第九話
重苦しい雰囲気も次第に溶け始め僕らは人族の住む国、キューティクルへと到着した。まさに異世界を象徴とするような街並みはイビルプラントとはまた別の意味でとても興奮する。
「私たちは王宮へと向かいます、マコトくんも一度招待したいのだけれど今は色々と仕事が溜まってて、また時間のある時でいいかしら?」
「はい!色々とお世話になりました!」
「マコト様、これはほんのお礼です、受け取ってください。」
チハヤから渡された指輪をまじまじと見る
「チハヤ様!いけません・・!!」
「いいのよ、ツカサ。マコト様は私の命の恩人よ?今の手持ちだとこの指輪がベストですわ。」
「マコトくん、その指輪は王家の者のみに渡される指輪です。それを見せれば王宮にくる事も可能です、どうか大切になさってくださいね。」
彼女たちを乗せた馬車が見えなくなった頃、先ほどもらった指輪を左の薬指にはめた。べ、別に結婚指輪みたいだ〜と喜んでいるわけではない!! だが、めちゃめちゃ嬉しい。その後キューティクルに街に降り立ったマコトは久々に今の自分のステータスを確認する。
マコト
種族:?
年齢:16歳
Level:1
HP:5
MP:10
攻撃力:10
防御力:10
素早さ:10
固有能力
?
称号
残念な転生者
英雄気質
神のおもちゃ候補
相変わらずの弱さ、まさにモブキャラ以下。HPも先ほどのゴブリンとの戦闘で減っている。しかしマコトはとあることに気づく。
「ん?なんだこの称号。英雄気質と神のおもちゃ候補・・?」
英雄気質はまだいいとして、神のおもちゃ候補。これは明らかに僕のことをバカにしているのがわかる。英雄気質なんか今まで感じたこともないのになぜ追加されたのだろうか、ステータスも雑魚だし・・。神のおもちゃに至っては全く意味がわからないし・・。
神のおもちゃ。この称号がいずれ神殺しへと至る最初の称号だということは今のマコトには全く気づく余地もなかった。
その後、気分転換するためにしばらく町並みを楽しんでいた。イビルプラントとは違い、人や食べ物などもといた世界にとても近いもので懐かしさを感じる。しかし残念ながら一文無しのため何もすることができない。いつの間にか街の裏通りまで来ていた。ブラブラと歩いていると目の前に信じられない光景を目にする。二人の女性がカゴに詰められ男たちに運ばれている。その姿はとてもみすぼらしく、ボロボロな服に痛々しい傷跡。一人は僕と同じくらいの歳の女の子で、もう一人、彼女にぎゅっとしがみついている女の子に至っては明らかに少女だ。
「敵は4人、どうするか・・。」
作戦を練るが一向に突破口が見当たらない、ゴブリンの時と違い1対4、その上相手は人間で見た目強そうだ。二人の男がカゴを担いでその前と後ろに一人ずつ男が並んでいる。この雰囲気にマコトはある展開が結びつく。
「奴隷売買・・。」
爺ちゃんから聞いた話のなかで唯一、楽しくない話。それが奴隷の話だった。マコトは右手を強く握りしめた。
マコトの二回目の戦闘が幕をあける。
プロフィール更新しました!是非見てくださいね!
次話にはニューヒロインが出て来ます!お楽しみに〜!
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