第八話
ユイたちに連れられた先にあった馬車は真っ白な綺麗な毛並みの馬3頭が引く馬車でどこぞのお嬢様が乗るような馬車だった。馬車に乗り込むと中は6人くらい乗っても十分広そうな作りで、高級感漂っていた。
「あのー、ユイさんひとつ質問いいですか?」
「ん?何かしら?妹に対するセクハラ行為の謝罪なら打ち首で勘弁してあげますわよ?」
「う、打ち首って・・。」
「もーお姉様ったら。彼は私の命の恩人ですのよ?それに膝枕は私からしましたので・・」
顔を赤らめているその表情に僕の心臓はありえない速さで鼓動を始める。
「そこまでチハヤが言うなら今回は許します、確かに命を救ってもらいましたし。それでマコトくん質問とは・・?」
「あのぉ・・ユイさんとチハヤさんが姉妹なのはわかりましたけど、この馬車といいユイさんたちは一体何者何ですか・・?」
「まだちゃんとした自己紹介はまだでしたね。私はキューティクルの第一王女のユイ、そして彼女は第二王女のチハヤですわ。そして彼は私の直属の騎士団の団長のツカサよ。ちなみに年齢は私は15でチハヤは13です。」
開いた口が塞がらなかった、キューティクルといえばアスモデウスに聞いた話だと、いわゆる人間の住む国、そして王女様。しかも年齢に寄らず僕より年下のにも関わらずとてもしっかりしている。ツカサさんに至っては王家直属の騎士団の団長・・。
「え、あ、こ、この度は大変失礼しました!ユイ様、チハヤ様!ツカサ様!」
「マコト様、やめてください。チハヤとお呼びください。命の恩人様にそのような呼ばれ方は少々心苦しいですわ。」
「そうね、私もユイでいいですのよ。」
「マコト殿、私のことはツカサと呼び捨てで構いません。」
「マコト様、よければあなた様のお話を聞かせてはいただけませんか?」
「は、はい!名前はご存知の通りマコトです。年齢は16で先日異世界から転生してまいりました!しかし残念ながらステータスはモブキャラ同然の弱さ、スキルも魔法も打てません。今日はなぜだかわかりませんが魔王城に呼ばれやって来ました。ユイさんとはそこでお世話になりました。その帰りに森の中を歩いているところ、チハヤさんの悲鳴を聞き、ゴブリンに襲われているところをお助けに行った感じです。木にもたれかかっていたのは戦闘の影響で疲れていたからです!け、決して膝枕目的ではありませんからね!?」
「え・・?マコト様は魔法使いではないんですか・・??」
「はい、ごめんなさい。とにかくあなたに安心して頂きたく、嘘をついてしまいました。女の子を守るのは男の役目ですからね!それがどんな状況でも変わりませんよ。ね?ツカサさん!」
「そうですね、素晴らしい心構えです。私からも一言、チハヤ様の命をお助け頂き改めて感謝します。」
「えへへ、体が勝手に動いていただけですけどね!一国の王女様を救えたならあの場で死んでても後悔はなかったです!」
「ばかっ!」
チハヤのかぼそい腕で胸元を強く叩かれる。
「あんなに怖がってのにも関わらず、そんな嘘をつくなんて酷すぎます!安心した私は本当に愚か者じゃないですか!もし・・・もしマコト様の身に何かあったらどうするんですか・・!」
「私からも一言いいかしら。妹の命を助けてくれたことには本当に感謝しています。しかしそれは同時にあなたが犠牲になっていいっていう意味ではありません。あなたはツカサとは違い強くはありません、ですから・・もう二度とこんなことはしないでください、たとえ相手が一国の長であってもです!」
僕は何を言われているかわからなかった。なぜ怒られているのか、なぜ涙を流しているのか。
当時の僕には全くわからなかった。
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