうど満開の時期だ。

「お兄ちゃん! 写真撮りましょう! NSにアップします!」

「やめい! どこに広まるか分からんだろうが!」

「むぅ……じゃあハッシュタグに兄妹っていれますから! それなら勘違いされないでしょう?」

「どこに広まるか分からんものは嫌いなんだよ」

 NS怖いです、写真の瞳に映った恋人を特定したり、植物の葉脈まで調査する連中がいるからな。

「取りたい取りたい取りたい! いいじゃないですか兄妹なんだから!」

 ついに駄々をこね出した桜を見てため息をつく。

 こうなるといくら理論で説き伏せてもダメだな……

「分かったよ……一枚だけだぞ。アップロードは無しな」

「うん!」

 超いい笑顔になる桜。

 こうして写真を撮ることになったのだが……

「お兄ちゃんもっと顔を寄せて!」

「ちょっと近づきすぎじゃ……」

「だって自撮り棒なんて持ってないですし。インカメラで撮るなら近づかないと見切れちゃうじゃないですか」

 用意があったわけではないらしく、スマホを手に持ってインカメラをこっちに向けて撮影している。

 桜が贔屓抜きにかわいいので注目を浴びている。早くして欲しい。

 

 この後、いろいろ見て回ったりして日が傾いてきた。

「おい、帰るぞ」

「もうちょっとだけ、ダメですか?」

「ダメ……その……また来ればいいだろ、一人がいやなら付き合ってやるよ」

「今すぐ帰りましょう」

 桜がガッツポーズをしながらさっさと帰る準備を始めた。

 この様子だとまた来ることになりそうだな。


 自転車で帰った翌日、筋肉痛で歩くのも辛かった俺は昨日の発現を全力で後悔するのだった。

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