えっ!?ここって乙女ゲーの世界だったの!?
語感100%で書いたので途中に3回物語が破綻して、2回書き直した作品です。良かったら読んでください
ぅおーうけぃおーけいぃ、びークールだ俺。
ジョニーだって言ってたじゃないか。輪廻転生、因果応報、異世界転生…
まぁ、なんだ。
どうやら俺は皆よく知る異世界転生…転移?ってやつに巻き込まれたらしい。
それを俺がハッキリと自覚したのは覚醒して五秒後。
恐らく誰と比べる訳じゃないが最速だったんじゃないかと自負している。
だって目が覚めたら家のリビングより部屋の中で屋根付いてるような超豪華なベットに寝てたんだぜ?そりゃぁ転生確認三点セット間違いなしだわ。
あ、三点セットっていうのは「オッパイ、股ぐら、顔の作り」の三点セットのことね?
流石にいきなりTSしたり人間辞めてる感じだとびっくりするじゃん?
まぁ、幸いにして?どうやら人間、男の子、小学生位?とちょっと幼くなったけど金髪青眼のイケメンの片鱗という当たりの部類に含まれる転生?をはたしているとこは確認できた。
いや、まだだ。まだ醜美逆転世界かどうかが残っている。
俺は油断大敵と言わんばかりに心のハチマキを閉め直した。それにしても。
「寝て起きたらこうだったってことは、向こうに家族を残してしまったって訳か…やっぱりこう言うのって心残りになるな…」
そんなことを呟いているとこれまたやたら豪華なドアからノックの音が響いた。
「レオン様、お食事の御用意が整いました」
「ああ、解った。今向かうよ」
とりあえず自分の名前がレオンと言うことと、どうやらここは日本語が使える使える世界だと言うことをスマートに理解した俺は簡単に身だしなみを整え、朝食の香り漂うどう見ても貴族な屋敷内の食堂へ足を運んだ。
さて、次は家名と両親の名前か…
…と考えていたんだが。
食堂について約五秒後にはさっきまで抱いていたセンチメンタルな気持ちは跡形もなく吹き飛んだ。
「おーはよーうすけ…あ、やべっ」
親父ぃぃぃ!?
「お父さん、まだ決まった訳じゃないんだから…ってあら?この様子だと陽介みたいね」
お袋ぉぉぉ!?
「いぇーいにぃちゃん、元気してるー?」
いむぉぉうとぉぉ!?じゃねぇ!?弟!?誰だお前!?」
「しつれーな、僕だよ!日向だよ!」
「まじかよ!転生三点セットしたか?」
「にーちゃん、それ、セクハラ!」
今は弟だから問題ない…え?同性でも認定されるときがある?マジか…
次から控えよ…
そんなわけで俺のおセンチが秒速5キロメートルで吹き飛ばされた理由はまあ、簡単。
無双転生ならぬ武藤(一家全員)転生だったからだ。
そういえば使用人らしき人等の
というか親父等が既に色々やらかしているのに使用人らしき人等の反応がやけに冷静なのがが気になるな…
しかし、どうやらこの転生?はそんなQ&Aも完備されてるヌルゲー仕様らしく、その回答自体も文字どおり天から降ってきた。
(聞こえますか…私は今、あなたたちの心に…直接話しかけています…)
おお、まさに女神様っぽい語り出しだ!
(皆さんも揃ったようですので簡潔に説明します…端的に言うと貴女方は我々の手違いで向こうの世界の存在を消されてしまいました…)
なんかいきなり物騒な話になったな!?
(なので…適当に不幸そうな貴族の人達の所に…貴女方の魂を突っ込んでみたというわけです…)
うっそだろ!?ウルトラ雑な話じゃねぇか!?
(一応…記憶を戻しておきますね…)
なんの!?って、うわっ!?アババババ…
…あー…いや、ないわぁ…レオン君めっちゃ虐待チックな感じじゃーん…
魔力がないから弟と比較されるパティーンじゃーん…
「息子よ…」
「…それは…レオンに向かって言っているのか?」
途端、空気が冷たくなる。
俺が記憶を取り戻したと言うことは冷遇していた父親の記憶が戻ると言うわけで目の前にいるのがはたしてこの人はどちらなのか。
「いや、お父さんがやったことじゃない…いや、自分がやったことなのかな?とにかく、レオン君に申し訳ないよ…なんというか…ごめんね?」
家の親父でした。
「おにぃぢえぁぁぁん!!ごぉぉめんんんねぇぇぇぇ!!」
「全く、前の人格の持ち主?はとんでもない母親ね。お腹を痛めた我が子でしょうに…
陽介?レオン?いずれにせよもうこんなことは絶対に起きないから安心しなさい?」
「お、おう…解ったよ父さん、母さん」
「にぃぢぁぁぁん!?わだじはぁぁぉぁ!?」
「解ったから落ち着け!日向!」
とりあえず解ったことは、どうやら自分達は貴族の記憶を持ちながら現代日本人の心を持ったスーパーファンタ人になってしまったってことらしい。
と納得していると使用人…特にセバスチャンらしき人が号泣して咽び泣いていた。
「まさかこう言う事だったとは…」
えっ!?なにも知らずにこのやり取り見てたの!?
「皆さま、私たち使用人には今朝、神託があったのです…控えめに言って最悪なこのローズ家の空気をマシにしてあげるから一段落するまで黙って見とけと」
(もう少し穏当に言ったつもりなのですが…)
多分、滅茶苦茶端折りまくったからだと思いますよ、女神様?
「それとあまりよく分からなかったのですが、"異世界の知識ってそれだけでチートみたいなもんだから、ちゃんと協力しとけば貴女方の生活も楽になると思いますよ?"とも言われました…」
(それは言ったかもしれません…)
言ったんですか。
「それが朝食も始まらぬ内にここまで朗らかな空気になるとは…この、セバスチャン、感激いたしました!」
「良かったわねぇ…」
「良くわかんないけど、こんなの朝飯前ってやつだよ!」
感激?しとる使用人の横で「いやー、私達マジ仕事したわー」的な空気を出す女性陣(一人TS済)、と言うかやっぱりあの人セバスチャンなんだ。
「陽介…いや、レオンよ…」
なんだか賑やかしくなった食卓に仰々しく親父が俺に声を掛けてきた。
「このやり取り…けっこうやってる気がするけど…一応聞いとこうか、どうした親父?」
「父さんな…実はちょっと内政チートに興味があったりするんだ…」
「知ってた。」
うん、ほんとマジで知ってたわ。
なんなら親父の本棚のラノベ見て育った位だもの。
まさに親の顔より良く見た異世界転生。
…流石に言いすぎか?
「…まぁ、俺も親父の息子だ。異世界に来たらやってみたいことの1つや2つぐらいはある…とんでもないこと言い出さなければ手伝う位はするよ」
「流石陽介!頼りにしてるぞぉぉぉ!!」
「一応、言っとくけど、これフリじゃねーかんな!?オヤジ!?」
そんなこんなで俺は家族丸ごと異世界転生に巻き込まれると言うレアな体験をすることになったのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「レオン様…いや、レオン。お前、絶対転生者だろ?」
「なかなかロックンローラーな語りだしだな?ガール。まぁ隠してる訳ではないんだが、有り体に言うとそうだな。なにゴールド嬢?そっちも元、日本人?」
青年期に入った俺の目の前にはなんかスゲー正統派?ヒロインっぽい一人の女の子。
彼女の名前はマリー ゴールド。
「レオン様、貴方にお伝えしたい事がありますの」
と校舎裏ならぬ馬舎裏に呼び出しを食らった俺は、(ついに俺にも春がきたのか!?)とウキウキしながら向かった所だったのだが、あの様子を見てみると愛の告白的サムシングはないっぽい。
レオン、ちょっと悲しい。
「そうよ!東京が練馬区で立派なオタクを務めてた…ってそんなこと言いたい訳じゃないわよ!と言うかなんでレオン様がこんな軽薄者になっているのよ!?」
「そういう君はなかなかに無礼者だと思うけどな?まあ、俺は気にしないけど」
一応補足すると、実家の爵位は向こうが上だったりする。だけどこの世界では次期当主かそうでないかってのは結構大きいらしく、かつ俺自身も既に叙勲されているので侯爵家長女VS現役男爵なら此方が立場が上だったりする。多分ね。
「はぁ…分かってないかもしれないけどこの世界はね、「プリンセス&プリンス~貴女の理想の王子さま~」っていう乙女ゲーの世界で、そのなかでレオン様は攻略キャラだったのよ!」
「えっ!?ここって乙女ゲーの世界だったの!?」
「そうよ!貴方は知らなかったでしょうけどね!」
「うん!」
「がっでむ!」
キィーっとハンカチを噛みながら地団駄を踏むヒロイン?なゴールド嬢。
この子、なかなか面白いな。
しかし、特に面識があるわけじゃないのになんで転生者だと断定されたんだろうか?
性格とか行動がちょっとゲームと違ったのかな?
「因みに俺はどの辺がゲームと違うの?」
「逆に聞くけど貴方は自分のどこがゲームと一緒だと思ったのよ!?」
「いやぁだってそのゲーム、俺やったことないしなぁ…」
「ぐぬぬ……はぁ…確かに一理あるわね。いいわ、話してあげるわよ…」
キレ気味に返してくれる彼女に俺がそう返すと、一呼吸置いて元になったゲームの俺ことレオンについて懇切丁寧に語り始めてくれた。
「まず、レオン様の家庭環境ね。魔力のほとんど無いレオン様は家族からひどい扱いを受けていたんだけどある日、別の才能を軍から見いだされるの。」
「フムフム」
「剣の道を極め、魔力量に依存しない戦い方をストイックに追い求めるクールさは私の琴線に触れたまさに王子さまだったのよ!」
「大体一緒じゃね?」
「ど、こ、が、よ!?」
おおっとぉーレオン、彼女の逆鱗に触れてしまったぞぉ?
「貴方、回りに何て呼ばれてるか知ってる!?気が触れたオージーザス様よ!?」
「なんでさ!?」
「どう見てもこれが原因に決まってるでしょ!?」
そう言って彼女が指したのは馬舎に停まっている俺の馬。…まぁ馬と言うか…
「これ、どう見てもバイクじゃない!?」
「ちがう!タイヤが4つだからクアッド、もしくはATVだ!」
「知らないわよ!?と言うかそこは重要じゃないの!」
重要じゃないのか?他の人間が乗るときの熟練度と言う意味では重要な気がするんだが…
「なんで貴方がこんなもの持って、かつ動かせるのよ!?」
「俺が作ったから?」
「魔力はどうしたのよ!?これ、一応魔道具でしょ!?」
「いやぁ…どうやら俺は調べてみたら魔力が無いと言うより出力がちっちゃいって話らしくてさ、それなら風魔法?の最小術式を高速で繰り返せばできんじゃね?って思ったわけよ。レシプロエンジン。」
そう言いながら俺は少量の魔力を流しながら所謂、魔動エンジンという魔動具を空吹かしする。シリンダーのクランク機構がほぼ同じだからか前世のエンジンとほぼ同じような騒音が聞こえる
…まぁ、ガソリンを使ってる前の世界のエンジンとは若干構造は違うんだけど…そんなことは聞いてなそさうだよな…うん。
「気違い金パに訪ねてみたら異世界チートの音がした!?あんた、ほんと一体何なのよ!?」
ある日森のなか、熊さんにであった子リスのように涙目で震えながらゴールド嬢はライムを重ねた突っ込みをしてきた。
うん、この子の反応面白いな!
「とにかく、一応俺は魔力(放出量)に依存しない戦い方を追究してはいるぞ?それに剣だっておんなじようにほら」
「それ、チェーンソーじゃん!?それ、チェーンソーじゃん!?」
チェーンソーのなにがいけないんだろうか?この剣だって相手の魔剣と戦うために開発したというのに。
あ、とうとう突っ込みすぎて肩で息してたゴールド嬢が目に見えて落ち込み始めたぞ?
「はぁ…悪役令嬢に転生してしまって必死こいても死亡フラグ折れないからせめて一目でも前世の推しを見たかっただけなのに…」
「え!?君、悪役令嬢なの!?」
「そうよ!?…うわーん!死にたくないよー!!」
いやぁ、俺にはちょっと跳ねっ返りの強そうなお転婆娘にしか見えないんだけどなぁ…
と言うか泣かないで欲しいな!?
「ま、まぁさとりあえず一回深呼吸して俺にどんな死亡フラグあるのか教えてよ?もしかしたら俺、手伝えることあるかもしれないしさ?」
「…王子さまが関わっていたとしても?」
「わーお、まじかよ」
「…グスン」
「待って、タンマ、今のなし!レ、レオン気になっちゃったなぁー!まじかよ、気合入れて聞かないとな!そんな感じ!そんな感じだから!」
「…レオン様はそんなキャラじゃない…」
「おーけぃ、レオン様とやらの好きな台詞教えてくれ!そっから頑張って真似するから!」
「…んじゃぁ、「俺は君に母に無かった母性を求めていたのかもしれない…本当にすまなかった…いくらでも罵ってくれて構わない…いや、罵ってくれ!」っていって?」
「いや、マジ、レオンどんなキャラだったんだよ!?」
俺は軽く自分の元になったキャラに不安を覚えながら彼女の話を詳しく聞いてみた。
ふむふむなるほど…要約するとあれだな、「やっべーサディストの構ってちゃん」だな。
流石にそういうキャラにはなれないけど、一個ハードルの低いやつがあったので試すことにした。
「おい、マリー!」
「ふぇ?」
「お前、俺の女になれよ」
少々強引に距離を詰めて右手でアゴくいの姿勢を作った俺はこれで合ってるか?と内心不安になりながらも彼女の言うレオンっぽいレオンを演じてみた。
ど、どうじゃろか…?
「ふぇぇぇ」
「どういう反応!?」
「ゲームで何度も聞いた好きな台詞で嬉しいけど、複雑な心境だよぉぉ」
「複雑なのは俺の心境だけどな!?」
俺はもうアップアップなのか、感情の触れ幅がヤバイことになってる彼女を慰めるため一息ついて声をかける事に決めた。
死んだジーちゃんが言ってたけど、女の子には優しくしないといけないからな!
「…まぁ、なんだ。ゴールド嬢…もういいや、マリーちゃんさ、折角俺に声かけてくれたんだし、できる事から一緒にやっていこうよ?乙女ゲーの世界なら断罪イベント的なのがあるんでしょ?それぐらいならレオン、知ってるよ?言いづらいかもしれないけど、どんなイベントなのか教えてよ?」
「…実は、私とレオン様が会うスチルの後のイベントで王子が「やはりレオンと共謀していたか!?」って断罪し始めるの…でも、レオン様はそれに対して「俺がこんな奴と関わるわけ無いだろ!?」って憤るのよ…」
ふむふむ、それで横からならず者がやって来て黒幕扱いされて、王子とレオンの共同戦線と言う逆ハーフラグが立っているのを横目で見ながらならず者と纏めて殺されると…
…ああ、これ王子のマッチポンプだわ。
俺の知ってるあいつならそれぐらい余裕でするわ。こっちでちょっと裏取りしとけば簡単にボロ出るんじゃないかな?
…うわー…いやだなぁ…
俺、あいつ好きじゃないんだよなぁ…
俺が苦虫を潰したような顔をしてるとマリーちゃんは慌てながら自身に非は無いことを弁明してくる。
「わ、私は本当になにもやっていないのよ!?何故か何時も色々と私のせいになっちゃうだけで!王子様の許嫁として真面目に王妃教育だって受けてるし!そりゃぁ今でもレオン様の方が好みだったりするけど、あの人に断罪されるようなことなんかしていないわ!」
「まぁまぁ、大丈夫大丈夫。事情はわかったからさ、俺はマリーちゃんを信じることにするよ」
まぁ、最低限裏はとらせてもらうけど。
「本当に?」
「ホントホント、しかもこれなら多分なんとかなるだろうし、レオンくんにまかせなさーい」
「…こういうレオン様も悪くないかも…」
「そりゃどーも」
テキトーに見えるかもしれないけど、可愛い女の子のためだからね。
それに出来るって判断したら気負わず、とりあえずやっとけって言うのは武藤…ローズ家の家訓?見たいなもんだから!
と言うわけで早速連絡。
『あーてすてす。ふぃーちゃん聞こえるー?』
『れーくん?どしたー?』
『いやさ、アイツとうとうやらかすかもって話。』
『マジかーいつぐらいにやりそうなの?』
やべっ、聞くの忘れてたわと思いながらマリーちゃんに視線を移すと鳩が豆鉄砲喰らったような顔をしていた。
あれ?無線機って見せてなかったっけ?
「マリーちゃん、さっき言ってたやつって起こるとしたらいつぐらいになりそうなん?」
「え?あ、確か次の日っていうテロップがあったから…明日?」
なるほどこれが挿絵で入ってから次の日とかテロップが入るから、明日なのかぁ…明日!?
『ヤベェ、フィーちゃん!明日だって!?準備まじ、デスマ!ブラックRXですわ!』
『わーお、なかなか急だね?れーくん。RXとか多少、意味不明だけど概ね何時も通りってことはわかったよ』
『何時もすまんなフィーちゃん!こっちで準備あるから夜おって連絡するわ!』
『りょーかいー』
「…と言う訳だから、マリーちゃんはなんか合ったときのためにこいつ持って」
マリーちゃん、もと日本人だし使い方を簡略にした無線機を一つ説明せず渡すことにした。が
「え、なに?マヂぃみわかんなぃ…」
と手に取った物をみて呟かれてしまった。
あ、やっぱり日本で言うところの防犯ベルをティーンエイジャーに持たせるのはどうかなって俺も思ったんだけどさ、でもやっぱり異世界って危険が危ないじゃん?
そういった意味でも可愛いマリーちゃんには持ってもらいたいのよと俺は彼女に懇切丁寧に説明した。
「ま、まあ?私が言いたかったのはそう言うことじゃないんだけど?そこまで言うならもらっといたあげるわ!アリガト…」
可愛い。
「可愛い…」
やべっ…口が滑った。
「あんたいきなりなに口走ってるのよ!?」
「いやぁ…つい…」
「ついって…と、とにかく!何かあったらこれを思いっきり引けば良いのね!それではごきげんよう!」
完全に素だったマリーちゃんは最後になんとかゴールド嬢としての体裁を整えるとそそくさとこの場を後にした。
いやぁ、あんなの最高すぎだろ。と一人取り残された俺は…いや、一人じゃなかったな。
「ルイス、どうせお前のことだからこっそり聞いてたんだろうし、情報の裏取りもある程度済ませてるんだろ?」
「ニーちゃん!ルイスはよを忍ぶ仮の姿!今の僕は異世界最高の隠密、陰日向だよ!」
「自分で最高っていうなよ…」
まぁ恐らく事実だろうけど。
あの後、日向…ルイスはそれなりに魔法の適正があることがわかって色々魔法を覚え始めていた。
特に強化魔法の成長は著しく、オモウトは女性だった頃より明らかに良くなった身体能力にはまり、映画で見たアクションや忍者を真似したりしはじめた。
…そこに悪のりした親父がスパイの知識、俺の開発した無線機やらのガジェットを突っ込んで魔改造が始まったと言うわけだった。
…と言うか俺も手伝ってて思ったんだけどさ、この時代で後方支援込みで1000人規模の諜報部隊作るのはやり過ぎだったんじゃないかな?
テレビもネットもないのに国中の俺の知りたい出来事が24時間以内に耳にはいってくるってのはまさしくチートだと思う。
「まぁ、早速本題にはいるけどニーちゃん、今までの彼女はおかしな点が何点かあったんだけど白だよっ!」
「お、りょーかい…ん?おかしな点?」
「うん、おかしな点。まぁ、それもさっき解決したんだけどさ」
「…ああ、異世界転生」
「そう言うこと。彼女、突然マヨネーズの事業を始めたり味噌 醤油 米を買い漁り始めたりし始めたからね」
「わーお、テンプレート」
「なのにあんまりにも1目で異世界転生、転移やってるってわかるウチん家にコンタクトないものだから、盲点だったよぉ…」
「親父がどえらく色々しでかしてるからなぁ…」
「にいちゃんもね」
「そりゃすまんかったな?」
最近、貴族の間ではなんか起こったとき大体何時も家の親父が3割位なんかしでかしてるっていう話が広まっている。
まぁ、3割悪ければ株で言ったらほぼ筆頭株主よ。
残りの比率は知らないけど、とりあえず不名誉なことにお騒がせ貴族として名をはせてる家にモーションすら起こさなかったってのはそういった理由で驚きだった。
さて。
「ところで、あのクレイジーサイコ王子の話に移ろうと思うんだけど…」
「うげぇぇぇ…」
わーお、スッゲェ顔。
中性的な美しさ?を持ってる我が家の弟ちゃんが中濃的な味のあるぶちゃいくな表情を見せた。
まぁ、我が家の妹くんは王子のことウルトラ毛嫌いしてるからなぁ…
「…まぁ、最悪を想定して本人の動きは僕がフォローしとくよ…ならず者ーに対しては当たりはつけてあるから一パーティ、スリーマンセルで対応出来るかな?」
「流石、日向。んじゃーそれで頼むわ」
嫌々ながらも仕事はしてやんよといった感じに了承した陰日向?こと弟のルイスは「ではではこれにて失礼つかまつる!にんにん!」と分かりやすい忍者のポーズを取りながら純粋な身体能力のみでその場から消えた。
何だかんだいってやつはノリノリなんだよな、あいつ。
いい空気吸ってるわぁ…
「さてと」
俺も準備始めますかぁ…
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「マリー ゴールド!貴様が行った数々の悪事!いままで庇ってきたがまさかここに来て裏切るとはな!?」
なんか叫んでるやつがいるなぁ…
今、俺はフィーちゃんと一緒にマリーちゃんを断罪しようとしてるクレイジーサイコ王子ことミハエルくんを物陰から見ているところだ。
「んじゃぁ、手はず通りね」
「はいはい、何時もどーり初めは強く当たって後は流れでね」
「いつもすまないねぇ…」
「お互い様だぇぃ…」
まぁ、慣れない子芝居をしてはいるが、茂みの向こうの茶会の会場では絶賛、修羅場ってる感じなんですよねぇ…
あ、2,3ダースいる荒くれものの中から一人こっそり抜けた。
アイツがグルっぽいな。
恐らく離れたとこにいたお貴族様に報告しに行く感じだな。
フィーちゃんに目配せして…よし、いくか。
「ひとーつ、不埒な悪行三昧」
「だ、誰だ!?」
「余の顔を忘れたと言うのか?」ダーレモシラナイシラレチャイケーナイー♪
「そんな左右非対称の配色のイカれたマスクをした方は仮面舞踏会でも見たことないわ!」
「さぁ、お前の罪を数えようか?」
「情報量が多すぎる!?」
とりあえずやりたいことやりたい放題やった結果、ロボットアニメで言うところのパーフェクトなんちゃらみたいな我の強いごった煮感がでちゃったけど噛まずに台詞を言い切れて自分としては満足している。
荒くれものの皆さんはドカバキドコの効果音が物語の進行上、要らんとばかりに省略させてくれた。
イエーイ、よいこのみんなー見てるー?
日曜のあさだよー
…さて、改めて状況を整理しよう。
今、右手目の前にはクレイジーサイコのミハエル、マリーちゃん、それと追加で護衛っぽい貴族な男一人と女一人の四人。
それと左手に荒くれものの皆さんひいふの…2ダースほどが山積みにされてる状況だ。
マリーちゃんは案の定不思議な力(サイコな手回し)で荒くれものの皆さんの親玉扱いされて、怯えるヒロインっぽい子を背にした王子に断罪されていたみたいだ。
ってかヒロインっぽい子、マジ乙女ゲーのヒロインっぽい子だなぁ…
なんかこう…ニチ朝の主人公みたいな?まぁ、今の俺も日朝の主人公みたいな格好してんだけどさ…
とにかく王道のとにかく明るい女の子感ヤバイ。
とか思っていたら王子が静かに口を開いた。
「レオン…これはどういうことだ…?」
わーお、バレてるー
まぁでも、何故かバレてしまっているけどこの辺はお互い様だよね、俺も向こうの企み知っとるしなぁ…
やりたいことやったのでライダーの嗜みなヘルメットを外しながら王子の質問に答える。
「どうもこうもないっすよミハエルおーじ。流石にたかが婚約破棄のために裏から手を回しすぎっすよぉ」
「見に覚えのないことで断罪するのは勘弁してもらいたいのだが?」
うん。それはマリーちゃんが言いたいことだな。仕方がないのでキーワードだけ呟く。
「…裏取引、ゲイナー男爵、禁止薬物」
「!?」
「…フィーちゃん」
「はーい、呼んだー?」
「なっ!?フィリックス!?」
俺のマブダチ、フィーちゃん。本名はフィリックスって言ってイヤイヤ第2王子をしている。
ぶっちゃけ権力なんか興味ないらしく、第1王子のミハエルに王位を譲りたいらしいんだけど…これはなあ…
「はぁ…兄さん…いくらなんでもさ、これは手が込みすぎたし、回りくどいし、やりすぎだよ…」
フィーちゃんが画面の外で捕まえてた首謀者、内通者、実行者の頭がハッピーしてるセットをいい感じに一纏めに縛って地面に転がす。
ミハエルおーじは一瞬だけ気圧されたがすぐ持ち直して気丈にフィーちゃんと俺に噛みつく。わんわん。
「…ふん!しがらみの持たん者には分からないだろうな!この許されない恋心持つことの苦しみが!」
「…まあ、千歩譲ってそこな男爵令嬢さんと交際するなりなんなりは認めるよ。」
ここでそこな男爵令嬢はパッと明るい顔を見せた。はえー…しゅっごいヒロイック。
「ただ、ぶっちゃけ彼女って隠れ蓑…っていうかキープでしょ?」
凍りつくミハエルおーじとそこな男爵令嬢、
そういえばそこな男爵令嬢って名前なんってったかなあ…?まぁいいや。
「俺はその辺良くわからないが、王子が側室とか言わないでキープ作るってことはなんか後ろめたい事があるんでしょー?堂々と公表出来ない本命って大したこと無さそうだよね?」
「なんだと!?マリーやそこな男爵令嬢をバカにすることは許してもルイスきゅんをバカにすることは許さんさんぞ!?彼奴は俺に取って陰日向を照らす太陽みたいな人なんだ!」
「気持ちわるい!」
「ルイスきゅん!?」
と言うわけで王子の本当の狙いは俺の妹(♂)のルイス事、日向だった訳なんだなぁ…
俺もルイスから「にいちゃん、男になって好意を向けられて始めて気付いたよ、男色は許されないことだ…」って言われるまで知らなかったし、知りたくなかったよ…
正直、別に偉い人がそっちに走るのは聞いたことあるし、まぁどうでもいいっちゃいいんだけど王子のこれはぶっちゃけ拗らせすぎだと思うわ…
「ルイスきゅん!?何故だ!?俺は君のためにゲイナー男爵から性転換する薬を隣国から密輸させたと言うのに!?」
「僕は今の性別で満足しているので。それに個人の在り方を勝手に変えるのは良くないと思います。気持ち悪い。」
「ルイスきゅん!?そしたら俺が使えば良いのか!?」
「いや、お前は世継ぎを残せよ…」
つい、突っ込みをいれてしまったがこいつは果たしてこのまま王位継承権持ったままでいられるのだろうか?
微妙な空気が漂うなかようやく再起動したそこな男爵令嬢が口を開いた。
「と、言うことは私は本命ではなかったと言うことですか!?」
「すまないアルビナ、君の事も愛していたが僕の運命の人は君ではなかったんだ…」
「僕の運命の人も王子ではないですけどね」
「はうぅ…」
はうぅは止めてくれ王子、それは俺も気持ち悪いと思ったぞ。
兄貴のあれな姿を見たくないのかフィーちゃんは話を進めようとミハエル王子に質問を投げ掛けた。
「そう言えば兄さんはなんでゴールド伯爵令嬢と婚約破棄してまで彼女を選ぼうとしたの?」
「いや…なんと言うか…これは俺の直感なんだが…アルビナは男ならば許してくれそうな気がするんだよな…」
そこな男爵令嬢に視線が集まる。
彼女は気まずそうに顔を反らした。
良く見てみると視線が物凄い泳いでる。
あ、クロだな。
「い、良いじゃないですか!?お慕いしてる殿方が別の殿方を思ってるのを今聞いて、ちょっといいかもしれない…って思ってしまったって!」
おおう…カミングアウトぉ…
一度開けてしまったらもう止まりません!とばかりに彼女のきふじんトークは終わらなく、最早この場は誰も収集つけられない混沌とした場になってしまった。
…まあ、なんというか…なんだ、撤収しよう。そうしよう。
「まぁ、なんだ。ミハエルおーじ。俺はこう言うことはお互いの同意が大切だと思うぞ?うん」
「…まるで貴様は男同士の恋愛は否定しないみたいな言いぐさだな」
「あれ!?レオンさま×ミハエルさま!?リバがジャスティスかと思ってたけどこれもまた…キャー!!」
あの子、逞し過ぎないか?
「…一応言っとくと俺は女性が恋愛対象だけどな?まぁ、そういうヤツがいてもいいんじゃないか?っていう理解は持っているつもりだな」
「レオン…」
「一応言っとくと僕は王子が男に走るのやめた方がいいんじゃないか?って王子の存在を理解したくない気持ちでイッパイだよ」
「ルイスきゅーん…」
「私、なんでこんなやつの婚約者何だろう…」
マリーちゃんがすっげぇ遠い目をしながら呟いた。
今回は可愛い、というより可哀想にしか見えんわ…
「とにかく!お前にはマリーちゃんは勿体ない!彼女は俺が嫁に貰っていくからな!」
「ついでに僕はもう、この際だから王位継承権を正式に破棄させてもらうよ。面倒ごとに巻き込まれたくない」
俺は腕にマリーちゃんを抱き寄せながら、フィーちゃんは手に謎の小瓶をプランと持ちながらミハエル王子にそう言い捨てた。
あらかじめ呼んであった膝に矢を受けてないエリートな衛兵に残りの処理を頼んでいる間、ルイスはミハエル王子を一蹴りして立ち去り、ミハエル王子は苦悩と恍惚の合のこのような表情でうずくまっていた。
そこな男爵令嬢は
「ルイ×ミハの許されざる恋を鑑賞してるのも良いけど、慰めマックスの既成事実で正妃ワンちゃんもジャスティスねっ」
とウルトラだらしない顔でとんでもないことを呟くと、シリコン製の特殊メイク並に厚い面の皮をかぶり直してヒロインらしく王子に寄り添っていった。
あの女、マジですげぇな。
「ねぇ」
「ん?マリーちゃんどうした?」
「私って幸せになっていいのかな?」
王都へもどる道のり、この世界にとってむしろファンタジーなハンドルタイプのオフロードバギー、UTVの助手席でマリーちゃんが俺に聞いてきた。そんなのもちろん…
「いいに決まってんじゃん!俺はマリーちゃんと一緒になれたらハッピーだし、王子とそこな男爵令嬢は破れ鍋に綴蓋。フィーちゃんとルイスも好き勝手やるみたいだし…ほら、マリーちゃんが気後れする理由なんてどこにもないぜ!」
「うぅぅ…思ってた未来と違うぅ…でも…」
「でも?」
「…でも、こっちの方が幸せ…ありがとね?レオン?」
…よし、
「そっちの家に送るより先に俺んちだな!結婚しよう!実家結婚の報告をしよう!」
「え、えええぇぇぇ!?」
(…そして、この子も貴方の人外魔境の餌食になってしまう訳ですね…)
「えぇ!?神託!?神託ナンデ!?」
やべぇ、女神さままがナチュラルに神託で濡れ衣着せてきた。
(いえ、あながち間違いじゃないと思いますよ?)
…まあ、とにかく。
この後も色々あったんだが…ひとまず無事解決?一件落着?
とにかく俺はマリーちゃんという可愛い嫁さんゲットできたところで一貫落着。だと思う。
こうして乙女ゲーと全く知らなかったおれのドタバタ劇は幕を閉じたのだった。
(聞こえますか…私は今、あなたたちの心に…直接話しかけています…)
(私の言う事を良く聞いてください…)
(この作品を読みきった貴方は少しでもこの作品をおもしろいと思ったに違いありません…)
(押すのです…ブックマークのボタンを…そして心むくままに感想を書くのです…)
女神を使った露骨なポイントの要求!!!!
まぁ、面白いと思ってもらえていたら幸いです。
時間が作れれば続きなりを書こうかなぁ…とか考えてます。
読んでいただいてありがとうございました。