ふたりのみらい!
高校卒業後、俺は地元の大学に通っていた。
無事卒業と入試をクリアしなんとか滑り込んだ感じである。
さて、俺の手には一枚の契約書がある。
それは不動産の契約書で、地元の大学がある市にあるアパートの契約書だ。
2DKでそれなりの広さはあるが、元々が田舎の方なのでそれほど賃料は高くない。
この契約書を俺が持っている理由、それは桜が地元の県でトップの大学に合格したことに端を発する。
桜の受かった大学はそれなりのランクでしかも医学部である、俺の通っている大学には医学部はない。
で、予想はつくと思うが俺の通っている大学へ行きたいとゴネた、超ゴネた。
両親と教師は頼むから医学部に行ってくれと泣いて頼んで、それに対して俺の大学でないと嫌だとこちらも泣いて頼んだ。
その結果、俺の大学と桜の大学のある都市で「二人暮らし」をすると言うことでなんとか桜の説得に成功したのだった。
その日俺に気まずそうに「桜と一緒に暮らしてくれ!」と頼まれたのは忘れられない。
俺はそれに対してできるだけ平静を装って「分かった、桜の頼みならしょうがないな」と理解があるふりをして二つ返事で引き受けた。
「お兄ちゃん、行きましょう!」
少しだけ成長した桜が今は隣にいる。
「どうしたんですか? いまさら嫌なんて言いませんよね?」
俺は少し逡巡して今後の予知にも似た感想を述べた。
「いや、きっと何十年経ってもこんなやりとりをしてそうな気がしてな」
桜は笑いながら答える。
「その相手が私ならそれでも後悔はしませんよ、それはそれで、いいじゃないですか」
「そうだな」
俺は桜に笑いかけながらこれからの未来に思いを馳せた。
中学、いや小学校より前か……まったく成長してないな……
でもま、人なんて不完全なものだし、誰かと支え合うってのもいいかな、たまたまそれが妹だったけれど、それも悪いこっちゃないな。
それ以上の関係は望めなくても、今が一番と思えるなら、きっと十年後だって「今」が一番って思ってるんだろうな。
ああ、いい天気だ。
春風が二人の間を通り抜けて、透き通るような青い空へ吹いていった。
これにて完結です
実はこれがプロットを立てて小説で初めて完結させたものです
今までは頭に浮かんだのそのまま書いてたんでたためなかったんですが、
今作は無事終章まで書けてほっとしています。
ここまでお付き合い本当にありがとうございました。