第2話『アイドルになるお姫様』
第2話
「ここがアナザースペースか、あまり変わらないな・・・」
到着後現地に降り立ったリーア
「しかし、民の服装は全く違います」
ユニバースは自分たちと違う服装に文化の差を感じていた
「ここをスタートに選んだのはこういう意図があったんですね、艦長」
違和感を感じているのは副艦長のリーンもだった
「でも、あそこに似た装備の方々もいらっしゃますよ」
少し離れた場所に異色の集団を発見するテスロー
「この世界ではコスプレといって異文化の衣服を着て楽しむ習慣があるらしい」
にわかな知識を披露するイエロー
「そういうことかイエロー、お前馬鹿ではないようだな。・・・安心した」
リーアはこの地でここを最初に訪れる場所に選んだ意図をリーン同様に察したようで
「リーア様、どういうことですか??」
まだ、把握していないユニバースにこう言った
「異文化というのはリーア達も同じだ、他国で目立つのは自殺行為というもの
いずれは制圧されるので目立つことになるだろうが、今はまだその時ではない
そのようなことにならないように、木を隠すには森の中というじゃないか」
わかりやすくユニバースに伝えたリーアだった
「ああ、コスプレという風習に参加していると思わせるんですね」
とりあえず、理解したようで
「それにしても、軽装ですね・・・襲われたらどうするんだろうか??」
更に他の人の服にも興味を示していた
「聖域展開が基本じゃないのか、アナザースペースだからな」
ユニバースに言われて、コスプレ以外の人がやけに軽装なことにリーアも少し疑問ではあったが場所が場所だけに強者の集まりであると考える
「それは考えにくいです、カウンターで警告する数値は検知されません」
いつの間にか眼鏡をしているリーン
ソウルカウンターという様々な測定や通信などができるデバイスで
戦いのときにサポートもしてくれる眼鏡型の装置
「ですわね、少なくともこの周囲にはいませんね」
同じく眼鏡型のソウルカウンターをつけているテスロー
「これがこの世界の一般的な服装だということだろう」
イエローがさらりと答える
目立たないようにとのことだったが
コスプレをしている集団は注目の的になる
「あの~、すいませんオリジナルのコスですか??」
「おお、何か凄い可愛い娘がいる~」
「写メいいですか?」
「メガネ萌え~」
人だかりに囲まれていた
「おいイエロー、思い切り目立ってるぞ・・・どうするんだ!!」
あくまで可愛い声でリーアはイエローに詰め寄る
「ふふふ、リーア様の魅力に集まってしまったんですよ」
適当にごまかそうとしているイエロー
「ねー君、かわいいね~彼氏とかいるの??」
「わーすごい胸・・・本物なの??」
「すいません、目線下さい~」
みんなテスローに注目している
「え、あ・・・わたくしですか、彼氏はおりませんが」
「胸は、本物なんですが・・・確かめてみますか?」
「目線?そちらにお向きすればよろしいですか・・・」
と丁寧に対応しているテスローだった
胸を強調するようなクルーの制服が特に印象をつけたのだろう
リーンは胸は小さい方で一部の方には物凄く人気の出そうな感じではある
そしてリーアはテスローには負けるが胸は大きい方である
比べる相手が悪いだけで
まあ、とりあえずテスローがこの場の人に高い人気だったということだ
「イエロー!!このテスローが人気みたいですけど・・・」
リーアは更にイエローに詰め寄る
「そうかテスローの方が人気か、そんな時もあるさ・・・」
詰め寄られ間違った見解を言ってもなお
「リーアの魅力にみんな気づいていないだけだろう」
と、まだ言っている
「まあいい、3人組ユニットでデビューするんでしょ・・・好都合よ!!」
話は既に進行していた
リーアはこの世界でアイドルとして頂点を目指すことになる
アナザースペースの最大の特徴は【ゲーム】
様々な世界が構築され
単純に強さを求める場合も
技術や芸術を試されたり
その世界で最高のパフォーマンスを見せて
覇者となることが目的だから
現在進行中はアイドルで頂点を目指す
世界中で最も指示される大人気アイドルが覇者とされる
外部干渉を一切できない閉鎖空間なのだが
Lの技術によりその中身を見ることが可能で
しかも、正式な入口ではない方法で入ることができる
あまりにも未知数な次元に対してLが介入を開始したために
このような突発的なエラーのようなことが発生してしまっている
はっきり言って、出題範囲を理解した上でテストを受けることができる
というギミックなのだが
それなりに無謀な賭けでもある
内容がわかりそれに対抗出来るだけの力があったとしても
覇者になれるとは限らない
それ以上の強者が存在している可能性もあるから
「DCPという女性3名によるユニットをデビューさせると宣伝に来た!!」
パッと見プロデューサーにも思えるイエローさん
ユニバースはマネージャーだと考えれば
リーア、リーン、テスローがそのユニットである
「おお、そういうことか~頑張って下さい」
「デビューイベント参加できたら行きます~」
「ファン第一号になる~」
などの声援を受けて、ゲリラ発表会がにわかに行われることになった
「艦長・・・私とテスローも参加するんですか??」
「ええ~リーアさんだけではなかったんですか~!!」
リーンとテスローは慌てていたが
「この3人でアイドルはじめます~みんな!!よろしくね~☆彡」
と一人やる気のリーア
「後日、デビュー詳細を公式サイトで公表予定です」
ユニバースはカンペを読みながら、周囲の人にPR用のうちわを配布していた
そんなアピールの効果もあって注目度は高く
ネット内では新生のユニットの話題が多く取り上げられていた
「イエロー見くびっていたわ、ここまで用意周到だったとは・・・」
驚き以外なかったリーア
「艦長・・・何で事前に報告していただけなかったんですか?」
リーンは疑心暗鬼になっていたが
「リーンさん、こうなったからには最後まで頑張りましょう!!」
この手のことにノリやすいのかテスローは逆にリーンを励ましている始末
「私は年齢的に無理だったのかな~」
残念そうにウェリアは作業中怪我をしてしまったジェノに話していたが
「それは人妻だからやろ」
と照れくさそうにジェノが言った
「ああ~、そうか私・・・奥さんだったよね」
天然発揮のウェリアはジェノの妻である
さすがに人妻は使えないとイエローは思ったんだろう
ジェノにも
「お前の奥さんは使わない」
と言っていた
「姫さん、とりあえず土台は築いたから・・・あとは自分で何とかするんだな」
バーみたいなところで
ニヒルに決めているイエロー
「あなた、無駄にかっこつけすぎ・・・キモいわよ」
リーアはそんなイエローを罵倒する
「君にはまだ早すぎるのかもしれない・・・」
あくまでニヒルに決めているイエロー
「そんなの一生わからなくてもいいわよ、じゃあ寝る」
寝室に戻るリーアだった
リーアが寝室に入るとウェリアがいた
「一緒に寝ましょ?」
「は、リーアと寝たいの?」
一瞬迷ったが、別に問題はないと思い
ウェリアと一緒に寝ることにした
「まあいいわ、好きにしなさい」
「わ~い、おやすみなさい♪」
そして、翌朝
「・・・何か寒いわね」
妙に寒いので目が覚めてしまったリーア
「うにゃ~はむはむ」
何か布のようなものを加えているウェリア
どうも見覚えのある感じがした
「この違和感・・・う~んリーアは下着をつけていない??」
裸で寝る習慣はなかった、それに寝る前に脱いだ覚えもない
その時に気がついた
「あんた、リーアのパンティ咥えてんじゃないわよ!!!」
ウェリアの口にあったのはリーアのパンティだった
夜中に脱がせてしまったようだ
「うむうむ、は! あ・・・ごめんなさい、またやってしまった」
寝起きははっきりしているようで
急に起き上がり謝罪の土下座
ウェリアがパンティを返そうとしているが
「そのまま返す気なの!! 恥ずかしすぎるわよ、新しいの履くから・・・」
今までに経験したことのない出来事に
恥ずかしがることしかできなかった
「・・・寝ぼけて女性を襲う癖があるの、もう治ったと思ったんだけどな~」
恐ろしいことを平然と語りだすウェリア
「リーアを襲うために一緒に寝たわけね・・・」
このあともっと恐ろしいことに出くわす
「私が危害を加えていないかチェックしますので、私が」
医者であるウェリア
「証拠隠滅でもする気、油断も隙もできないわね!!」
まあ、当然の対応だろうリーアは少し震えていた
「男性に普通に襲われた方がましなんじゃないのかな」
と心にもないことを言ってしまうくらい動揺している
「わ~ん、リーアちゃんと仲良くなりたかっただけなのに~><」
言うなり大声で泣き出してしまうウェリアに
「泣きたいのはリーアの方だ・・・」
半べそを見せないように手で隠している
何だかよくわかない女子二人で泣いている寝室
腕は確かなウェリアに一応診察をさせて
その間震えは止まらなかったが
異常がなかったとデータで証明してくれたので
ひとまず安心をするリーアだった
「もう、ウェリアとは寝ない・・・というか寝れない」
思い出したくもない朝の出来事を払拭できないかと
戦艦内を歩いていたリーアを呼び止める声がした
「リーアさん、ちょっといいですか~??」
声の主はテスローだった
「ん?」
姿を見たが、名前が出てこなかった
というかリーアは知らなかった
いや、忘れてしまった
「・・・テスローです、名前覚えてもらえてないんですね」
いつもニコニコしているテスローだが、少し悲しげな表情を見せた
「何だ、リーアは悪くない・・・ちゃんとした紹介をまだしていないだろう」
確かにちゃんと紹介はされていないが
名前で呼んだりしているので、テスローはリーアが認識してくれていると思っていた
「胸の大きいテスローと覚えておけば忘れないだろう」
主張しているのかと思うくらいの大きさ
リーアは小さい方ではないが、どうしても許せない気がしている
「どうやったら、そんなになるのかしら・・・」
自分と見比べて
「この世界が胸の競う時代だったら、負けを認めるしかなかったわね」
リーアはやたらと胸の話題をしている
「胸だけで生きてきたみたいに思ってませんか・・・リーアさん」
そんな話を聞いて、悲しいこと言わないでと思うのだが
「そんなこと思ったりはしないわよ、リーアが馬鹿みたいじゃないの」
テスローに言われて少しムキになってしまった
「ごめんなさい、私が言いすぎました・・・」
リーアを怒らせてしまったと謝罪するテスロー
「謝るとリーアが悪いみたいじゃない・・・」
この手の引きに弱いリーア
「もういいわ、リーアと一緒に戦う仲間だからね仲良くしましょう」
無駄な駆け引きはあまり好きではないリーアはテスローとリーンと共にアイドルとして
デビューを控えている
こんな些細なことで(実は気にしている)仲違いしても仕方ないので
一時的に休戦ということで
そっと手を出す
「リーアさん・・・こちらこそ宜しくお願いします」
差し出されたリーアの手を握ると
「私、この手の温もり忘れませんわ」
真剣な表情でリーアを見て
「やるからには頂点目指しましょう!!」
テスローのやる気に火が灯ったようだ
「二人で盛り上がっているところ申し訳ないが・・・」
と握手している手に加わってくる
「一応、私もメンバーなので参加しておこうかと」
無表情で二人の間に入ってきたのはリーンだった
リーアとテスローとこのリーンでユニットを組むことになっている
なので、当然だろうと思う
いきなり音もなく出現してくるところが
「リーアの度胸試しでもやっているのか・・・」
不気味な演出という風に思われているようです
「度胸を試す必要はここに来ている時点でないと思う」
リーアの行動力は尊敬に値すると思っているリーンは更に
「あなたのお手伝いをしたいと思ったのでこのプロジェクトに加担するんです」
ニッコリと微笑んでリーンが泣いていた
「リーン・・・泣くほどにリーアに賛同してくれるということか??」
少し驚いたがこの涙が嘘ではないと証明してくれればいいと思った
「リーンさんを見てましたら、私も感動してしまいました・・・」
何故かもらい泣きするテスローだった
こうして3人のユニットが始動していくのだが
この先の展開を漠然としかビジョンが見えていないリーア
イエローには何か作戦があるっぽいので
それに乗っかってみるのも悪くはないと、ほんの少しだけ思ってもいいかと
悩んでみるが
当面プロデュースしてくれるらしい
そう言っていたから
「リーアの手駒としてイエローの采配楽しみにしてる」
と、強気に見せて不安だらけな始まりとなる
DCPのデビューイベントが派手に行われる日がやってくる