つながり依存
スマホは現代社会に大きな変革をもたらした、それにより監視社会が……
などと社会問題の提起がしたいわけではなく……
ピコン!
また届いた……
そう、メッセージアプリである。我が妹は立派に使いこなし、既読がつかなければ大丈夫か? と電話をかけ、未読にしていると何で読んでくれないの? と電話をなさる。
コレというのも桜が「中学に上がったしスマホが欲しい」と言ったことから始まる。
はじめは俺の方が詳しく教えていたのだが、ソシャゲはいいからメッセンジャーの使い方教えてと言われ、教えたのが運の尽きだった。
急いで返事を書かないと……
中学でそれほど友達がいなかった俺は既読や未読がこんなに精神的にクルものだとは思っていなかった。
どちらかと言えば「しょーもな」で済ませていた口なのだ。
スマホってゲーム機でしょ? とばかりに俺のスマホはソシャゲ専用だったのだが……
ピコン!ピコン!
ああ、催促が……早く送らないと。
ちなみに現在入浴中である、最近のスマホは防水仕様だ。24時間拘束するぞと言う強い意志を感じる。
しっかし何書いてるんだろう?
「お兄ちゃん! 今テレビでお兄ちゃんの好きなアイドルが出てますよ!」
どうせいゆーねん、風呂に入ってんだぞ。
とまあこんな感じで俺と一緒にいないときはどんなときでも定期的にメッセージが届くようになった。
さすがに授業中は届かないのだが、俺の方が先に授業が終わると、どうやって送ってんのかは知らないが……
―――――翌日
放課後にもなったので帰宅しようとするとメッセージが届いた。
「待っててください! あと少しなので!」
一度先に帰ったことがあったのだが、桜に「かわいい妹に何かあったらどうするんですか! 私はかわいいんですよ!」
と謎のキレ方をされた、そんなわけで今日は桜のクラスの終わりを待っている。
「お兄ちゃん……お待たせ……ハァハァ」
どうやら走ってきたのか息が上がっている。
「別に走ってこなくても……」
「もし私が遅れたせいでお兄ちゃんが先に帰っちゃったらどうするんですか! 私はかわいいんですよ!」
「はいはい、そんときゃ飛んでいくよ」
いつものやりとりを流して帰途につく。
夕日がさすなかを二人で歩く、桜の顔が赤く見えるのは光のせいだろうか。
「お兄ちゃん……私と離れたりしませんよね」
いつかは桜にも恋人ができたりするのだろう、それでも俺たちは兄妹だ。
「安心しろ、血は水よりも濃いんだぞ」
桜は困ったような顔をしていたがすぐに、ちょっとうれしそうな顔になり
「うん……そうだね……それはそれで、いいね」
俺の前に出ると柔らかに笑いながら
「私はどこへも行かないよ! だからずっと一緒にいてね」
「しゃーねえなあ!」
独身ならしょうがない、しょうがないんだ。
そう答えた俺の声はどこか弾んでいた。