第七話
目の前に立ちはだかるのは一匹のゴブリン、マコトはイビルプラントの森奥で初戦闘を繰り広げようとしていた。
「お嬢さん、僕の合図で東に向かって思いっきり全力ダッシュで逃げてください?僕の一撃必殺魔法が君に当たってしまうのは避けたい。」
「魔法使いさんだったのですか!わかりました!」
無論、僕が魔法使いなわけがない。しかし昔爺ちゃんに人を助けるときはまずはその人を安心させてあげることが大事と教わった。実際僕が魔法使いみたいな発言のおかげで少女は安心してくれているように見える。
「コロス、コロスー!」
「今だ!走れ!!」
「はいっ!」
少女は僕から見て東の方向へと駆け出す。僕はゴブリンの目線が一瞬彼女の方向へと向いたのを見逃さなかった。僕は西側から回り込み、少女を見ているゴブリンの頭にカゴをかぶせる。
「ナンダ!?マエガ、ミエナイ!!」
「おらぁ!!」
カゴをかぶせたゴブリンの腕を掴み遠心力を使ってくるくると回す。経験したことあるだろうか、二人が手を取合い同じ方向に回ると回転の速度は遠心力によって加速しどちらかが手を話すと相手はかなりの距離吹っ飛ぶということ。そこに僕はカゴをかぶせることで相手に状況を把握させない戦法に出た。
「お前がしねーー!!」
僕は手を放すと案の定ゴブリンは5mほど吹っ飛んだ。しかもその上、たまたま木に激突してくれた。小さな体だがかなり重量があったので大きな遠心力をつけるため、結構な時間回ったので目がかなり回っている、僕はフラフラとしながら少女が走って言った方向へと走り出す。
しばらく追いかけているが少女の姿は一向に見当たらず、僕の体力も限界に近づいていた。あれからゴブリンは追ってくる様子はなく、僕は近くの木に座り込み休憩をとることにした。
「ちきしょー、足の震えがまだ止まらないぜ・・。少女との遭遇イベントも失敗だったし、ついてないなぁ・・」
しばらく目を瞑り休んでいると地響きを感じる。
「これは完全に詰んだ、もう無理だよ・・」
「・・・・魔法使い様〜!」
死ぬ間際に先ほどの少女の声が聞こえる。きっとこれは幻聴だが、あの少女を助けたことに全くの後悔はない。初めて人の役に立つことができた、それだけで僕は満足だった。
「ま、魔法使い様!大丈夫ですか!しっかりしてください!!」
幻聴の割にとてもしっかり聞こえる。しかもなんか頭の下が何か柔らかい感触がある。枕よりも柔らかく、最高の感触だ。うむ、もうしばらく味わうとしよう。
「マコトくん?いつまで死んだふりしてるのですか?」
目を開けると目の前には先ほどの少女が顔を赤らめながら僕のことを膝枕してくれている、その奥にはユイさんが怖い笑顔を振りまいている。ツカサさんとほか数名の部下があたりを警戒している姿も見える。
「ま、また会いましたねユイさん。」
「いつまで妹に膝枕されてるんですか、早くどきなさい?」
怖い、怖すぎる。僕は知ってるこんな人のことを・・ヤンデレ・・っていうんだよね。
僕は目にも留まらぬ速さで正座になる。
「ユイ姫、ここは危険です。話は馬車の中でお願いします。」
「わかったわツカサ、マコトくん。こちらについて来てくださいね?」
僕はその怖すぎる笑顔にただついて行くしかなかったのであった。
主人公の過去についてはこれから先ゆっくり触れて行く予定です!引き続き感想や評価お待ちしてます!