港町の少年奴隷(2)
少年奴隷アドニスは、「夜のベッド」は命ぜられないものの、一日中、主人であるヘレンに付き添うことになった。
部屋の掃除や整理は当然のこと、食事や排泄の世話、入浴時の洗体、入浴後のマッサージ、着替えの手伝いを行う。
また、主人ヘレンが街に出かけるときは、必ず鎖をつけられ、同行した。
ただ、煩雑でありながらも、そういう「仕事」は、アドニスは辛くはなかった。
アドニスが辛かったことは、毎朝、主人ヘレンが、アドニスの衣服を全て脱がし、隅から隅まで、点検することだった。
アドニスも、最初は、ヘレンの行為の意味がさっぱりわからなかった。
それを教えてくれたのは、二つ上の少女奴隷で食事係のニケだった。
「ヘレン様はね、アドニスの『身体の成長』と、・・・匂いをかいでいるの」
「匂い・・・」
アドニスは、それもわからなかった。
考え込むアドニスに、ニケは顔を赤くした。
それでも、教えてくれた。
「だから・・・女の匂いだよ・・・」
「このお屋敷は、女だらけ、可愛いアドニスを狙う女も多い」
そこで、ニケの顔が下に向いた。
「ただ・・・ヘレン様にばれると・・・」
「女もアドニスも、命がけだよ」
ニケの言葉を聞いて、アドニスは震えあがった。
そして、「女」そのものを、怖れるようになってしまったのである。