第六話
魔王城の一件の後、アドラメルクとユイは休戦協定の話があるとやらでその場を後にした。色々あったがひとまず一件落着ということになった。僕は魔王城を後にするため先ほどのメイドさんに連れらて門の前まできている。
「先ほどは大変申し訳ありませんでした。お気をつけてお帰りなさいませ。」
あきらかにアドラメレクに会う前のことを気にしている。正直まだ怖いが僕は美人メイドに言わなくてはいけない言葉を振り絞る。
「そ、そんなしょげた顔してると、、び、び、美人が台無しだ、、も、もう気にしなくていい・・。」
振り絞った言葉にメイドさんは驚きの顔をする。
「わ、私!クリスタと申します。マコト様、次もしお目にかかる時がありましたら何卒よろしくお願いします!」
クリスタの笑った顔はとても美しくそのまま魔王城へと小走りで走っていった。当然ながら彼女の姿を見て胸がドキドキした。
そうして僕は一人、森の中にいる。
「うん、おかしいだろー!! なんだよ帰りの馬車はありませんとか!!対応がモブキャラ以下すぎて泣けてくる。さっきまでの神イベントはもう終わりかよ!!」
森の中で叫ぶもどうせ返ってくるのは小鳥のさえずりなんだろうなぁと思っていると
「キャァーー!!!」
刹那、森の奥から少女らしき人の叫び声が聞こえる。頭で考える前にすでに体は反応していた、声のある方向へと全力ダッシュ、しばらくするとゴブリンらしき魔物に襲われている一人の少女を発見する。
「こっちに来ないで!!」
「オマエ、オレノコドモ、ハラマセル。ウゴクナ。」
俺はすかさずそのゴブリンに後ろから飛び蹴りをし、とっさに彼女の前に立ち塞がる。
「お嬢さん、怪我はないかい?」
人生で一度は言って見たかった最高の決め台詞を放つ。
「はい、でもお兄さんも大丈夫ですか・・?」
少女は俺の足の震えを見て心配してきた。そうだとも怖いさ!まともなスキルもなく、ステータスも低い、できることなんてほとんどないのに体は勝手に反応してしまっているのだ。
「あぁ、大丈夫って言ったら嘘になるかな・・。」
「な、ならなんで・・!」
「男なら、誰かのために強くならなきゃいけないんだ。今はその誰かは君だ。」
「オマエ、ゼッタイ二コロス。オレノエモノヲヨコドリスルナ!」
あきらかに怒り狂っているゴブリンは棍棒を手にもち僕たちに襲いかかってくる。
「シネー!」
突進してくるゴブリンに対し僕は真っ向から突っ込む。
「今僕にできることは彼女を守ることだー!」
振り下ろされた棍棒をギリギリで避けゴブリンの顔面を殴る。その時、ゴブリンの足に引っかかり僕も顔面から地面に突っ込む。
「グギャァー!」
「いてて・・転ぶとかだっさいな。」
気味の悪い叫び声をあげゴブリンはひっくりかえる。意外と素手でも渡りあっている自分に驚くが足の痙攣は治らない。
「オマエ、ユルサナイ!」
「あの・・大丈夫ですか・・?」
彼女が心配して声をかけてくれる。そこで僕は彼女の近くに転がっているカゴを見つける。
「もちろんさ。ところでお嬢さんの持ってるカゴちょっとかりてもいいかな?」
僕はとっさに彼女のものであろう草の入ったカゴに目をつける。
「はい!どうぞ!!」
「ありがとう!」
「でも、一体カゴで何を?」
「まあ見てなってお嬢さん、さぁゴブリンよ最終ラウンド始めようか!」
初戦闘シーンです。まだスキルは使えません!毎日投稿頑張っていきます!