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聖なる夜の誓い

作者: 弥生ちとせ

クリスマス

それはイエスキリストの誕生日を祝うもの。

よってキリスト教徒のみの行事。


なのに!今やただのリア充のイベントじゃないか!

なにがプレゼントだ!仏教徒、イスラム教徒!どうした!?キリスト教の行事だぞ!

確かにイエスキリストにプレゼントを渡したことからプレゼントの風習はできた。

それはいいとする。

なんだ!仏教徒!釈迦の誕生日を覚えてるのか!

なんだ!イスラム教徒!ムハンマドの誕生日を覚えてるのか!


こうやって行事はあるが、仏教徒でさえ釈迦の誕生日を知らない、イスラム教徒でさえムハンマドの誕生日を知らないものが多い。


なのに何故!イエスキリストの誕生日は知っているんだ…



このようなことを思いながら毎年仏教徒としてクリスマスを過ごす川内拓真17歳

もちろん彼女いない歴=年齢

アンチリア充をモットーに生きる可哀想な中二病男子※高校二年生


「たくま、そんな事言ってないで早く学校行くよ?いつまでもクリスマスに嫌味言わないの!ほら!」

拓真の手を引くのは拓真の幼馴染みの川内華凛17歳。文武両道、容姿端麗、と才色兼備な完璧な女の子。もちろん学校の一番人気で狙わない男は…拓真くらいだ。


「クックック…華凛、そろそろお前も覚醒しないのか…」

「覚醒って…拓真も覚醒してないけどね…ほら!早く学校行くよ!遅刻する!」

「ちょっ…ま、まてっ!俺は完全に闇の能力に覚醒している!」

華凛に手を引っ張られ、バランスを崩すもすぐに立て直す拓真

「ったく…いつも拓真はそうなんだから…」

華凛は微かに微笑み小さな声で言った。


学校にて

「なぜ…なぜこの最強の俺が冬課外を受けなければならない…」

「この学校の生徒だからよ」

「うげっ!お前は!敵の行動をすべて見破るという、千里眼の高菜!」

高菜とはクラス委員の高波小夜里(たかなみさやり)のあだ名。※髪が高菜みたいにヘロヘロしてるから


「なにが高菜よ!はよ席つけや!クソ中二!」

「ご、ごめんね…高波さん…」

「華凛も少しは厳しくしてよね!」

「結構厳しい気はするんだけどな…」


こうして理不尽な冬課外が始まった。


もちろん学校での拓真の席の隣は華凛。と言っても自由に座っていいのである。

拓真はバカだから華凛が横にいることで解説をできる、という理由で先生からお願いを受けてもいる。


やはりそれを恨む奴は山ほどいて、拓真の靴箱はいつも汚い。

しかもそれを掃除するのは華凛。

それがまた恨みを大きくする。


一限目が終わると拓真は人の山に押し飛ばされて教室の外に強制退却させられた。

横にいたはずの華凛は教室の中で学校の男という男達から山のようなプレゼントを貰っていた。


そうだ、嫌な理由はこれ。

毎年こんな数のプレゼントを手で持って帰らなければいけないことがとてつもない苦痛。

そしてほとんどがゴミになる。

そんなものをなんで渡すのだろうか?

意味が分からない。


結局一日が終わり、プレゼントを拓真と華凛で分担して、とんでもない量のプレゼントを持って帰る。

「ごめんね、拓真。毎年…」

「いや、俺にかかればこんなもの余裕だ!」

「ふふっ…やっぱり拓真は拓真だね」

「ど、とういうことだ?」

「いや?なんでもないよ」

やけに楽しそうな華凛

拓真は何一つとして華凛の気持ちを知らない


華凛が…


家に帰って

「ただいまー、早くプレゼントの仕分けしなきゃ!」

「はいはい、今年もまたたくさんもらってきたねー」

「華凛は貰いすぎだ、みんな少しはこの俺に魔導書の一冊くらいくれないのか?」

「魔導書なんてないよ…」

両方の家族総出で仕分けをしていく。

するとその中から中身のわからない茶封筒があった。

それを開けると、中から手紙とお守りが二つ、入っていた。

その手紙を華凛が開いて見る。するとそこには、

「華凛さんへ

このお守りは、あの人と一緒に持っていてください。応援しています!」


とだけ書いてあった。

「華凛、それはなんだ?」

「拓真には多分分からないと思うよ!」

「なに!?俺は全知全能の神だぞ!?」

「だからそんな神さまはいないって…」


その様子を華凛の母と拓真の母はにっこり顔を見合わせてなにか企んでいるようだった。


仕分けが終わり、両家合同のパーティーが始まった。

「俺は仏教徒だ!キリスト教のイベントなんぞ知ったことではない!」

意地を張っていつまでもパーティーに参加しようとしない拓真。

「拓真、一緒に食べようよ…こんなのはいつもでしょ?」

「今日というクリスマスが嫌いなだけだ。」

「じゃあご飯は一緒に食べようよ…」

「…仕方ない、一緒に食べるとするか…」


またまたそのやり取りを楽しそうに両家の両親が見ていた。



パーティーが終わって…

「華凛、お母さんが皿洗っとくから…」

「そうよ、華凛ちゃん。今日くらいお母さん達に仕事くれたっていいのよ?」

「…じゃあお願いします…恐縮です…」

「華凛、チャンスは今よ。」

「今日しかないんだから!明日は聖夜だからね!」

お母さん達はいらぬお節介をかいた。

「あっ……ふふっ、お母さん方ありがとうございます、」

華凛も様子を察しその場を離れた。



その頃拓真は満月に向かって

「光に満たされし月よ…この我にその全ての力を、世界の引導を渡したまえ!」

いつもの通り遠吠えをかいていた。


夜の9時

華凛は拓真を華凛の部屋に呼んでいた。


「華凛どうした?顔が赤いぞ?」

「いや…あの、その、ね?」

「どうした、覚醒でもしたのか?」

「ち、違うの!覚醒じゃなくてね!」

「じゃあなんだ…」

華凛の思いは拓真には全然伝わらない


「拓真…あの…ね、」

「なんだ?」

「あ…の…す、す…」

「酢?」

「す?じゃなくて!…あの…す、す…」

いざと言う時に言葉が出ない。

心臓が締め付けられる感覚。

断られるのが怖い、もし断られたらどうしようという思いが頭の中を支配する。

「ど、どうした!?華凛…なんで泣いてるんだ…」

「えっ…」

怖くて声が出ない、怖くて足が震える。

そんな思いがいつの間にか涙になって出てきたのだろう。

もう戻れない、ここまで来たら言うしかない。

流した涙はマイナス思考さえも流してくれた気がした。

言うのは今だ。

そう決断して華凛は言った

「拓真、ずっと前から好きでした!これからも私を守ってくれませんか?」



昔から聖なる夜にはこういう言い伝えがある

『クリスマスに結ばれた者はどんな宗教でもイエスキリストの加護を受け、一生結ばれる』


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